【親の宿題プロジェクト 第4回】宿題の当事者にモニターをお願いしてみたら・・・
アルバム整理のサービス内容を検討しながら、モニターの声を直接聞くことにした当プロジェクト。さて、実際に親の宿題に直面している方からは、どんな意見が聞けるのでしょうか。
母には写真を見せるのも大変!
今回モニターになってくれたのは、40代後半のAさん。私たちと同じく神楽坂在住で、一戸建てのご自宅でお母さまの介護を続けています。
「家にある写真アルバムは5、6冊・・・もっとあるかな? 母の趣味だった手芸の本といっしょに、古い本棚に入れてあるんだけど、できれば本棚ごと処分したくて。手芸の本は母に見せながら減らすつもりだけど、アルバムはなかなか見てもらえないんですよ」
なかなか見てもらえないのは、やはり「重くてかさばるから、開くだけでも疲れてしまう」からだそう。食後のテーブルなどに出してみても、ご本人はあまり見ようとせず、思い出話だけが始まるケースが多いといいます。
「でも、開かないアルバムをいつまでも置いておいてもきりがないし、古い本棚を処分するためにも、このモニターがいい機会になると思ってます」
当事者にしかわからない本音がずらり
さっそく前回のミーティングで検討した3つのコースを見てもらうと、やはり私たちのイメージしなかった反応が次々と返ってきました。
【コースA 5万円】
ご自身で30枚の写真を選び、持ち込んでもらうコース。ページに添えるイラストを5 点選べる。
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●写真は郵送、やりとりはメールだけで完了するほうが、依頼しやすい。
●写真にふせんをつけてもらい、並べる順番と短いコメント( ○字まで )を書き込んでもらって、そのまま反映させる。
●写真はもっと少なくていい人もいるはずだから、「30枚まで」に。
●イラストはあってもいいけど、こちらで選んだものを添えてあげるなど、できるだけシンプルに終わるほうがいい。
●ほかのコースもそうだけど、完成品は1冊で十分。もっとほしい人にはオプション対応を。
●とにかく手軽なことに意味があるコース。ただ、依頼される側には手間がかかるので、7万円くらいでもいいのでは?
●「コースA」ではなく、「簡単に済ませたい方にはこんなのもありますよ」という「お手軽コース」扱いに。
【コースB 10万円】
私たちがご自宅に2時間うかがって、写真選びをお手伝いするコース。載せられる写真は50点、イラストは10点。
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●ここでも写真は「50点まで」に。
●たぶん2時間では終わらないので、延長料金を設定するべき。
●これをベーシックなコースとして、「+ポートレート撮影5万円」「+エピソードのインタビュー3万円」「+自分史年表3万円」「+オリジナル似顔絵3万円」のように、希望するサービスを足していけるようにしては。
●かかわるスタッフの人数と作業時間を考えると、12万円くらいでもいいと思う。
【コースC 20万円】
カメラマンによる撮影と、ライターによるインタビューがついたプラン。訪問時間は3時間。ご本人の現在のポートレートや、写真にまつわるエピソードを載せられる。写真は100点、イラストは10点+ご本人のオリジナルの似顔絵。
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●サービスをすべて盛り込んだコースとして、これは必要。
●コースBに全部のサービスを足した金額よりも、少し割安がいいので、20万円でOK。
●訪問時間に追加料金を。
●やはり写真は「100点まで」に。でも、そんなに載せたい人いるのかなぁ?
実際に処分したいアルバムを抱えている立場から、率直な意見を聞かせてくれたAさん。やはり私たちが机上で考えたコースとは、内容がずいぶん違います。
見ないで処分できるサービスもほしい
「本音を言うと、写真を選ぶところから全部おまかせするコースがあってもいいくらい。本人や家族も選びたいでしょ?と思われがちだけど、何冊もあるアルバムを1ページずつ見ていく作業そのものが重荷なんです。
それぞれの時期から写りのいい写真を1枚ずつ選んでもらって、新しいアルバムにまとめてもらえれば、いちばん手間がかからないですよね。
あくまで私の意見だけど、このサービスでもっとも意味があるのは、古いアルバムを処分できること。見ないのに捨てられないものを、誰かの手を借りて心置きなく捨てられることに、お金を払う価値があると思うんです」
なるほど~!!と私たちにとっては目からウロコ。親の年代にもよるかもしれませんが、高齢者の場合はこういう考え方もあるんですね。これからサービス内容を練り直していくヒントになりました。
Aさんはモニターとしてポートレート撮影にも協力してくれることに。次回はご自宅にうかがい、お母さまを撮らせてもらう様子をレポートします。