私の愛し方
2年前、、、
「京子?おい、やめてくれ!」
私は人を好きになりたくない。
「縄を解いてくれ!」
いや、なってはいけない。
「だ、誰か!!助けて!!」
なぜなら私は、、、
グサッ!!!「あ゛う゛っ、、、」
『好きになった人を殺してしまう』から。
これで、何人目になるだろう。
自分でもしてはいけないことだとわかっている。
でも、殺さずにはいられない。
だから、私は人を好きになることをやめた。
だからこそ、私は君に出会いたくなかった、、、
ーーーーーーーーーーーーーーー
〇:京子さん!
京:また君?話しかけないでって言ったよね?
〇:しょーがないじゃないっすか!見つけちゃったんだもん!
この子は同じ大学に通う後輩の〇〇くん。
いつかは知らないが私に一目惚れしたとか言って、ことあるごとに話しかけてくる厄介な子だ。
京:まぁ、なんでもいいけど、もう次からは見つけても話しかけないこと。わかった?
〇:えー、嫌っす
京:はぁ?何言ってんの?やめてって言ってんの!
〇:それはできません、僕、京子さんのこと好きなんで
京:はぁ、、、もう帰るから
何度話してもこれだから埒があかない。
さすがにめんどくさいので無視を決め込み駅へ向かう。
〇:ちょっ!京子さん!?
京:、、、
〇:、、、
さすがの彼も私が駅へ向かうとわかったら絡むのをやめた。
京:なんなのよ、あいつ、、、
別に彼もそこまで悪い人ではないことくらいはわかる。
しかし、彼が私を好いているなら話は別だ。
その場合、彼は私を振り向かせようとしているわけで、それは無駄になる。
なぜなら、私は人を好きになってはいけないから。
ガチャ
京:ただいま〜
玄関を開け声をかけるが一人暮らしなので返事があるはずもない。
しかし、私はいつも声をかける。
なぜなら、彼らがいるから。
京:ただいま、、、
シャッターとカーテンは一日中閉まり切りで間接照明で辛うじて薄暗い部屋。
私はそこで、「愛する彼ら」と住んでいる。
ずらっと棚に綺麗に並べられた瓶。
その瓶には一つずつ名前が書いてある。
京:いつ見ても綺麗、、、
「ちゅっ、、、ちゅっ、、、ちゅっ、、、」
そして、その瓶一つ一つにキスをしていく。
この瓶はなんなのか、それは、、、
今まで私が愛した人の「頭部」のコレクション。
そして、その下の棚にはホルマリンと書かれた瓶が転がっている。
京:みんな、大好きだよ、、、
それから、私はその中から一つを選びそれを横に置いて眠りについた。
次の日
京:あいつだ、、、
例の彼はなにやら友達と楽しげにおしゃべりしていた。
〇:あっ、、、っす
彼もこちらに気付き目が合った。
しかし、彼は会釈だけして声をかけてくることはなかった。
京:、、、
結局そのまま何も起こらず一日が終わった。
京:なんなのよ、、いつもは声かけて来るくせに、、、
それから彼が声をかけて来ることはなくなった。
いつもの騒がしさがぴたりと止み、嬉しいはずなのに、、、
〇:うわ〜、それお前やってるわ〜
「うるせーよ!笑」
京:、、、
〇:はい、お前ジュース奢り〜!
「うわ、だっる!」
京:、、、
なぜだかつい、彼を目で追ってしまう。
京:だめだ、、、
居ても立っても居られなくなりトイレへ駆け込む。
京:はぁ、、、なんでだろ、、、
この気持ちの正体は自分でも気づいているが、信じたくない。
また同じ過ちを起こさないために。
京:このままでいい、、、このままでいい、、、
個室で頭を冷やし教室に戻ろうとする。
すると、、、
〇:京子さん
京:っ!
何日間も声をかけてこなかった〇〇が突然声をかけてきた。
〇:僕、やっぱり京子さんのこと諦めきれないです。
京:えっ?
しかし、その表情は前までの彼からは想像できないほどに真剣だった。
〇:一度でいいんでちゃんと話聞いて欲しいです
京:、、、
すると、彼は一枚の紙切れを差し出した。
〇:これ、僕の連絡先と今夜のディナーのお店の場所です。嫌だったらその紙は捨ててもらっても構いません。
京:いや、急にどうしたn
彼は私の声を遮るように続けた。
〇:僕は本気です。19時にお店で待ってます
京:えっ、ちょ、待っ、、、
彼は答えを聞きたくないとでも言うように足早に去っていった。
京:な、なんなのよ、、、
京:行ってきます、、、
19時15分
「〇〇様のお連れ様ですね。ご案内いたします。」
〇:京子さん!
京:、、、こんばんは
〇:ほんとに来てくれた、、、
京:、、、
来るつもりなんてなかった。
でも、なぜだか行ってあげなきゃと思ってしまった。
〇:京子さん、綺麗です
京:そ、そーゆーのいいから、、、
〇:とりあえずなんか頼みましょ
京:うん
私たちはパンやアヒージョ、ワインなどに加え各々食べたいものをオーダーした。
京:オシャレなとこだね
〇:ちょっと背伸びしちゃいました、、、笑
そう言っておどける彼が可愛く見えてしまう。
京:で、話って何?
〇:えっ、あっ、いや、特にこれと言うことはないんですけど、、、
京:なにそれ笑
私、今、笑った、、、
あの日以来、男の人の前で笑うことなんてなかったのに、、、
〇:京子さんの笑顔初めて見ました、、、かわいい
そう言われ顔が熱っていくのを感じる。
京:かわいいかわいい言ってもなにも出ないよ、、、!
「失礼いたします。お食事をお持ちいたしました。」
私はクリームパスタを、彼は魚介のパスタをオーダーしていた。
京:(魚介類が好きなのかな、、、)
〇:京子さん?食べないんですか?
京:あっ、いや、食べるよ
「「いただきます」」
彼の好みなんて知る必要ないのに、、、
〇:美味しいですね!
京:そうだね
なるべく軽い相槌で済まそう、、、
〇:触れていいかわかんないんですけど、、、
京:なに?
〇:なんで京子さんって男を避けるんです?
京:、、、
突然核心を突かれたような気がして言葉に詰まる。
〇:ご、ごめんなさい!トラウマとかだったら全然今の話なかったことにしてください、、、
京:、、、うん、あんまり話したくないかな、、、
そこから私たちはなんとか雰囲気を戻し、他愛もない話をしながら食事を楽しんだ。
〇:今日はありがとうございました、楽しかったです
京:いいえ、私も楽しかったよ
悔しいが、この「楽しかった」はただの相槌ではなかった。
〇:じゃあ、また、、、
そう言って彼は帰ろうとする。
ほんとにいい人、、、
しかし、私は、、、
京:ねぇ、、、まだ時間あるんだけど、、、
この気持ちはもう止められない。
「ちゅっ、、、むちゅ、、、」
私は彼を連れてホテルへ向かった。
〇:京子さん、僕めちゃくちゃ嬉しいです
そう言ってにっこりと笑う君。
京:私も、、、だから、来て、、?
彼をベッドに誘惑する。
「くちゅ、、ぴちゃ、、、」
彼は私の割れ目に指を入れ掻き回す。
京:あっ、、んっ、、イクッ💕
〇:京子さん、やっぱりかわいい
「パンッパンッパンッパンッ」
〇:京子さん、、イキそう、、、
京:私も、、💕一緒にイこ?💕
〇:はぁ、はぁ、、、めっちゃ気持ちよかったです
京:フフッ、私も、、、はい、お水
私は彼に水を手渡した。
そして、彼はそれをなんの疑いもなく飲み干す。
〇:やっぱ、僕、京子さんのこと好きです
京:、、、
〇:返事はいつでもいいです、覚えておいてくれれば、、、
そう言ってくれて、嬉しい、私も好きだから、、、
なんて、軽々しく言えない。
だから、早く、、、
〇:なんか眠くなってきちゃいました、、、
京:寝てもいいよ?
〇:いや、、でも、、京子、さ、、ん、、、が、、、
京:、、、おやすみ
君は私が久しぶりに好きになった人、、、
私のモノにしたい、、、
ーーーーーーーーーーーーーーー
〇:ん、、、ん?なんだこれ
たしか、昨日は京子さんとホテルに行って、寝ちゃったんだ、、
僕が目を覚ますと手足を縛られ目隠しをされていた。
〇:は!?マジでなんだこれ!おい!誰か!ってか寒っ!
おまけに服も脱がされているようだ、、、
カツッ、、カツッ、、カツッ、、
〇:だ、誰かいるんですか!助けてください!
必死に見えない誰かに助けを乞う。
?:大丈夫?痛かったかな?今目隠し外すね、、、
この聞き覚えのある女性らしからぬ低い声、、、
嘘だ、、、
?:おはよう
〇:き、、京子さん、、、
京:ごめんね、痛かったね、、、
目隠しを外されると、そこは廃墟のような場所だった。
そこに不釣り合いな綺麗な女性、、、京子さん、、、
いつもの京子さんと全く違う雰囲気に声が出ない。
京:すぐに楽にしてあげるからね、、、
〇:京子さん、、何言って、、、
グサッ!!!
〇:ゔっ、、、、!
お腹に鈍くも鋭く熱い感覚が走った。
京:どー?ちょっとは楽になってきたかな?
〇:京、、子、、さ、、ん
京:、、、全部君が悪いんだよ?
〇:どういうこと、、、ですか、、、
彼女が何を言ってるのか全くわからない。
脂汗が全身から溢れ出て来る。
京:好きって言ってくれて嬉しかった、、、
〇:はぁ、、はぁ、、、
京:でも、私を振り向かせちゃダメだよ、、、
意識が薄らいで彼女の声も遠くなる。
京:私、君のこと好きになっちゃった、、、だからずっと私のそばにいてね、、、彼らと一緒に、、、
〇:、、、狂っ、、、てる、、、
京:これからよろしくね、、、
グサッ!!!
ーーーーーーーーーーーーーーー
ピピピピッ
京:起きなきゃ、、、
疲れて重い体を無理矢理起こす。
そして、、、
京:フフッ、おはよ、、、
新しい彼に挨拶をする。
「チュッ、、、」
たとえ、歪み切った愛でも、私は今、幸せだ、、、
京:あなたもそうでしょ、、、?フフッ
君に出会えてよかったよ、、、
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?