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蕎麦屋に納めた亀甲盛り皿

蕎麦一人前の亀甲盛り皿は直径22cm

最初に依頼された蕎麦屋さんと試作を重ね、一人前を盛るのにちょうど良い皿の寸法、編み方、編み目に出来る穴の大きさを決めた。
編み目の穴の大きさは、蕎麦を盛っても水が下に落ちないように。

今では数軒の蕎麦屋に納めている。
蕎麦屋ともなると使用頻度が半端なく、年に1,2件の修理が入る

一昨年、埼玉県の蕎麦屋から修理の依頼が入った。

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皿が届いて、その色味の変わり具合に驚いた
右がその皿
左が通常の色

制作者である飯島と変化の理由を考える
多分なのだけれど、皿の色の変化は蕎麦粉に含有される鉄分が多いのだろうと思い至る
蕎麦屋さんによって蕎麦粉は違い、経年で若干皿の色味が違っていることがあるが、ここまで変化しているのは初めて見た。

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結果的に鉄焙煎かとも思いつつ、その後も2人沈黙して皿を眺め続ける。

何分にもこれ、格好良いのだ。

この手合いは作り手が作ろうとしても作れない。
作為がない。
意図して作ろうとすれば外連味が出るし。

どうやらお互いに、この皿欲しいと思いはするものの、の沈黙だった。
私が先に「ねえこれ格好良いよね」
飯島が皿を見やったまま「うん。蕎麦屋さんに電話して、新しいのと交換してくれないか聞いてみよう」

店の主は、皿の色味が変わった事に気づいておられなかった。少しづつ変化していったのだと思う。
参考として手元に置いておきたいのですがと話したら快く引き受けてくださった。

かくして蕎麦皿は2枚、うちの物となった。

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蕎麦屋からの修理依頼は、どのお店も脚の外れだった。
脚は四方胴付きという技法で刻み、それを皿の裏面にほぞ穴を開けて差し込み接着していた。
家庭用で通じても、仕事用だと外れてしまう。
それだと思いっきりな仕事が出来づらいし、リズムを留めてしまう。

結局、籐を用いて結び込む事にした。

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脚を四方胴付きに刻み、新たに穴を開ける

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穴に籐を通し

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皿本体に結び付ける

脚を結んで以降、今のところは外れたという修理はなく。
修理しながらも長くお付き合いくださっていて、ありがとうございますと思う。
いっそのこと家庭用もこの手法にしたのでした。

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