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深夜に弁当のおかずが増える件について
ぶっちゃけると、私は朝が苦手である。筋金入りの夜型だ。
「体内時計も遺伝である」という説がある。なるほどそれが真実なら、両親も夜型なのだから、私は生まれつきの夜型人間なのであろう。実家では深夜0時でも両親がワイワイと話しているくらいなのだから、後天的につくられた生活リズムかもしれないが。
しかし、そんな私が結婚した人は典型的な朝型だ。21時を過ぎると眠くなり、たまに夜更かししても0時近くなると目を開けていられないのだという。21時を過ぎると、子どもと一緒に寝室に引き上げてくれる。おかげさまで私はいつも静かな夜の時間を過ごしている。
体調的には、深夜に就寝し9時頃起きるくらいがベストだと感じている。今のところ私は在宅ワーカーなので、ぶっちゃけ早起きしなくても全然かまわないのだ。在宅ワーカーを選んだのも、勤務時間が拘束されない、自由な(世間的には怠惰な?)ライフスタイルが叶うからだ。
ここで家族にお願い申し上げたいことがある。朝は私にかまうことなくおのおの勝手に起きて何かあるものを見繕って食べ、出かけてほしい。
自分が早起きできないのを棚に上げてもっと言い訳させてもらうと、家事ができない夫を老年期に入る前に何とかしたいのだ。(幸い高齢者になるまでにはまだまだ時間はある)
夫が家事ができないと、妻の家事負担が増えるだけでなく、もしも将来、妻が老衰や病気などで家事ができなくなったとき、共倒れになってしまう。もちろん、私が明日、事故でポックリ逝くことだってある。
生活能力訓練の第一歩として自分の弁当くらいつくってもらってもバチは当たらないだろう。あえて夫に家事を「させる」のは、妻の愛のムチというものである。
最初夫はブウブウ文句を言い、断固「弁当はつくらない」と強硬な姿勢を示し、弁当代を水増し請求するなど抵抗していたが、私がテコでも動かないのを知るや、ついに自分でときどき弁当をつくるようになった。
夜、フライパンで何かつくって弁当箱に詰め、冷蔵庫に入れ、翌朝持っていっているようだ。
弁当を前日の夜に作るのは衛生上いかがなものかと思うが、せっかくのやる気に水を差すのも悪いので、細かい苦言は慎むことにした。
そして私は深夜に冷蔵庫を開け、弁当の中身をのぞく。(夜は長く暇なのだ)
夫は不器用で適当だ。弁当も、見るに堪えない感じである。
私はため息をつき、栄養バランスや彩りがよくなるよう、こっそりと一品、二品、継ぎ足して、そっと弁当の蓋を閉めてもとに戻しておく。
翌日の昼頃、「弁当の中身が増えて豪華になってた!」と夫から喜びのLINEが送られてくる。うさちゃんスタンプが飛び跳ねている。
夜中に弁当のおかずが増えるのを、愛情と勘違いしたのだろう。
なんて夫は単純……、いや、幸せ者なのだ。
私はただ、みすぼらしい弁当が許せないだけなのだが。