世の中のミニマリスト化 -必要とされるインサイトデザインの本質と私のvision-
突然ですが手紙の話からはじめます。
手紙を受け取ったとき、私たちが喜びを感じるのは、その手紙自体ではありません。その中に書かれた筆者の「想い」に触れることで心が動かされるのです。たとえどんなに美しく、好みに合った見た目の手紙でも、中に込められた想いに共感できなければ、それはただの紙切れに過ぎません。一方で、見た目が平凡、もしくは好みでは無い様な手紙であっても、その中の想いが心に響けば、その手紙はかけがえのない価値あるものになります。
この感覚は、私たちが日々触れるあらゆるモノゴトに通じています。しかし、現代の社会では、モノゴトの表層が多く語られ、そのモノゴトを生み出した「想い」が伝わる機会は限られています。世の中に溢れるモノゴトの裏に隠された「意味」や「想い」と言う価値は、表層的な情報の中に埋もれ、陽の目を浴びないまま存在していることがほとんどです。この現状が果たして世の中にとって理想的と言えるのでしょうか。
溢れる情報、失われる本質
現代は、SNSや広告を通じて膨大な情報が瞬時に流れ込みます。その情報の多くは、モノゴトの「表層」だけを伝えます。美しいデザイン、魅力的なキャッチコピー、それらが与える一時的な満足感。それらは人々を引きつける一方で、その奥にある「想い」に気付く機会を奪っています。
人々は、情報を受け取ることが容易な時代の恩恵を受けていますが、同時に、「想いに触れる」体験を失いつつあるのです。溢れる情報の裏で、モノゴトの本質が失われています。
どんなに綺麗で魅力的なモノゴトも、その裏にある「想い」に共感できなければ、それは私たちの人生に意味をもたらすことはありません。逆に、シンプルなものであっても、そこに想いが込められていれば、それは心を満たし、深い幸福を与えるのです。
想いをデザインする
私は、人々の価値ある想いに共鳴し、それを言葉やコミュニケーションにすることに価値を見出しています。それを私は「インサイトデザイン」と呼びます。インサイトとは簡単に言えば想いであり、簡単には言葉にすることができない物事の奥にある深い気付きや洞察のこと。そのインサイトを掘り起こし、そこから導かれる行動指針やプロダクトを形にする。このプロセスこそが、私が活動を通じて目指しているものです。
モノゴトを生み出す際には、アイデアそのものよりも、そのアイデアに込められた「想い」を主軸に据えるべきだと考えています。モノゴトの表面的な価値だけではなく、モノゴトの想いや意味にフォーカスすること。これは、物や情報が溢れる現代において、私たちが見失いがちな重要な視点です。
クリエイションにおいて「想い」が第一走者であるべきなのです。
未来へのビジョン
未来は、表面的な事でモノゴトを選択するのではなく、想いや考えでモノゴトを選択する思考が養われ、本質を語れるものだけが残る社会へと変化していくべきです。それは、言い換えれば、本当に大切なことにフォーカスし選択をしていく要素から、世の中の「ミニマリスト化」と言えるかもしれません。
私たちが本当に大切にすべきことは何か。それを導くためには、モノゴトの数だけ存在する想いや考えに触れることが必要です。
このプロセスを通じて、自分自身の価値観を研ぎ澄ませることができます。そして、自己分析が整い自己発信が活発になれば、人々の暮らしを豊かにするコミュニティが自然と形成されるでしょう。モノや情報の数ではなく、その背後にある「想い」に触れられる社会。それこそが、私がデザインを通じて目指したい未来の形です。
私たちが本質を語れるものだけを選び取り、共感と意味のある世界を築いていく。その未来の実現に向けて、「想い」を大切にする価値観を、私は世の中に提供していきたいと考えています。