レトルト三角関係(ショートショート)
私が王族の身分を離れたのは昔の話。どうしてそんなことを、とおっしゃる方もおられましたが、王族の暮らしは窮屈そのもの。
何をするにしても世間の目があり、好きなアーティストでさえ、王女のお気に入り、とレッテルを張られてしまう。
一度だけ個人的親交があった方は、既にお付き合いをされてる方がいたため、略奪愛と揶揄された。その後、親から定められた方と親交を深めると、恋多き王女、と大衆紙の的に。
ありもしない三人の関係が語られ、私がつい熱くなって反応したため、後味の悪い結果となりました。
でも、おかしいと思いませんか? 王族に生まれたら、添い遂げる方以外の誰かを好きになってはいけないのかしら。
それからは、笑顔の下に本当の自分を隠して生きるようになった。でも、これからはありのままの自分をさらけ出す。
「司法長官、御前会議の時間です」
秘書に促され、私は立ち上がる。
この国に一婦多夫制を導入するため。
あの方への想いはまだ少しだけ期限が残っている。
(414文字)
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