亀甲盛り皿
30年作り続けている皿、編み方が亀甲編みというので亀甲盛り皿。
竹細工は編み方をその籠の名にする事が多い。
麻の葉編みだと麻の葉の皿とか麻の葉の舟籠とか。
竹細工を大まかに分けると
・青物細工 青竹- 生えている竹を処理加工せずにそのまま細工する
・白物細工 白竹- 青竹を煮沸処理(湿式)もしくは加熱処理(乾式)し て竹から青味を抜き白い竹にして細工する
白物はクラフトと呼ばれる事が多いです
・染物細工 染め竹-青竹もしくは白竹の表皮を大体0.03mmほど取り除い て染めた籠を作る細工
上記はあくまで雑駁なラベリングで、あるようでないみたいな既成概念なのですがないようであったりします。
うちは染め物屋です。
真竹を使い、草木染めをして籠を作っています。
盛り皿も染めています。
20年ほど前から”阿仙”という印度の喬木から抽出される染料を使っています。阿仙は奈良朝時代から胃腸薬として用いられていた喬木です。
亀甲盛り皿も当初は白竹で作っていましたが、盛り付ける料理との相性を考えると染め物の方が自分は使いやすいなと思っていました。制作人の飯島に伝え試行錯誤が始まりました。真竹は表皮が琺瑯質といわれる程に強靭なため、基本的には刃物で表皮を削り落として(研きと言います)塩基性染料で染めます。
それを表皮を付けたまま草木染めにする試行でした。
盛り皿は食べ物を置く事が多いので、草木染めにしたかった。
こうして亀甲盛り皿に始まった草木染めは、いつの間にかバッグや筥等の染めもそれになっていきました。これは、作る人がどういう色味を出したいのかで染料を求めますから、飯島の出したい色味が草木染めだったという事で健康とか自然に優しいとかのライフスタイルとは異なります。でも染料を両の手で間近で扱う作る人の事を考えると私は少し安心できるし、結果的に自然に若干は添った様な風な、そうなればそれで良しと思います。
さて、染めると竹に擦過痕があっても気にならなくなり、白竹で作っていた頃ははじいていた傷ありの竹ヒゴもそのまま使うようになりました。盛り皿の場合使うのに何も支障がないものですから。そういう訳で亀甲盛り皿は擦過痕ありの竹も一緒くたに編んでいます。不思議なものでそれが却って視覚的にも竹の持つ強さを存在させたように思います。
皿の裏には脚を付けます。脚用に作った竹をアルコールランプの火で曲げるのを見ていると心地良いのです。いつまでも見ていられるってやつですかね。
脚に巻いているのは籐
曲げた竹の頂点ははじけやすいので、籐をかがって補強
おこびるです。
かき揚げも天紙なしで、油が竹に染みて手間いらずのお手入れになります。
20数年前、染め始めた時の試作品を今も使っております。
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