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メインプロットにおける「敵・障壁」を考える──主人公の「やむにやまれぬ願い」を邪魔するもの

物語が動き出した途端、止まる

とにかくメインプロットがうまくいかないんだ。
その原因は敵の設定がうまくいかないことにあると僕は思っている。
きっと、主人公の葛藤を、敵を必要としない内面的で内省的なものにしてしまいがちなんだ。


ダイエッターの悲劇

ダイエットの必要がある主人公がいるとする。
主人公は恋人にフラれないために、10kgものダイエットが必要だった。
期間は、医学的には半年くらい取ってあげたいけど、ドラマなんで2ヶ月で。
夏のビーチに間に合うために、とかでも良いだろうね。
でも、具体的な数値があった方が良いな。
残り期間とあわせてタイムサスペンスが効く気がする。

そうすると、主人公の「やむにやまれぬ願い」は、「恋人に振られないように2ヶ月で10kg痩せる」というものになる。
それを邪魔する敵を作れば、きっとメインプロットがうまく回り始めるはずなんだ。


さあ、敵の設定だ

ここで、敵を、ついついお菓子を食べちゃう弱い意志、とかにすると、まぁリアルにはなるかもしれないけどドラマは回ってくれないんだ。

ポテチに手を伸ばす、いや、伸ばさない、その繰り返し。
震える手と耐える表情の主人公がアップになったその果てに、完食されているポテチが映る、みたいな地味な画になっちゃう。

対立が、葛藤が、主人公の心の中だけで完結してしまっているから、ドラマに、関係性のお話にならない。
たぶんそれが良くないんだと思う。
関係性が見えない。主人公とポテチとの関係性になっちゃう。
序盤でセットアップした世界が広がっていかない。

もちろん、それが世界一美味しいポテチで、鮮度がみるみる落ちていく、とか、メインプロットの障壁たらしめる工夫ができないわけじゃないと思う。
けれど、いまは原則の話がしたい。

余談だけど、人が一人で葛藤してるシーンで、よく天使と悪魔が出てくると思う。

悪魔「ポテチ食っちゃえよ〜」
天使「ダメです! 太っちゃいます!」

っていうあれ。
あれは、葛藤をむりやり対人関係に持っていくやり方なんだね。
あんまり良いやり方とは思わないけど。
理由は結局世界は広がらないから。


敵は、心の外側に

敵は、主人公の心の中でなく、外側にいた方がドラマになる。
これが、とりあえず置いてみた原則だ。

敵を外側に置くとはどういうことか。
さっきのダイエッターの話で言うと、魅力的な食べ物屋さんの登場だね。
あるいは、子どもの食欲の見積が高校生の時の情報で止まっている実家のお母さんの登場。
馴染みの定食屋さんが大盛りサービスをやめてくれない。
そういうことになるんじゃないだろうか。


物語構成における「敵」は「悪」であるとは限らない

いま書いてみて気づいたことは、「敵」は「悪」である必要はないってことだね。
ダイエッターの敵は、美味しいものを腹一杯食わせたいという善意なんだ。

これで、試してみるべき作業が見えたね。


今日のまとめ

・願望成就のための営為をアクション(行動)で見せるため、外面化された敵、障壁があることが望ましい。

この外面化された敵、というものがどういうものかをもう少し突き詰めたかった。

・なにを外面化したものなのか?
→主人公の中の葛藤、対立。
 つまり、「やむにやまれぬ願い」を邪魔するもの。

・外面化するというのはどういうことか?
→邪魔をしてくるキャラクターにする。

そして、
・なぜ外面化の必要があるのか
→主人公を中心とした(人間)関係、つまりは作品世界を広げるため。

そういうことだと、いったん仮置きしてみて創作を続けよう。
後で訂正するかもしれないし、折を見て補足していくのは確実だけど、いったんね、いったん。


次の課題

さぁそうなると次の課題はキャラクター作りだ。
なにせ、葛藤の外面化とは、主人公の邪魔をするキャラクターの登場のことだって、さっきわかったから。

とりあえず、次回は(できれば魅力的な)キャラクターの作成方法を考えてみよう。


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坂本涼平
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