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さくらみこ新曲『Sakura Day's』と泣きゲーの系譜

 みこちの新曲『Sakura Day's』が公開された。エロゲをモチーフにした泣きゲーっぽい歌詞がよかった。日常と別れみたいな。で、あるフレーズで『ONE 〜輝く季節へ〜』を思い出したのでついでにそっちも書く。正確には僕がプレイしたのは去年末に発売した『ONE.』なのだけれど分かりやすいので。

 『ONE』に「永遠はあるよ」というキラーフレーズがある。作中では永遠の世界に行ってしまうと現実世界から存在ごと消えてしまう。主人公の『浩平』は永遠に魅了されたことで日に日に存在が薄くなるのだけど、もうすぐ消えてしまう最後の時間をヒロインと一緒に過ごすみたいな流れ。実質死ぬようなものなのでそういう意味では「永遠はあるよ」はガチのキラーフレーズ(殺し文句)なのかも。

 僕の解釈だと作中での永遠とは精神的に大人になれない、いわば子供の世界だと考えています。いつか必ず(どんな形であれ)別れが来るという現実を見ないでいられるのが子供=『永遠の世界』。永遠なんてないと知ってしまったのが大人=『現実の世界』。なので僕はこの作品は『浩平』が精神的に子供から大人に成長する物語だと理解しています。

 泣きゲーって大抵楽しい日常生活の後に別れがあって、でも悲しい別れがあるからこそ当たり前にあった日々がとても尊いものに思える。『ONE』もそうだけど突然の別れではなく、ほぼほぼ余命宣告みたいに別れが確定した状態で日常を送る作品が大半な気がする。この世界に永遠なんてないけれど、だからこそ日常を大切にするべきだってことを俺たちはエロゲーに教えてもらった。

 やっと曲の話だけど。「永遠はないとしても放課後あそぶよ」ってフレーズがとても刺さった。これのせいでわざわざ記事書いてる。まさに泣きゲーの系譜といった感じだし、「永遠はあるよ」との対比っぽくていい。曲全体を通して別れを明確に意識していて、これから作る楽しい思い出についてかわいく歌っていたと思ったら所々に別れを想起させるセリフが差し込まれている。サビの最後の「シャットダウンの降る時まで」ってところ好き。明日死ぬとしても笑って遊んでいたいよな。

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