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『ノルウェイの森』まで捨ててしまうのですか〜学校図書館図書廃棄規準〜

 先日から全国学校図書館協議会策定「学校図書館図書廃棄規準」についてやたらと書いているのは、私自身があの規準を元に悩みながら除籍対象の本をずっと選んでいるからです。
 
 10年という縛りがあることで、捨てやすくなった本が増えました。特に医学・福祉(介護保険の現状とか時事的なもの)・スポーツルール・就職関係などについては罪悪感が減りました(と言っても捨てるのはまず20年以上前のものからですが)。

 そう、本の除籍は必要だからしますが「大変な状況にある人のことを世間に知らせよう」とか「困っている人にこの情報を届けよう」など思いの込められた本たちを捨てるのはいつも心が痛むのです。

 そしてこれまで書いたように「10年20年経っていようが、現段階では捨ててはいけない本もあるなあ…」という気付きもあるのです。 


 どこで読んだか忘れましたが「自分が児童・生徒だった頃の本が学校図書館にまだある!」と揶揄したような書き方をした記事がありましたが

ありますよ。


 特に絵本や児童文学は。かなり昔に発行されていまだに現役なものはたくさんあります。


 そしてやはり小説。

 村上春樹さんの『ノルウェイの森』は1987年、講談社から赤と緑の印象的な表紙で上下巻で発売されました。
 そして本校にはその単行本があります。
 2010年に映画化され、2024年現在は湊かなえさんが新聞連載している『C線上のアリア』に小道具として登場もしています。

 有名なので未だに手に取る生徒もいますが、非常に稀です。なのでわざわざ買い替えません。

 買い替えもせず除籍しようものなら「村上春樹を捨てるなんて!」と春樹さん好きでなくても彼の人気を知っている人たちに止められそうです。 

 学校図書館は、生徒だけでなく教諭などの職員も利用します。
 教科に関連する本も借りられますが、小説も人気です。

 
 ちなみに本好きの(私の?)小説の読み方はこうです。
 
 ある本を気に入ったら、その作者の他の本も読みます。下手したら、いっときその作者の本ばかり読んだりします。過去に遡ったりデビュー作を探したり。

 そんな時「あれは10年前に受け入れたから捨てました」と、もし言われたら…。

 収納スペースの問題とか本自体がボロボロだからとかなら仕方ありませんが、単純に「受け入れ後10年経ってましたから」なんて言われたら悲しくなります、きっと。
 もうそこで借りられないということよりも、大好きな作家の本が捨てられてしまったこと自体が。

 
 宮部みゆき、浅田次郎、村上龍、そして村上春樹…。
 いっとき学校図書館でも生徒によく読まれていましたが、現在、本校では職員だけが借りていきます(私もたまに読み返したくなります)。

 私が村上春樹さんの本で、もう一度読み返したいと思いながら分厚いので実現していない作品があります。

『アンダーグラウンド』

 1995年3月20日の朝、東京の地下でほんとうに何が起こったのか。同年1月の阪神大震災につづいて日本中を震撼させたオウム真理教団による地下鉄サリン事件。この事件を境に日本人はどこへ行こうとしているのか、62人の関係者にインタビューを重ね、村上春樹が真相に迫るノンフィクション書き下ろし。

アマゾンの紹介より

 今でも新品として販売されています。



 長く作品を書き続けている作家さんの本はニーズがあるのです。日焼けして書庫に片付けた本を、借りていく先生もいます。

 別のエッセイで紹介した漫画『BASARA』ですが先日、本屋で売られているのを見ました。基本的に書店の本は「不要なら版元に返品可能(出版社にもよるが小学館は大丈夫なはず)」なので、1990年の本であっても新品で買いたい人がいると書店員さんが判断したのかと嬉しくなりました。