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致意君に聞いてみよう!(2023年1~2月)

今年の春節ごろ、ゲーム開発者の致意チーイーくんがweibo上で質問企画を執り行いました。その中から一部を抜粋・翻訳しました。おたのしみください。

注意!このインタビューは『端木斐異聞録』及び『連海カジノ』の内容を含んでいます。ネタバレというほどでもないので、気にせずお楽しみください。

Q1. ゲーム開発のアドバイスをください!

端木斐シリーズのキャラクターが大好きです。DLCや新作で、新しいストーリーを楽しみにしています。
本題ですが、《連海カジノ》のインターフェースはRen’Pyで開発されたと思えないほど豪華でした。Ren’Pyでのゲーム開発についてアドバイスをいただけると幸いです。
――August

致意:
Augustさん、ご質問ありがとうございます。
端木斐シリーズは僕が大学在籍中に製作した作品で、今見ると未熟な点も多いですが、それでもなお最も人気のあるシリーズでもあります。おっしゃる通り、魅力あるキャラクターたちの描写にご支持をいただいている一因があるのかもしれません。
作品のジャンルが何であれ、そのキャラが作中の状況下でどう動くかを現実的に想定して描写することは、よいキャラ作りの基本だと考えています。とくに中国社会では、「意在言外」(言葉で直接的に表現されない意味を相手に汲み取らせること)や、「心领神会」(言葉にせずとも伝わる本意、以心伝心と同義)などの非言語的なニュアンスを自然に会話へと組み込むのも重要です。今はゲーム製作に注力しているため、一般社会から離れて久しく、リアルなキャラクターのセリフを描写する力の衰えを感じています。また、時勢もあって現代大学生はオンライン授業がほとんどとなり、大学生探偵という作品テーマが現実にそぐわなくなっているのも残念です。またインスピレーションが浮かび次第、端木斐の新ストーリーをお届けします。ご期待ください。
さて、Ren'Pyでの開発ですが、自分もまだ修行中の開発者、ここまでお褒めにあずかり恐縮です。今回は「連海カジノ」を例にユーザーインターフェース(UI)開発についてお話したいと思います。
まず、AAAタイトルとインディーゲームではUIの扱いが大きく異なる点に気づいたかと思います。AAAゲームでは動的かつダイナミックなUIアニメーションが実装されていることが多いですが、インディーゲームでは力を入れる人手が足りないこともあってシンプルなものがほとんどです。これはゲームのクオリティに直結するものではありませんが、プレイフィールに影響を及ぼす可能性があります。例えばボタンのON/OFFを表現する際に、透明度を変更したり、インターフェースを表示する際に画面の端から中央へアニメーションさせることでゲームの質を最終的に高めることができます。プレイヤーは動くものに対して敏感であるためです。
Ren'PyにはATLというアニメーション機能があり、僕の作品でもほとんどのUIアニメーションはATLで追加しています。On, Eventステートメントを柔軟に活用すれば、簡潔かつ可読性の高いコードが書けるでしょう。これについて詳しく書くとキリがないので、ぜひRen'py公式のドキュメントを参照してください。
また、ATLでは表現できないアニメーションはフレームシーケンスでカバーすることができます。ですが、多くのメモリを占有するため乱用は控え、使用後はrenpy.free_memory()で、忘れずメモリを解放してください。
最後に、ここまでお読みいただきありがとうございました。私のゲームをご愛顧いただき嬉しく思います。どうか卯年が幸多き年となりますように!

訳注: Ren'py公式ドキュメント ATLについて
https://ja.renpy.org/doc/html/atl.html

Q2. ストーリーをどうやって考えるの?

はじめまして致意先生。私は高2のころ、初めて致意先生の端木斐異聞録をプレイしました。作中の大学生活は私の目にとても色鮮やかに映り、謎解きや事件捜査で活躍するのを見て自分もあんな大学生になるぞと息巻いていたものです。(この理想が過剰だったと思い知ることになるのですがw)その後大学には無事合格し、推理サークルに入り、(端木斐の影響で?)幽霊部員になりました。端木斐シリーズは私の青春の一部を彩った名作です。今後の展開も期待しています。
一番印象に残っている作品は『CODE CRACKER』です。ゲームデザイン、シナリオ、ビジュアル、音楽、どの要素も素晴らしい作品です。キャラでは方竹ファン・ジュー(訳注: Code Crackerに登場、学生会の会長)がお気に入りで、他の作品にも登場してほしいと願っています(『連海カジノ』のCCキャラのように)
質問ですが、こうしたゲームのシナリオはどのように思いつくのですか?過去に触れた作品のストーリーに影響されることはないのでしょうか?私もミステリー小説が好きでよく読むのですが、そのせいか自分の書いたシナリオがどうも影響を受けすぎているような気がして悩んでいます。致意先生のように斬新なシナリオを書くにはどうしたらいいでしょうか?ご回答いただけるとうれしいです。
最後に、あけましておめでとうございます、新作も楽しみにしています ——Kainei

致意;
自分の作品がKaineiさんの青春の1ページを彩ったと聞き、光栄に思います!『端木斐異聞録』もリリースから6年、時が経つのは早いものです。
実のところ、僕もうまく書けないことがままあり、セリフ1つ2つに数日悩むこともありました。クリエイターはオリジナリティある作品を作るのが望ましいですが、先人たちの作品と全く異なる作品を作ることは非常に難しく、本格ミステリーものであればトリックと推理の流れが似通ってしまいがちです。
もし今後もミステリーものを書くのでしたら、止まらず、書き続ける事が重要です。読者をアッと言わせることができれば、先人の名作がどうととやかく言われることはありません。むしろ過去の名作から学びを得ることこそが成長のカギです。ただし、最近売れてる作品を模倣するのはやめましょう。ご注意を。
実のところ、僕は本格ミステリ要素の構築は得意ではなく、作品の雰囲気や情感から先に書き始めます。
儚い感情の揺らぎから生じるきらめきを捉え、それを作品に昇華させることが僕の創作だと考えています。方竹のセリフは忘れられてしまうかもしれませんが、そこに込められた感情は忘れられない、それが物語の魅力だと思います。
インスピレーションが得られないときは、感情の変化を分析し、その原因を考えてストーリーに組み込むことがあります。この方法は役に立つかもしれませんね。最近は歌詞に影響されないよう、外国の歌を聞いて作業します。現在製作中の『ウィナーズブレイク』は『はじめの一歩』や『NARUTO』などの王道アニメのOPを聞いて作業しているので、若々しい熱血青春ものになるに違いありませんね(笑)
最後に、お互い良い創作と一年を!

Q3. 今後の展開はどうなる?

致意さんあけましておめでとうございます!
これまで致意作品は全てプレイさせていただきましたが、ここ数年は確実な進歩を感じています。『端木斐』オーソドックスなADVでしたが、最新作の『連海カジノ』では精緻なアニメーション演出を、そして現在開発中の『ウィナーズブレイク』では素晴らしい3Dモデルまで!ゲーム製作の熱意と愛、そして技術の向上を感じることができ本当に嬉しく思います!
他の質問者の方と比べたら浅薄な質問ですが、今後の作品の開発計画について聞きたく思います。DLCや新作などで過去作の主人公も活躍する予定はあるのでしょうか?
連海カジノでのカップリングごった煮はとてもよかったですが、本編主人公たちに公式CPはありますか?柳菫や凌霄、千田に広末、柯東に魏衣熏(?)は誰とくっつくのでしょうか?
また、『Code Cracker』の個性豊かなサブキャラたち『ウィナーズブレイク』に登場するのではないかと期待しています。
どうかよい卯年になりますよう!——MOMO

致意:
MOMOさん、お褒めいただき恐縮です!個人的には新しいことに挑戦したいと考えているので、DLCで既存のものに手を加えるより、新技術で新たな表現に挑戦する方が好みです。
ではなぜ『端木斐異聞録』でDLCがリリースされたかというと、2017年当時のSteamでインディー作品をリリースするにはGreenLightで投票審査を突破する必要があったためです。審査が通るか不透明なまま2作目をリリースするよりも、既存作品のDLCをリリースした方が確実だったのですね。今はシステムが一新されたため、過去作のコードに囚われることなく新技術をふんだんに使った新作をリリースできるようになりました。
『ウィナーズブレイク』以降の開発予定は未定です。今作で3D表現の経験を詰み、今後の新作で3D推理ADVを作りたいと考えています。
カップリングについては正直お答えしようがありません(笑)『Code Cracker』には魅力的なサブキャラクターたちが多数登場したので、『ウィナーズブレイク』にも再登場させたく思います。
それではよい卯年、よき一年を!

Q4. キャラについてコメントください!

好きなサブキャラ、好きな悪役、過去作で後悔したキャラについて教えてください。———刺猬

致意:
刺猬さん、お便りありがとうございます!
これまでたくさんキャラクターを作ってきましたが、強いて一人を選ぶとなると肖懿かもしれません。天真爛漫で端木斐と真面目に話し合うときは理知的な一面を見せ、格闘技の心得もある――現実にこんな逸材がいれば、誰もが相棒に選びたくなるでしょうね。
好きな悪役は白狼です。彼は純粋なる諸悪の象徴であり、存在そのものが死をもたらします。行動力も侮りがたく、個人としての能力も最強――『連海カジノ』では端木斐を大いに苦しめました。強い信念のもと他者を一切顧みず、モノローグも多いのでセリフも組み立てやすかったです。
最も後悔したキャラは端木斐でしょうか。当初は軽口をよく叩く飄々としたキャラで、大学生当時は大変気に入っていましたが、今にして思うと人生経験が不十分だった節もあります。ゲームリリース後に多くの批判が寄せられたこともあり、今では彼のセリフを考える時はかなり抑えています。実際に深海魆蜮では不安定で自閉的な青年になりました。次回作で彼をどう描くか、今も頭を悩ませています。
ありがとうございました、春節をお楽しみください!

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