パラセクトはセミなのかヤドカリなのか
パラセクト
きのこポケモン たかさ1.0m おもさ29.5kg
キノコの カサから どくほうしを まきちらす。しかし ちゅうごくでは このほうしを かんぽうやくに する。(赤緑FRより)
パラセクトは しゅうだんで たいぼくの ねもとに くっついて えいようを すいとってしまう。かれると いっせいに べつの きに いどうする。(RSE、ORASより)
パラセクトのモチーフを求めて
冬虫夏草の元ネタはニイニイゼミの幼虫なのでセミの幼虫説が強いが、一方で「貝殻に宿るはずのヤドカリが、逆にキノコに宿られた!」といういきものジョークの可能性は否定できない(初代ポケモンは「オタマジャクシが進化してもオタマジャクシ!」みたいなジョークが好き)。
外見上の特徴も、橙色の体色に大きなハサミがあり、一見するとカニやヤドカリの仲間のように見える。
生息地に関する議論
パラス一族が登場するのは、おつきみやまとハナダの洞窟。どちらもセミの生息地だとは思えない。前者はオムスターとカブトの化石が出土していることから、かつては水場であったことが示唆されており、後者は言うまでもなく水辺の洞窟である。
以上より、生息地から判断するなら、ヤドカリの仲間という説の方が濃厚だと言える。(たった3匹しかいない化石ポケモンのモチーフとして、プテラノドンとアンモナイトの次にカブトガニを起用したことも、おつきみやまの過去の生態系への意識があったという考えの補強になる)
足の本数に関する議論
パラスとパラセクトの脚(以下、ハサミ状の手も含む)は6本。これは現実世界で言えば間違いなく昆虫の特徴だが、ポケモンの世界ではどうだろうか?
驚くべきことに、昆虫がモチーフのポケモンは手足の数が4本にデフォルメされていることが多く、逆に本来なら脚が8本のはずの蜘蛛がポケモンの世界では6本脚にデフォルメされている(蜘蛛ポケモンの唯一の例外は進化前のバチュルだけだ)。
以上のことから、足の数による判断でもパラスとパラセクトがヤドカリ(手足は5対だが、3対目と4対目の歩脚が退化していることも多い。たとえばタラバガニの外見上の手足は4対である)である可能性は残されている。
覚えるわざに関する議論
パラセクト、ツチニン、イワパレスから動物的な特徴を活かしたわざを抽出して比較する。ツチニンはセミ、イワパレスはヤドカリがそれぞれのモチーフであることは明白だからだ。
パラセクト
クロスポイズン、ひっかく、すいとる、れんぞくぎり、きりさく、シザークロス、きゅうけつ、つばめがえし、とどめばり、みねうち、むしくい、メタルクロー
ツチニン
ひっかく、みねうち、どろかけ、すいとる、みだれひっかき、メタルクロー、あなをほる、ギガドレイン、きゅうけつ、シザークロス、むしくい
イワパレス
れんぞくぎり、すなかけ、きりさく、シザークロス、あなをほる、シャドークロー、むしくい
3匹に共通:きりさく系、むしくい、クロー系
パラセクトとツチニンに共通:すいとる系
パラセクトとイワパレスに共通:なし
ツチニンとイワパレスに共通:土いじり系
すいとる、きゅうけつ、ギガドレインなどの共通点、そして特有のとどめばりの存在から、パラセクトには針状の口がある(言うまでもなくこれは木の根から樹液を吸うためのものだ! これはRSEでの図鑑説明にも合致する!)と考えられる。
覚えられるわざ、図鑑で説明されている食性、食事のための口の形、これらは全て一貫してパラセクトがセミの幼虫であることを示唆している(ただしきゅうけつ以外の情報が赤緑より後に出てきた設定であることに留意する必要がある)。
しかしこれには反論の材料も2つある。
一つ目は生息地である。おつきみやまやハナダの洞窟には食事の対象となる樹木の根はあまり見受けられず、生息環境から分析するとヤドカリのような雑食性だとする説の方が説得力が強い。
そして二つ目、これは非常に致命的なことだが、パラスの口は針状ではない。本稿はあくまでパラセクトの考察なので、むずかしいことは考えないこととする。
結論
現時点ではパラセクトのモチーフにヤドカリが含まれている可能性を否定しきれず、さらなる追究には新種のセミポケモン・ヤドカリポケモンの登場か新しいポケモンずかんの記述を待つ必要があるというのが本稿の結論である。
今後の展望
パラセクトの脚の形(脚の本数ではなく、脚の節の数)有識者がいたら意見がほしいです。こいつは結局何者なの? 25年越しの謎。
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