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批判的な意見を理解しつつ 視点を変え肯定的な意見を持つ 手間やコストのかかる建築から

建築物と視点の変化 自然素材がもたらす新たな価値


1. 自然素材と地域文化が織りなす建築

私が見たとある建築物は、地域の自然素材を活かしたもので、そこにはその土地の文化や風土が反映されていた。たとえば、蕎麦が有名な地域では、蕎麦を入れるザルを連想させる照明器具が設置されていた。このザルには根曲がり竹が使われており、地域特有の素材を使用することで、その建築は単なる建物以上に、その土地に根ざしたストーリーを語っている。

また、地域で取れる石を使った建物もある。外装や内装に至るまで、目に触れる部分はほぼ石で仕上げられており、自然そのものを感じさせる。このような建築は、素材の選択から設計に至るまで、その土地の自然と調和し、風土を尊重したアプローチを取っているのだ。


2. デメリットに隠れた魅力

しかし、自然素材を使った建築には、世間でよく語られる「デメリット」がある。自然素材は、時が経つと老朽化し、修繕やメンテナンスが必要になる。また、建物としての耐久性や快適性の面でも、一般的な素材に比べて劣る部分があるのは事実だ。多くの人が、自然素材の建築を「手間がかかる」「コストが高い」と見なす理由はここにある。

私も当初は同様の意見を持っていた。しかし、視点を変えることで、こうしたデメリットはむしろ建築の本質的な魅力となる可能性があることに気づいた。老朽化しやすいからこそ、修繕をしながら建物と共に生きていく体験が生まれるのだ。手をかけ、時間をかけて建物を育てる。その過程にこそ、建築物と人との深い関わりがある。


3. 森林の循環と建築の未来

自然素材を使うということは、森林の循環に参加することでもある。木材が老朽化したら、また新たに木を育てて使う。このサイクルは、単なる資源の利用ではなく、自然と共に生きる選択だ。森林の木を伐採し、その木を使うことで、森林の中に光が差し込み、植物が成長するための環境が整う。これは、自然そのものを守りつつ、人間の暮らしに必要な資源を持続的に利用する方法と言える。

このように、建築物を自然の循環の一部として捉えると、自然素材を使うことの意義がより明確になる。建築物は単なる人が住まう空間ではなく、自然との関わりを表す存在なのだ。

4. 手入れと人間の関わり

もう一つの大きな魅力は、手入れという行為そのものにある。自然素材の建築は、手入れをしなければすぐに劣化してしまう。しかし、手入れをすることで、建物の寿命は延び、その魅力も引き出される。これは、私たち人間が長い歴史の中で培ってきた知恵であり、自然に対する愛情の表現だ。

手入れを通じて私たちは、物との関係を深め、自然との対話をすることができる。木を削り、磨き、保護することは、まさに自然の一部と向き合う行為だ。これを無視して、メンテナンスフリーの考え方で建築に向き合うのは、自然素材の本質を見誤ることになる。

5. 自然と建築の共生

建築物をどのように見るかは、私たちの視点によって大きく変わる。自然素材を使う建築を、単に「手間がかかる」「コストが高い」と見るのか、それとも自然との共生の象徴として捉えるのか。これらの違いは、物事の見方の変化から生まれる。

人間の暮らしと自然は切り離せないものだ。自然素材を使った建築は、そのつながりを視覚的にも、感覚的にも実感させる。建築物は、人が住む空間であると同時に、自然の一部でもある。これを理解し、物事の本質に迫ることで、建築は単なる物理的な構造を超え、私たちに深い意味を与える存在となる。


建築物のビジョンやコンセプトを理解する知見を増やすこと
人間的に多角的な視野を備え物事を思考する
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