「性教育って何をどうやって学んで、何をどうやって教えればいいの?」|manacoイベントレポート
manacoさんの「Let’s think!教育!」第13回のイベントに参加した。
◼︎今回のイベントの背景
近年、児童生徒を取り巻く姓に関する問題が急増しており、妊娠・避妊に関する各地の支援団体への相談件数の上昇が起きてしまっている。
「性教育」の不十分さの要因として、
①子どもと関わる大人の性・性教育についての知識不足や認識不足
②学校でのタブー視の多さ
が考えられる。そのため教育に興味を持つ大学生が性教育に関する新しい知識や認識、学びのきっかけを得るために今回のイベントを開催したそうだ。
僕自身、まだまだ性教育についてここが問題でどうしたら良いのかというところを“持論”ベースでしか語れないため、良い機会だと思い、参加した。
◼︎講師:にじいろさん
普段は本名で活動しているというにじいろさん。
10年間の養護教諭の経験を経て、専業主婦をしていたが、「なにかしたい!」と思って、今の性教育の活動を始めたそうだ。
“思春期の中高生”を中心に伝えたいと思って活動を始めてから、現在では小学生や、教員研修、育児サークル、子育て支援事業など…さまざまな場面で性教育を伝える機会を得ている。
◼︎生と性を伝えたい!
始めは「きく」ことしかできなかったにじいろさん。
現実ではいろいろな出来事が起きている。
不登校、自殺、自傷行為…身近や同じ学校で一つは何かあったかもしれない。
そういった問題行動や社会問題に関して、「性の問題」が関わっていることが少なくないというのがにじいろさんの指摘だ。
実際にコロナの期間でたくさんのメッセージを受け取ったにじいろさん。いろんな要因が考えられるが、「知識不足」「大人に相談できない」「性暴力」といった要因がコアに。
ここからは参加者の質問を中心にお話が進んだ。
◼︎なぜ恥ずかしいことだと思ってしまうのか?
日本では「性教育」というイメージが偏ってしまっていることが挙げられる。
僕自身、関心のある人とこの話題について話すときは気兼ねなく本音で対話できるが、学校で、また子どもたちの前でしっかり向き合ってお話しできるかと言われたら、正直不安な部分はある(現場に出たことはないのだから…)。
にじいろさんは講演ではます、“性”のイメージをほぐすことから入る。
「性教育は、健康教育、安全教育、人権教育です。」
学校の先生に伝えるためにポイントとしては、
✔︎自己肯定感UP
✔︎リスク回避
✔︎性被害の防止
特に自己肯定感に関しては多くの人が議論をしているが、実際日本ではなかなか高まらない。僕の自己肯定感に関する持論はここでは述べないが、そうして性教育の重要性を伝えることも可能だと感じた。
◼︎包括的性教育
国際セクシュアリティ教育ガイダンスでは「包括的性教育」に関する情報が載っている。
①人間関係
②価値観、人権、文化、セクシュアリティ
③ジェンダーの理解
④暴力、同意、安全
⑤健康と幸福
⑥人間の身体と発達
⑦セクシュアリティと性的な行動
⑧性と生殖に関する知識
ぜひ、セクソロジーのコンテンツを参考に。
◼︎寝た子を起こすな?理論
実際にこの点に関して疑問を持つ人はいるだろう。
しかし科学的根拠はこれを否定している。
性教育後、性行動を早めたという結果は0%、遅らせたという結果は37%。
これを知っているだけで大切さを伝える自信がつくなぁと感じた(リソースはしっかり調べておくべきだなぁ。)。
◼︎日本の性教育の歴史
日本で性教育が始まった頃、AIDSに関する問題などが取り上げられ、性教育ブームもあったそうである。1992年は「性教育元年」と呼ばれており、そのまま進めばよかったのだが…
2003年に性教育バッシングが起きる。当時はまだこの性教育の大切さは文化として根付くのは難しかったのだろう。
そこから学校のカリキュラムにおいては、保健、理科、家庭、道徳、総合などで性教育に関わる内容を取り扱う機会は設けることができる。
しかし、学校や先生によってその実態には差が大きく、「運」であるということもできるだろう。
◼︎「生命(いのち)の安全教育」
今年の4月に文科省が学年ごとに対応している指針を出した。
これは大きな前進であると言える。
僕は国のこうしたワンアクションが本当に大変なことだと認識しているから、そのありがたさを感じつつ、自分がどうやってこれを生かすのかを考えていきたいと思う。
◼︎プライベートゾーンについて
にじいろさんが以前書いた記事でプライベートゾーンについて僕の価値観は変わった。
プライベートゾーンは大切であるというが、実際には「①あなたのからだはぜんぶ大切」だということを前提に伝えることが大切であるということである。
僕のからだはぜんぶ大切だし、あなたのからだもぜんぶ大切。その価値観は心身ともに通ずるものがある。
僕は生きてもいいんだ。ここにいてもいいんだ。そう思えることはからだを大切にすることと結びついている。
また、「②されたあなたは悪くない」「③自分は触ったり見たりしてもいい」ということも大切だとにじいろさんは改めておっしゃっていた。
全文は以下を参照
◼︎性交を教える?教えない?
学習指導要領においては、「受精・妊娠に至る経過は取り扱わないものとする」(小5理科・中学保健)と明記されている。
それは絶対そうしなさいというわけではないため、指導要領が絶対だと考えるのは正しくない。
ただ、性交を教えるべきだと考えていても、「他教員の理解は必須」であって、「保護者の理解、情報共有」も重要だとにじいろさんはおっしゃっていた。
きっと必要だと感じている人は多いし、踏み込んだ性教育に批判的な方もその方の課題として性教育に関しての正しい認識ができていない可能性が高いのだと思う。
それは悪いことではない。
だからこそお互いの理解を進めた上でできる限りの学びを提供することができるといい。
僕もここの分野で学びながら一人でも多くの人が救われるきっかけになるといいなと思っている。
◼︎まとめ
まだまだ自分が現場レベルで、そして身近でできていないことがたくさんある。
学童での疑問、関心のない人へのきっかけづくり、関心のある人同士でのつながり、もっとできることはある。
具体的な事例をディスカッションで考えてみたが、正直正解はない上に、「不適切な対応を免れる」ことは非常に難しいことではないかと感じた。
事例は無限にあってそれに一つ一つどのように対応するのかを考えてく機会はきっと多くはない。
だからこうした考える機会はもっとあってもいいんじゃないかと思った。
そして、こうして性教育について考えている学生は僕が思っている以上にたくさんいて、もっと一緒に手を取り合ってできることがあったらいいなと思った。
もっと、学びたい。その思いが強くなった。
にじいろさん、ありがとうございました。