たまたま出会えた、とある本のこと
noteに、よなかくん、という人がいる。
その人が、今月『ぼくのあお4』という手製本を発行していた。
読み終わって、ふと書き残しておきたくなったので、ここに書いておこうと思う。感想というか、読んでいて心に残った、何かを。
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以前からnoteの記事は読ませていただいていて、気になってはいたけれど、実際に手製本を買うのは、今回が初めてだった。
届いたときのまず最初の感想は、「紙の手触りがものすごくいい!」だった。普段、本を購入して、紙の手触りを気にしたことはあまりない。
そのため、本文の用紙がここまで滑らかなことに、まずびっくりした。そして、用紙の手触りがいいと、それだけでずっと読んでいたくなるものだということにも、あわせてびっくりした。今まで本を読んできて、ついぞ経験したことのない感覚だった。
けど、この本のいいところは、用紙とデザインもさることながら、その内容だと思う。
何がいいのかを具体的に描写しなさい、と言われるとううむ、となってしまうけれど、なんというか、何気ない日常の切り取り方が、描写の仕方が、言葉の選択が、妙にツボにはまるのだ。忘れかけていた記憶に引っかかるような、普段表に出すこともない感情に引っかかって、ふたがぺりぺりとはがれていくような。
読んでいてだんだん、(むしろこれは私が読んでいてもよいのだろうか)という気にすらなる。それくらい、個人の感傷に引っかかってくるというか、響いてくる何かがある気がする。
あとは、単に今の私のテンションというか、状態、コンディションに、この文章が恐ろしくハマるのだという気もする。読みながら、部屋の片隅で思わずフフッと笑ってしまったり、ううむ、と唸ったりしてしまった。おもしろいなぁ、と思うけれど、さりとてこのおもしろさを人に伝えるのはむずかしいなぁとも思う。
それは、今の自分の感情を正確に言葉にするのがむずかしいのと、似たようなことなのかもしれない。
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本は、出会ったタイミングで、読んだタイミングで、受け取り方がまるで異なってしまうことがある、と個人的には思う。同じ本でも、読んだタイミングによっては、めちゃくちゃ心に残ることもあれば、あまり響かないこともある。
そういった意味で、今のタイミングで、この『ぼくのあお4』を読めたことは、少なくとも私にとっては僥倖だったと思う。初読でうまく入れた本は、その後読み返しても、響く個所は異なるけれど、読んでいて何かと響くことが多いから。そういう本に出会えることは、奇跡とまでは思わないけれど、しあわせなことだとしみじみ思う。
インターネットの片隅で、この本に出会えたことは、ほんとうにただの偶然だった。読みたいと思ったことも、買おうと思ったことも、ただ偶然が積み重なった結果にすぎないといっても過言ではない、ような気がする。
ともかくも、読めてよかったと思うし、なんなら次作も読みたい。しいて言うなら、前作も読みたいと思う。小説のほうも気になる。在庫、まだあるだろうか。
そういうことをnoteに書くのが、はたしていいことなのかはわからないけれど。ただ、それでも残しておきたいと思ったので。
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余談ではあるけれど、この本の好きなところの一つに、挿絵がある。本文のあちらこちらに描かれているのだけれど、なんていうか、かわいい。個人的には、29ページの下段に描かれているやつが好きです。
重版されたそうなので、気になった方は、ぜひこちらから↓