「人服一体」
「服が体の一部であるかのような感覚」とも言うべきだろうか。ALL YOURSの服を着ているときはまさにそんな感覚である。
「着ていることを忘れてしまう」「着たくないのに、毎日着てしまう」と謳っているいるように、スッと身体に馴染んでしまうと言っても過言ではない。
そんなALL YOURSとの出会いとわたしの中の変化を綴りたい。
出会い きっかけは1冊の本だった
ALL YOURSと出会ったきっかけは、2019年秋、同業である高校教師の(しかも同年代!)よしかわけいすけさんの著書『高校教師、住まいを捨てる』を読んだことだった。
よしかわさんは当時、必要最低限の荷物だけ持ってゲストハウスを転々としながら生活をする「ミニマリスト」で「アドレスホッパー」な教師だった。彼が本の中で紹介していた「僕の持ち物全部」の中に、ALL YOURSのセットアップがあった。
わたしはあまり他人の、それも異性のファッションには興味がなかった。
ましてわたしはミニマリストでもアドレスホッパーでもない。
それでも、彼が着ていた服に着目したのは、この一文があったからだ。
「僕は仕事着と私服を分けません。ジャケットとパンツはALL YOURSのグレーの上下を2セット、仕事の時はシャツを、プライベートではTシャツを合わせています。」
本の中では、教壇でシャツとネクタイを合わせて「ちゃんと見せ」している姿、一方でTシャツに合わせてカジュアルに着こなしているよしかわさんの写真が何枚か載っていた。
読み終えてすぐ、スマホで「ALL YOURS」を検索していた。
ここならわたしが服で抱えていたストレスを解消できるかもしれない…
◆◆◆
わたしはもともとカジュアルで動きやすい服を好んで着る。しかし、仕事柄、職場ではそうもいかない。気がつくと、プライベートで着たいカジュアルな服と、仕事用の服、その二種類で箪笥やクローゼットはパンパンになっていた。
出来れば仕事でも着られて、かつカジュアルな服にも合う服が欲しい…
よしかわさんが着ていたセットアップ、レディースもないかな~と思いながら検索した。
あった。「着たくないけど、毎日着てしまう」というキャッチフレーズにもワクワクした。
◆◆◆
2週間後、自分の足は池尻大橋のALL YOURSの店舗に向かっていた。
出迎えてくれたのは現執行役員のなかごみさんと、今は独立したかわべさん。丁寧にセットアップについての説明をしてくれたこと、初対面とは思えないくらい話が弾んだことだけは覚えている。
そして試着。着てみてびっくりした。
ジャケットが軽い。
もともとジャケットコーデは好きだったが、肩がこるのが嫌だった。
本当に毎日着てしまいそうだ。
即決。
店舗は試着のみなので、購入はオンラインで、届くのは10日後とのことだった。
わたしの中の「あたりまえ」が変わった瞬間
待ちに待った10日後、無事届いた。
しかし…
パンツをはいてみて、試着の時には感じなかった違和感。
あれ、ちょっとお尻から腿回りがダボつくな…
とはいえ、交換しようにも1個下のサイズだとウエストが入らない…(今はダイエットに成功して入るようになりました!やったー!)
そこで思い切って「リペアカスタム」に相談してみた。
「リペアカスタム」とは、リペア、つまりほつれや破れなどを修理してくれるサービスで、カスタムとは、シルエットなどを自分の好みに変えてくれるサービスのこと。
相談フォームで、要望の具体的なイメージを伝えたあと、店舗に実物を持ちこんで、実際に採寸しながら理想的なシルエットを形にしていった。
(※現在のリペアカスタムのサービスは、店舗持ち込みではありません)
わたしのお願いしたシルエット(ダボつき解消、テーパー加工)は、一度ズボンそのものを解体しなければならなかったのだが、糸をバーッとほどく作業をその時体験させてもらった。
…感動。目からうろこ。
普段自分が着ている服がどんな構造になっているか知らなかったし、知ろうともしていなかったな。
数日後、加工済みのパンツが返ってきた。より身体にも、自分の持っている服にも馴染んでいく気がして、より愛着がわいた。
◆◆◆
この体験は、わたしの中の「あたりまえ」が変わった瞬間だった。
今まで服を買っても、もともと持っていた服に合わないだとか、試着の時には感じなかった違和感があれば、着ずに放置するか売るかだった。
まして、穴があいたりほつれたりしたら捨てる、があたりまえだった。
手放さず、捨てずに済む選択肢があるなんて。
わたしはもともと物欲まみれの人間だ。やたらと物を増やさないと不安になるくらいだった。
これには「失くしたらどうしよう、壊れたらどうしよう、消耗したらどうしよう」という強迫観念的な不安が付きまとっているからだった。
ALL YOURSのセットアップを数着そろえ、着回しのルーティンが確立され始めたところでなんとなくそれに気が付いた。
破けたら修理に出せばいい、そうしたらまた着られる。
その安心感が、強迫観念的な物欲(少なくとも服に関する)にブレーキをかけるようになった。
「良いもの」へのこだわり
ALL YOURSの服は決して安くない。世に溢れたファストファッションと比べれば高いと感じるくらいだ。
しかし、セットアップにしてもデニムにしても、身体に馴染み、毎日着ても洗濯しても痛まず、長く着られるのなら、むしろ「最高のコスパ」ではないか、と思うようになった。
(2万近くして、ヨレヨレになって毛玉も発生した、他ブランドの服を見てそう感じた)
毎日使うものは、いいものを使いたい。
(ALL YOURS代表の木村さんも同様のことをTwitterで仰っていた)
とはいえ、生活に関わる全てのものを良質なものにこだわっていたらさすがに破産する。だからせめて、「毎日口に入れるもの、肌に触れるもの」だけは良質なものを使いたいと思うようになった。
共犯者(Collaborator)として
ALL YOURSでは、ユーザーのことを「共犯者」と呼んでいる。
わたしもいつしか「共犯者」を名乗るようになり、「公認共犯者」の名刺を貰うまでになった。
わたしのライフスタイルに関する考え方と行動がアップデートされたからだろうか。
「あたりまえを変える」というビジョンを掲げるALL YOURSの理念に共感し、尊敬しているからだろうか。
プロダクトが動きやすく、手入れもしやすく、かつ良質だからだろうか。
それともALL YOURSのスタッフの方々が魅力的だからだろうか。
理由は全てだと思う。
普段のわたしのツイート、そしてこの記事を見たら聞きたくなるかもしれない。
「あなたはALL YOURSの回し者ですか?」と。
わたしは自信を持って答える。
「はい、むしろ自ら回し者になりました!」と。
創業6周年おめでとうございます。