「金峯山寺蔵王堂」 ~青色の蔵王大権現~
「金峯山寺蔵王堂」 ~青色の蔵王大権現~
今年は、「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されて20周年。それを記念して、吉野・金峯山寺蔵王堂の、日本最大秘仏本尊の特別ご開帳がありましたので、桜散策を兼ねて訪れました。
◆修験道の聖地
吉野山から大峯山山上ケ岳に至る一帯は、金峯山と称し、古く飛鳥時代から聖地として知られていました。
白鳳年間(7世紀後半)、修験道を始めた役行者(えんのぎょうじゃ)は、この金峯山で修行に入り、修験道独特の本尊・金剛蔵王大権現を感得されます。
そして、そのお姿を山桜の木に彫刻し、山上ヶ岳と吉野山にお堂を建ててお祀りされました。
これが金峯山寺蔵王堂の始まりであり、吉野山では山桜を御神木として保護・献木され、日本一の桜の名所となりました。
現在も、修験本宗の総本山として、多くの修験者が、吉野山蔵王堂と山上ヶ岳の山上蔵王堂(大峯山寺)までの間を、休むことなく百日にわたって歩いて礼拝する「金峯山百日回峯行」をされています。
◆大迫力の青い秘仏
蔵王堂に入るや目に飛び込んできたのが、蔵王権現(約7m)三体の大迫力の青色の怒相でした。
権現とは権(仮り)に現われるという意味で、釈迦如来(過去世)、千手観音(現在世)、弥勒菩薩(未来世)が権化され、過去・現在・未来の三世にわたる衆生の救済を誓願して出現されたとのこと。
この「三世安楽」という考えは、元々の仏教にはなく(仏教では、現在・未来の二世安楽で、過去は考えない)、日本独特のもののようです。
ですから、日本では仏式の「先祖供養」があり、独特の仏教として進展しているのでしょう。
蔵王堂内陣の蔵王権現の御前には、小さな衝立に囲われた「発露の間」と呼ばれる場所があり、希望する参拝客は、順番に入ることができます。
目の前に、大きな権現様が目を見開いていらっしゃる中で、心を落ち着け、過去、現在、未来に対する、感謝や祈りを唱えて参りました。
◆金峯山寺蔵王堂の情報
・アクセス:近鉄吉野駅から、徒歩約30分
・特別拝観料:1,600円(クレジット可能)