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Awariaほんやく後記

↓ここから下はAwaria未プレイの方もあんしんしてお読みいただけます。

トンネルランナー、死地と化したトンネルを駆け、下層生存圏の保守に勤める者たち。
トンネル、数多の命を吸い、臥せたる者は亡者と化して生ける者を食まんと猛り狂う――
https://store.steampowered.com/app/3274300/Awaria/
アクションがニガテでもイージー難易度があるからあんしん。えっ、攻撃は別に緩くならないってマジ?気合でカバーだ。
買い。無料。アートブックを買うと作者のVanripperどんがうれしい。

手前味噌ですがいちおう日本語化ファイルもあります。たのしんでね。

↓ここから下はAwaria既プレイの方向けのあれこれです。スプライトについての言及もあるからアートブックも買うとええです(とりあえずゲーム)(しなさい)(無料で)

この記事の内容は全て筆者、陽炎01型の妄言で構成されており、なんら学術的な価値とか、ポーランド文学・文化の理解の一助とか、Awariaの解釈に役立つあれこれとか、そういうのはあまりありません。
本やらインターネッツやらで調べたはいいけど、この世には分からんことが多すぎるものです。もっと勉強せにゃいかんね。


日本語ファイルリリースの経緯

ぶっちゃけ読まんでもぜんぜん問題ないです。

遥か11月頭ポーランドのどこかで……

遡ること11月2日Vanripperどんのツイッター(現在はXを僭称)アカウントにて……

突如として現れたSteamストアページに、Vanのファンは歓喜し、困惑し、ウィッシュリストをポチった。その中の一人に私がいたのは言うまでもない。Helltakerから舞台を新たにし(世界観は繋がってそう)、アクションゲームらしいということ、ストアページ下の女の子がかわいいということ、Awariaはポーランド語で(機械的)故障を示すこと、プレイ動画を見るにガイコツロボットを連れ歩いてること以外は何もわからないまま夜と昼寝以外は眠れぬ日々が続いた――

ストアページのかわいいカットワイヤ(1)、名をこう書くと重複したファイル名みたいだ

時は来たれり

そして師走12月、突如として投稿されたAwariaリリース告知。22時間以内に核攻撃を敢行ゲームをリリースとのこと。いきなりすぎる!しかしパブリッシャーもないインディー開発があんまり発売を引き延ばすのもマーケティング的にあまり良くないことは(経験則的に)理解している。我々にできることはただひとつ。飯食って、生業なりわいやって、寝ることだけです――(ひとつではない)

そして来る12月17日0203時(Valveのサーバーレスポンスの都合で2時きっかりにリリースしても遅れることがあります)Awariaがリリース。
さっそくDL、起動確認。イカしたUnityロゴ装飾確認、キーレスポンス良好。1面クリア、スチル・テキスト表示ともに異常なし。ローカルファイル確認、テキスト実装状況チェック――クリア。地獄と同一を確認。バックアップ確保。タイトル画面とおぼしきファイルを翻訳、実装を……

確認した。ここで気付いたのが、今作の日本語フォントがいわゆる「中華フォント」(中華圏の漢字を実装したフォント。収録文字が抑えられるので容量圧縮につながる一方、日本人には一部の字体に違和感がある。「戻」とかね)ではなくちゃんと日本漢字が表示されてて感動した。前作翻訳時に行ったやりとりをVanが覚えてくれたのだろうか。(適当に選んだフォントが良かっただけかも)

そこからはプレイして訳して、プレイして訳して、死んで訳して、死んで死んで死んで死んで訳して……翻訳テンポ悪いな。とんでもない難易度曲線してるクソ難しいし、前回のように1週間のファミリアライズ地獄と親しむ期間もないのだから、いったんちゃんとクリアまで持っていこう。途中から時計は見ていなかったが、クリアしたころには日が射し、鳥が鳴き、近所の婆ちゃんが庭掃除していた。挨拶をしつつも、見得張ってノーマルでやるんじゃなかったな……と思わずにいられなかった。
後悔後に立たず、しかしプレイ後には爽快感と達成感で満たされた。あーよかったよかった。あっ、タイトル画面にギャラリーが追加されてる。いたせり尽くせりじゃ~ん……

……これは、アートブックだ。前作ではアビスの深淵Abysstakerに飛び込まねば至ることのできない聖遺物10ドルレリックがそこにあった。まさか――予想は常に当たるものである。嫌なものならなおさらだ。localフォルダに1つだけあったファイル容量がデカいアレ、アレは……アートブックが本編に同梱していたッ!!つまり、アートブックも日本語ファイルリリースと同時に完訳しなければならない。で、あることを意味していますよねぇ?

Vanの翌日リリース告知を受けて出したクッソ甘い見通し。
な~にが「言語依存ないけど」(キリッ)じゃ

あっ、ちょっと逝く。……わけにもいかない。私は自由槍フリーランス翻訳傭兵であり、環境は既に整っている。この世が残念ながら私好みの訳に満ち溢れていない以上、槍を手放すわけにはいかないのである。
完徹したこともあってか、ちょっとおかしなテンションでほんやく作業を再開した。そのフィードバックはキャラのあれこれに譲るとして、なんやかんや本編の訳は完成しました。やった~(銀河万丈ボイス)

そして同日17時、日本語化ファイルテスト版をリリース。案の定アートブックの内容は間に合わなかったが、いちばん意見が欲しい会話シーンだけでも一応の完成を見せたことは喜ばしい。というか体力が限界を迎えつつあった。
前作ではパズルスキップで会話内容をチェックできたけど、ご存じの通り今作にはそんなナイーブなものは存在しない。まあ前作の9面もアプデでスキップできるようになってたし、そのうちスキップできるかもしれんけど、今はんなモンないから自分でクリアしてチェックするしかないのだ。おかげでひとりLQAほんやくチェックで5周くらいやったことになる。イージーモードに感謝だ。

完訳!そしてリリースへ……

試訳はほんやく局(半公開私家訳共有コミュニティ)に集ったトンネルランナーの皆さんのチェックのおかげで、最終的に良い感じになりました。ありがとうございます!

アートブックの訳も(とりあえず)できたし、ハードの壁をぶん殴ったりして文字レイアウト調整をして……

できました!Vanripperどんの努力と皆さまの励ましのおかげで日本語版1.0.0リリースです。みんなありがとう。神に感謝。くっVanに負けた…(初手降伏)
「トンネル整備幽霊ナンパアクションゲーム」自分で書いといてアレだけどやたらゴロがいい。七言絶句みたいやね(1文不足)

余談として「Word from your boss:」の訳が反映されない仕様があったけど、
Vanに相談したらすぐに修正パッチを当ててくれました。ぐう有能

キャラについて

……の前に日本語版Artbookについて

今作はハードで全クリすればArtbookにアクセスできるストロングスタイルだけど、ハードをシバけない雑魚雑魚よっわ~い♡トンネルランナーのためにVanのオジキは10ドルでシノギをしています。1200円(執筆当時)なのが円安を感じて辛いなサム……今のレートだと1500円くらいになるぜ!

しかし、これでは英語版Artbookにアクセスできても日本語版に至るにはやはりハードをクリアせにゃいかん。そこでわしはVanのオジキと相談し、日本語版アクセス権配布のお許しを得ました。最高的感謝アザっす!

ツイタDMより[超意訳]Awaria訳してくれてありがとね♡
ほんやくコンテンツは好きに共有してええよ。
(めちゃ寛容)(神)(アンデッド)

Vanに感謝の意を伝え(ましたよね?)、私家Artbook配布の儀を取り仕切らせていただきます。まずこのリンク↓にアクセスして……
https://kagerou01gata.itch.io/awaria-unofficial-japanese-artbook

お手元の英語版ArtbookのP27page (27).pngを開いてください。そこの最後の単語、それがパスワードです。最後のピリオドは無視して、全部小文字です。

これでもうまくアクセスできない方はツイタのDMなりでご一報ください。対応します。

これで準備が整いました。はじめましょう。なお、今回は前回のようなメモがないのでキーワードを冒頭に記します。学術論文かなにか?めちゃくちゃ感覚と偏見でつけられているので、あまり気にしてはいけない。

ズモーラZmora

足の破れについてはArtbook4ページを参照してください

フルネーム: ゾフィアZofiaズモーラZmora
キーワード: 眼鏡、電気、ヒステリック、カスのアルマ・アルマス

最初に出会う幽霊少女。バチバチ感電死したそうだけど、保護手袋とかしてなかったの?……してなかったわ。
ズモーラは古いスプライト(zmoraOld)も一緒に入ってるんだけど、手も緑にピカピカしてるってことはそういうことなんすね……逆に言えば、彼女の死因は幽霊によるものではなく、感電による労災と推察できます。さらに言えば、どうも本編に登場するセクターFの低級霊たちはみな労災で亡くなったようです。(幽霊に殺されたらそのまま食べられちゃうしね)TF2Team Fortless2のマップばりに環境キルが横行する職場、あまりにも嫌すぎるぜ。

彼女を訳すにあたって、「ピリピリしてる」のを第一に意識しました。死因が事故死となれば悪いのは自分だけど、自分を責めたところで生き返れるわけじゃないし(あのオッサンHelltakerはいろんな意味で例外なのだ)、生きてる連中を見れば同じ目に遭わせたくなるし、けど殺したところで自分の現状が良くなるわけじゃないしで八方ふさがりだもんね。)スプライトの攻撃モーションもずっと怒ってるよ)

ズモーラは他の幽霊たちと違って、友だちと言える関係の奴はいないから気を紛らわせることもできやしない。というか作ろうとしても、身体(もうないから正確な表現ではない)が勝手に「ピリピリ」するもんだからコミュニケーションは困難だろうなぁ。ウラが来てくれてよかったよ。ホントに。

生前の姿。ズモーラはめちゃ穏やかだし、
ウラがズモラの胸と尻以外の部位を見ている点でも貴重なカット。
よく考えたら制服が脇丸出しなの前衛的すぎる

ズモーラの余談

Artbook4ページでVanは現実世界の服を着てるアイデアを惜しんでるけど、マジでずっと引きずってて5ページや7ページに意地でもメガネだけでも現実世界のモノにしたがってる。たぶん成仏とかした後にメガネだけが残る奴。けどまあ最終的にメガネも他の服と同じ扱いになりました。設定の一貫性かしらね。

ポーランド語でズモーラzmoraは悪夢の原因や災いを意味します。現状にピッタリすぎる……本当にウラに感謝しないとね。

質問来てた!「なんで『低級電気霊』じゃないんだ?電気の方がすっきりするのに」もー、パパったら古いんだ。一応この訳には元ネタがあり、Warhammer40k偏屈オタクボドゲ電磁騒霊Voltagheistです。後述するドローンもモロに元ネタに抵触するのですが、そっちはセリフとかで言及されないんで、二つ名に翻訳反映させました。あと「電気霊」だとちょっと言葉のパンチが弱いしね。8面ズモーラの3連パンチに何度床ペロぶっ殺させられたことか……

マジの余談として、Van兄貴はWH40kがだいすき。
Twitter(Xを僭称)のヘッダーの彼女も同世界観の小説に登場する聖サバト……
ジャンヌ・ダルク的な少女です。小説は基本的に英語しかないからちゃんと日本語訳もほしいぜ。
https://www.deviantart.com/vanripper/art/saintSabbat-811190447
ソースはこちら。Vanは他にもいろんな作品を投稿してるよ。

カットワイヤCutwire

電気工事で言うところのカットワイヤーはワイヤー放電加工のことを指すよ。
ゲーム中では特に関係なくラジオペンチやワイヤーカッターで攻撃してくる。
……もしかして道具の使い方研修されてない?

フルネーム: キャロラインCarolineカットワイヤCutwire
キーワード: (強き)メスガキ、ファンネルガキ、自己実現ガキ

※本稿では自傷行為についての言及、考察、分析があります。なるべく耐えてくださいね。(ニキータの項目までジャンプしてもええです)

めちゃくちゃあざとく強き者。どうもVanは(合法的な)ロリを描かないと気持ちの整理がつかないらしい。しかし見た目はあざとくてもクッソ厄介。特に1の地雷をディスペンサーアイテムくれる奴の前に置く奴。マジでキレそうだ。
さて、彼女(たち)の死因はドアによる両断なんだけど、本編中にドアのトラップは実装されていません。ですが、皆さんは見たことがあるはずです。思いだしてみましょう。さあっシンキング・タイム――

あまりに重厚。上下の文言は「超常現象警告」を意味します。
トンネル運営者は誰のせいなのか考えた方がいいよ

あっ、これかぁ!ロード画面のコレじゃ、まあ死ぬでしょうね。スプライト名もコレが何であるかを示しています。というか妖気漏れ出てますよ。

さて、彼女(たち)がカットしているのはワイヤーだけではありません。ふたりの手首周りには大量の傷跡が……リストカット痕です。
リストカットは自傷行為の一種であり、いわゆる非自殺的自傷にあたります。こうした自傷行為の原因はさまざまなものが考えられますが、カットワイヤの場合は抑鬱(彼女の場合は躁鬱も含む)に起因しそうです。

躁鬱の観点からみれば、カットワイヤ1, 2は実に対照的です。1はあっけらかんで活力に満ち、初見の主人公ウラ相手にまったく物怖じしません。それどころかキスをした後も手玉に取ろうとする節があります。
一方で2はキョドオドして目はびくつき、話そうにも獣のような遠吠えを叫ぶことしかできません。どちらが躁でそちらが鬱(を表象している)かは記すまでもありませんが、かなり重篤な感じがします。生前のカットワイヤがどちらかの選択肢を選んでも、どちらかの自分の気持ちはおざなりにしてしまう――そんなうつろな気持ちを抱えながらの彼女は自己矛盾を抱えて、「トラップですらない」扉で死んでしまったのです。皮肉なことに、この死が彼女の矛盾を解決してしまうのですが。

(ふたりめ!)は完全にアドリブです。2000年代アニメのセカンドシーズンみたいだ

躁鬱の原因は作中およびアートブックでは明らかにされていませんが、後述するニキータに母親としての立ち位置を設けたのは、カットワイヤが近くの人親族・友人からの愛に飢えていたのではないか、と勝手に邪推してしまいます。……ほんとに邪推だからアテにしないでね!――たぶんそこまでVanripperせんせ考えてないと思うよ。(考えてるかもしれん)

話がそれますが、ズモーラとカットワイヤは対照的な生前・死後を過ごしています。生前のズモーラはスチルを見る限り「普通」の生活を送れていましたが、死後は何もかもうまくいかず、記憶を取り戻すまで5回も暴れまわりました。作中で高次Highに至ったのは彼女だけだしね。(ストリガは最初から超級Ultraだから例外だ)
カットワイヤの生前は躁鬱とリストカットから推し量ることしかできませんが、傷つけねば生きられぬ程度には辛いものだったでしょう。ですが、死後は充実していそうに見えます。確かに敵としてしつこく登場していますが、彼女たちの戦う動機はパイで懐柔される程度には軽薄です。ウラとも友誼を結び、ズモーラをからかう一面7面も見せました。ウラが来る前も死後はエンジョイしてたのかもしれませんね。(来てからは楽しみが増えたことでしょう)

めちゃ好きなシーン。
原語だと最後に「!」はつかないけど、ここはつけた方がよいと判断しました。

ふう、めちゃ書いたな。半分くらいカットワイヤーボツにした(超オモシロジョーク)はずなのに……あっ、ほんやくに関してはあまり悩みませんでした。明るく元気で楽しい1号とびくびくしながらも自分の足で進める2号。(宙に浮いてるから正確な表現じゃないね)
質問がありそうだから一応書いておくと、一人称は1は「うち」で2は「わたし」(多分喋れないけど、生前はこう言ってたんじゃないかな)をそうていしています。ただし本編で書く必要がなかった――日本語は会話中の一人称が省かれる傾向にある)ので、書いていません。今後まんがを訳す機会があれば書くかも。
……ああ、分かりました。そんな目で見ないでください。死後の2号は「ボク」だよ。けどやはりまんがの出方次第で調整するかもしれません。これは記事執筆当時の見解、ということで。

カットワイヤの余談

読まんでええ内容です。まあそれを言ったら全編読まんでも大丈夫だけど…

「『カットワイヤ』なんてまぎらわしいな、いっそ『カットワイヤー』にしちまえばいいのに」(cv.屋良有作)――別に国語のテストじゃないからどう読んでも良いと思うけど、わしの訳で「カットワイヤ」としてるのは単語をちょうど半分に分けられるからっすね。(あと表記からわしの訳でプレイしたかを判断することもできます。まあこれは今気づいたんだけど。)

「どうして翻訳アップロードツイートポストの最初のキャラがカットワイヤ2なの?」――かわいいよね。正直Helltakerを既にやってる、何ならAwairaのリリースを既に知ってる人はここにあるスクショはほとんど見ません。いや見るけど、ゲームをプレイするか否かの判断材料にはしません。「やる」か、「後でやる」(週末とか)の二択です。
ですが、そうでない人……つまりHelltakerのことを忘れちゃったり、知らなかったりするそんな人たちにプレイを希求するしてほしいナ♡意図をもって彼女を出しました。かわいいからね!Helltakerの翻訳ファイル告知ツイートも同様です。ケルベロスはかわいいし……ズドラーダは完全に個人の趣味だったりする。(名前の知らない人の出るHeaventakerは「一応」隠しエンディングだしね)

さて、カットワイヤもケルベロスもVanripper氏のなんかロリ(しかもおっぱいがデカい)描かんといかんという根源的欲求から生まれたとされますが、(めちゃ諸説・異論あり)彼女たち(合計5人)は同一の人物からの派生でありながらまったく異なる変化を遂げたのは興味深いです。
ケルベロスは同一(ただし性能が劣化した)の複製をつくることができるのに対して、カットワイヤは全く異なる2人の人物に分かれました。個人的には分かれたあともみんな仲良しでマジよかったと思うぜ。じぶんどうしのあらそいは、みにくいものだ。

ニキータNikita

かぁ~げきえろっ たぶんベルトハーネスのおかげ。
ニキータの場合は重量バランスの分散を図っています。重量物は全身を使うのだ
噴射炎を扱うのでショートヘアなのも納得です。彼女の場合は元々ショートな気もするけどね

フルネーム: ニキータNikitaナプラヴァNaprava
キーワード: マッシブ、火炎、母ちゃん、Firebat50min, 25gas

Artbookにもある通り、最初はズモーラが炎で攻撃する予定だったけどいろいろあって能力が他の幽霊少女たちに割り振られました。炎を使った攻撃といえば……そう、ファイヤーボール!火炎放射器ですね。先述のふたり(正確には3人)とは異なり、ニキータは服装、勤務態度、性格、行動、どれを見ても優秀……というか普通です。スプライトを見てもらうと芸コマ、炎を出す前にちゃんと遮光ガラスを展開しています。(まんがでも展開してるね)まあアレっす、手袋しなかったりトラップでもないドアに殺されるあいつらが特別おかしかったんです。

ニキータの死因は右腕の大やけどを見るにおそらく焼死。あんな全方位に炎をまき散らす現場じゃ、重いボンベを背負ったニキータでは避けることもままならなかったでしょう。実際、ニキータの移動速度は名前付きネームドキャラで最遅ですし。(名前が無い奴だと12, 13面の自爆ガイコツ。アレは幽霊なのかストリガの生成物なのかは謎です)
個人的には背負った燃料タンクが爆発しなかったのかが気がかりです。マイケル・ベイの映画だと幽霊も爆発で吹っ飛ぶ節があるし。とりあえず爆発はしてない……のかな?

ほんやく面の話をします。Artbookには狂った母親とあり、実際主人公|《ウラ》に対しても我が子のように扱います。しかしまあ狂ってるので火を通そうとしたり食べようとしたりで様子がおかしいです。うーんどうしたものか。

色々考えた結果、ニキータの言動は「ニキータが理想とする母親」を心から信じて演じていると解釈しました。ニキータ自身の母が彼女のような言動をしていたのか、それともドラマやアニメのようなフィクションを通じて得た母親像をもとに構成したのかは不明ですが、一人称は「母ちゃん」親身になって関わろうとする姿勢は意識しました。狂うにしても背景がない以上暗中模索の翻訳でしたが、最終的には皆さんが満足ゆくものとなればうれしいです。

ところで、ニキータは10面後の会話で素を見せます。ここでは「狂った母親」ではなく、「トメ付き合いが長い嫁」を意識した訳にしました――根本的には狂ったままなので注意っす。一人称が「わたし」なのもそのためです。ヤーガは怒らせなければ優しい(無意味に痛めつけないという意味)ので固くなりすぎずに素直に白状する等身大に訳……せてたらいいなぁ。こういう微妙な立場をなんとか乗り切ろうとするシーンは非常に好きです。

ニキータの余談

アートブックP10にはニキータについて色々装備を検討しているのが見受けられます。わしは右上のバイザーデザイン候補集がすき!デザインと実用性の両方を思索するのをみるのはたのしいものです。
さて、ここでカンのいい子は気付いた屋もしれませんが、心なしか本編より全体的に重装甲気味な気がします。これはおそらくモチーフに大人気RTS(RTSは大人気ジャンルなのでこの接頭語は本来不要である)Starcraftスタークラフトの火炎放射兵Firebatファイアバットにインスパイアされたものと思われます。あとLoLのヴァイVi……たぶん。わしが勝手に言ってるだけなのであんま気にしなくてよいです。(もしかしたらラストオリジンEaiがやってるやつのイグニス要素もあるかもだけど、そっちはプレイしたか不明です。直近の近況報告動画ソシャゲGacha-gameやってたと言ってたけど、何プレイしたのかねぇ……あっ、明日箱舟アークナイツやってたわ。海猫プロデューサーに伝えたらコラボイベントになりかねないからナイショにしような)

みんなニキータのスプライト見た?見たよね(なさい)すげぇよな、おっぱい。画像ビューアで動かすとたのしい。やっぱVanのつくるアニメはイカすぜ……

ナプラヴァNapravaの苗字はポーランド語で(機械的)装置・構造物を意味してるよ。Awariaはこれを故障させる意味があるから、相性は最悪ですわな。

主人公ウラ・Ula

地下世界の問題をキスとプディングパイだけで乗り切ろうとする女傑。
そういえば今作のArtbookのスプライトには立ち絵の素材は入っていない。
3面のウラも同じポーズでキスしてるんだけど……やっぱ一枚絵だからダメかもしれんね。

フルネーム: ウラUlaウステルカUsterka
キーワード: チビ、プディングパイ、無口、pup

友だちを救うために危険極まりない地下世界へ飛び込み、見事目的を達成して地下世界を牛耳る女……こう書くとあまりにも無茶苦茶だけど、実際そうなんだから仕方ない。このウラ・ウステルカって女は前作主人公に負けない程度にはつえー女なんだ。

さて、ウラのモチーフは犬……というかワンちゃんです。気になった人には宝物のプディングパイをあげ、一緒に遊んだあとはなかよしのしるしにキスをします。――なんか書いててむずがゆくなってきちゃったぞ。これもしかしてギャルゲー?

めちゃカッコいい骨ワンちゃんのロゴ。クレジット画面にも両脇におすわりしてるね。
サバゲ装備につけるワッペンに使うひとがいそう。

……たぶん百合ゲー。さて、それを裏付けるように、タイトル画面のあちこちに骨だけになった犬が見受けられます。
関係があるかは不明ですが、ポーランドの隣国ドイツ(というかプロイセン)ではトーテンコプフ(ないしトーテンコップ)という髑髏ドクロをモチーフにした紋章が伝統的に使われていました。(同様の紋章は東側の隣国ロシアや、海の向こうのイギリスでも使われています。あと同国のボドゲ、warhammer40kでも)これらの髑髏の意味は骨になるまで戦う軍人の象徴として使われていました。(あとカッコいいとか。Vanの自画像もアンデッドだしね)
これとスパナを加えた犬を絡めて考察すると、トンネルランナーたちが所属する部門(もしくは部隊)のマスコットなのでしょう。実際、トンネルランナーの多くは骨になっても職場で活動しています。職務を遂行しているわけではありませんが……

さて、ほんやくという点では特に言う事はありません。というかセリフがまったくない。なので周囲の人物の描写で彼女について知ってもらう必要があるわけです。ひゃー、こう書くと大変そう。けど大丈夫。前述した内容の通り、ウラはかしこいワンちゃんなのでカットワイヤをお菓子で買収し、ニキータの懐に潜り込み、ズモーラにはウザがられながらも体当たりアニマルセラピーで記憶を取り戻させました。……やっぱすげぇよウラは――

ウラに関する余談

翻訳に関して唯一の不可逆的反省点をここに記します。キーワードの最後にあるpup子犬はヤーガのウラに対する二・三人称なのですが(そしておそらく、他の新入りのランナーたちもこの名でよばれていたのではなかろうか)、日本語訳では「ちっこいの」としています。原文に忠実に訳すなら、「ワンころ」「犬(っ)コロ」あたり適当なのですが、ウラはだいたいのキャラと比べて小さいので、その点も考慮したい、かといって「子犬ちゃん」は色々論外だし、妥協点として「ちっこいの」を選択しました。まあ犬に使う言葉でもあるしな……これについて後悔はありませんが、選択をするということはそれ以外の可能性を切り捨てるということはゆめゆめ忘れることなきようにしたいものです。(ルビが使えればより妥協できる手も打てますが、世界でルビを使う文化があるのは日本くらいやね)

ウラは主人公なんで至るシーンに出るわけですが、だいたい相手の顔をちゃんと見上げています。忠犬やねぇ。そういう真摯なところが評価されるんだよ。しかし、ズモーラ相手に関してはたまに尻と胸をガン見しています。えー、本当ホントでござるかぁ?例えばここにArtbookサンプルとして名高いP4の私訳があるのですが……

ストアページで性癖開示をすることでユーザーの信頼を勝ち得ようとするストロングスタイル
このVanripperってアンデッド、きっちりした服の女の子がすきなんだって(流布)

右の主人公の視線、なんだお前その態度は~もしかしてお前、ズモーラのことが好きなのか?(青春パート)まあ好きというか大好きだし、そうでなきゃこんな地獄みたいなトコこないよね。ちなみに犬が人間の尻の匂いを嗅ぐのは仲良くなりたい行動にあたります。じゃあウラが胸を見るのは?おっぱいがでかいなぁ。と思ってるだけだと思うよ。(一応犬のためにフォローすると、胸には汗腺が集中しているので匂いも集中する……らしい。ウラの嗅覚については全く情報がないのでノーコメント。)

ウラの顔はよく見ると模様になっているんだけど、これが何を意味しているのかは何も分かりません。ライティングだけでこうなってるのかもしれないけど、同じ生者のヤーガを見るとそういうわけでもなさそうだし、やっぱ分からないぜ。ArtbookのP6をあたると、やはり何らかの意図がありそうな気がします。とりあえずズモーラの生前にはついてなさそうだけど……わしはたぬきみたいでかわいいとおもいます。

ウラが連れてるガイコツドローンの元ネタはサーボスカルServo-skull。この記事で名前がもう何回も出てきたWarhammer40kの一般的作業用ドローンです。材料は人間の頭蓋骨。趣味悪っ(直球罵倒)
Awariaに登場するドローンはヤーガともども犬がモチーフになっているようです。このゲームは犬の物語なんやねぇ。

Ulaウラの苗字、Usterkaウステルカはポーランド語で不備とか不具合って意味があるんだけど、本作のタイトルAlbina Awariaアワリアはポーランド語で(機械的)故障や失敗を意味します。そして、アートブックP16で言及された女王の名は、Albinaアルビナ Awariaアワリア. ウラの母が王室の厨房にアクセスできるコネがあるとを考えると、ウラは王室と親戚ないし、血縁関係があるのかもしれません。……もしかしたら物語の根幹を衝いたかもしれんな、たぶん伏線だからみんなにはナイショだぜ。

ヤーガYaga

彼女を下の名前で呼ぶシーン。
ストリガとの過去はあまり語られていないけど、少なくとも15年モノの付き合いではあるらしい。

フルネーム: バーバBabaヤーガYaga
キーワード: 古参兵ベテラン、髑髏、武闘派魔女、ジェネリックブギーマン

今作第二の主人公、ヤーガおばあちゃんです。新人9人が死んでも素知らぬ顔ができるあたり、イカれた環境でめちゃくちゃ死に慣れている古強者です。ステージ選択画面で彼女が世界観の補強をするシステムは非常にイカすし、テンポも妨げないので気に入っています。枠内でちょっとしたアニメーションを入れるのがVanのセンスを感じて……いいネ!

さて、彼女は地下世界のことを教えてくれますが、彼女自身のことはあまり教えてくれません。とりあえず分かるのは20年間ここで勤務しているということと、15年前にストリガと一悶着があったことだけです。あとアレだ、ダッシュができる。ハードモードやるかぁって時に、前の周で使えたダッシュが使えなくなって泣くまでがテンプレ。(一敗)(一杯パイ食べれてよかったね)

左目を前髪で隠してるけど、左目が見えないのかどうかは分かりません。Artbookを読んだ感じ左目も書いてるのでヘアスタイルの一環なのかしら。あああと肝臓だけはスペシャル仕様っすね――変成アルコールもどんと来い。……やっぱり15年前に何があったんだよ。これが分からんことにはなんもわからんちん。うかつなこと言えんぜ。

ほんやくの話をしよう。(ハーバード大学)あー、彼女の一人称が俺なのは周りの人が俺を使っていたから、です。(タフな)男だらけの環境で過ごしたとか、出身地方で男女問わず俺を使っていたり、自分の師匠の一人称が俺だったからそのまま引き継いだとかそんな感じです。過去が分からない以上、空白をある程度の自由性を持って埋めていきます。とりあえず言えそうなのは、彼女は「男の真似事」をしているわけではなく、自分らしく生きることを突き抜けたらこうなったと解釈しました。ぶっちゃけVanのオジキの作品に出てくる女は基本的に自分を貫いて生きてるけどね。

スクショがほしくなったので文と無関係だけど入れます。やさしい。

ヤーガに関する余談

ヤーガの顔には顎部より上部に明確な化粧(ないし模様)が見受けられます。この部位にペイントを施すのはメキシコの祭り、死者の日を彷彿とさせますが……死者の日とスラヴの武闘派魔女がどう関係するのかはぜんぜんわからん。
まあともかく彼女は生者ながら、顔に死の象徴である骸骨を掲げる存在になりました。ここで、彼女に対して一つの疑念が浮かびました。彼女は死ねないのではないか、と。
ウラのステージ中の撃破アニメーションを思いだしましょう。前半は幽霊パワーとおぼしき巨大な手に掴まれ、最終面では前作よろしく電撃で一発です。その一方で、ヤーガの撃破アニメーションは巨大な棺の中へ閉じ込められるものとなっています。これはヤーガに執心するドクターストリガの意向に依るものが大きいのでしょうが、それでも霊力による直接的干渉をしていないアニメーションなのは何らかの意図があるのやもしれません。

ここでおめめ閉じてるのめちゃくちゃすき。かわいいよね。

変成アルコールDenaturatは作中の先輩ボスのお言葉で説明を入れた通り、メタノールを配合して着色した工業用(エタノール)アルコールです。「変成アルコール」とだけ書いても、工業系(あと美術とか)のあれこれやったことがないとピンと来ないかもしれんのでカッコで補っておきました。念のためってやつです。
さて、この事実から幾つかのことがわかります。まず、ヤーガの上司(たぶん間にはめっちゃ中間管理職が入る)……たぶんAwariaアワリアはめちゃくちゃトンネルの現場を軽視しています。一般的に鉱山などの過酷な環境で働く労働者に対して、会社は厚待遇をします。辞められたら困るし、過酷な環境で死なれたりケガされたりしちゃ運営が立ち行かなくなっちゃうからね。(今じゃ信じられないかもだけど、あの夕張もむかしは日本有数の発展した地域だったんだぜ)しかし送られてきたのは人が飲めない変成アルコールDenaturat。こいつは酒税回避のためにわざわざエタノールを入れてるので、本当に末端の兵隊はどうでもいいってことなんだね。Artbookにちゃちな蜂蜜酒について言及されているあたり、まともな酒を呑めるのはお偉方だけなのでしょう。
よだんの上に余談だけど、Artbook最終ページにあったパンを使ってアルコールを抽出するアレは、実際に1910~20年代のロシアで禁酒令が導入されていた時に実際に行われていました。バーバ・ヤーガの名もロシアの魔女を指す言葉だし……もしかして当時からご存命でした?

念のため、一応、バーバ・ヤーガ(音的にはバーバヤガーの方が近いかも)について触れておきます。スラヴむかしばなしで子供をたべる悪い魔女として描かれ、姿は痩せこけ臼に乗って空を飛ぶとか。うーむ、今作のヤーガばあちゃんとはあんまり関係がなさそう。個人的にはジョン・ウィックの異名の方が彼女に近い気がするよ。言ってもこれも完全な印象だけの話ですわね。

過酷な労働環境、二本指を逆に向ける罵倒仕草、怒りに満ちたセリフ……一番好きなシーンです
(サムネに使う程度には)

ドクターストリガDoctor Strzyga

社会性があれば大成したしすきなあのコ(皆さんご存じ)彼女にできたであろうに、
盲目になりすぎて

フルネーム: シルヴィアBabaストリガStrzyga
キーワード: 頭脳派魔女、眷属、ハンドラー、シチシガ、Strigoi

ドクターストリガは終盤に突如現れたキャラではありますが、プレイ時間の都合上多くのプレイヤーは彼女と「仲良く」させられたのではないでしょうか。特に11面。なんだあの水平ダッシュをジャマするためだけに作られた下の出っ張りはよ~!

さて、彼女の戦闘スタイルはこれまでの幽霊(と生者)たちとは一風異なります。手ずから作ったであろう犬型ロボットwendogoや、牛のような犬型ロボットbigDogo(でも頭は鹿だ)、13面(とヤーガの被撃破シーン)に現れるバカでかい犬頭Bossheadなどの多種多様の犬ロボを繰り出してきます。(デカい頭も頭の長さから鹿がモチーフかも。スラヴ圏では鹿は呪術的なあれこれや悪魔のモチーフに使われがち。しかしVanの悪魔たちはアレな連中だからあんまこの分析は参考にならんね)
余談ですが、ヤーガの連れている犬の頭をしたドローンも、おそらく彼女の作品でしょう。確信はぜんぜんないけど。
あとスパナ掲げたスケルトンみたいな戦列歩兵と、自爆するドクロみたいなやつがいますが、こいつらも側頭部にデカいネジがらしきものがあるあたりロボット(もしくは霊のサイボーグ)と見受けられます。

あと彼女自身の足がめちゃくちゃ速いのもちょっとビビる。推進装置らしきものはないので、気合と根性で飛んでるのかしらね。ズモーラが高次霊になったらスピードが増したように、霊として強くなると速度も上がるのでしょう。しらんけど。早くなってるんだからしょうがない。

12面の上段ではリッチなむかしRPGの戦闘シーンめいて踊りながら攻撃を指揮していましたが、13面では姿を消し、デカい犬頭がガシュガシュ動いていました。……もしかして13面の間、別画面で縛られたヤーガ鑑賞会してました?
これはヤーガの項と繰り返しになり恐縮ですが――ヤーガがやられると犬の棺にしまう一方、ウラxズモーラがやられると電撃で吹き飛ばされます。ストリガにとって、ウラは消し炭にする程度にはどうでもいい存在なのでしょう。……もしかしたら、イチャつく姿に腹をたてたのかもしれませんが。

さて、ほんやくにあたってストリガについて注意したのは、彼女は「愛の人」という点です。まずヤーガに対しては偏執的なまでの愛情があります。偏愛と言っても過言ではありません。そして、自分に対する愛、自己愛もすさまじいです。自分勝手な都合でヤーガを振り回します。15年前に関係が「賞味期限切れ」になったのは、ストリガのそうした気質に問題があったのかもしれません。
Artbookの後日談によれば幸いなことに、ちゃんと愛のバランスを自己管理できれば普通に過ごすことができるようになったらしくあんしん。一時的であれ、まあ常人の一生の程度の「一時」が続けばそれはもう立派な夫婦じゃないかしらね。

ストリガに関する余談

ストリガStrzygaの苗字はスラヴ圏の同名の妖怪、ストリガ(ロシア風に読めば「シチシガ」わしはポーランド語読みを採用しました)に由来します。死後の女性や、洗礼を受けずに亡くなってしまった赤子が蘇り、血を求める――わしらの知るところの吸血鬼になるとか。
元ネタの方のストリガはフクロウに変身することがあるらしく、森に迷い込んだ者の血をすするとか。フクロウは知識の象徴だったりもするので、それに関係して「ドクター」の方に技術者的性格が付与されたのかもしれません。まあフクロウの何かが出たわけじゃないのでこれはこじつけだけどね。

11面で背中から大砲を出して砲撃するやつ、砲弾の軌道と発射アニメーションから元ネタはWarhammerFantasyBattle(もしくはOldWorld)の|ポイズンウインド・グローバディア《Poisoned-Wind Globadier》かもしれません。まあ背中から大砲撃つのは他にも例があるから何が元ネタかは絞れないけどね。ポポロクロイス物語のガミガミ魔王かもしれんし。

しょうもない感想書いていい?書くね。

たぶんAKIRAのパロディ。触手とか
歌川国芳の浮世絵「がしゃどくろ」リスペクト……かも。
シューティングゲームとかで似たような構図使われてるんでそっちかもしれぬ
こんなシーンでも中指を立てるヤーガがイカすぜ

疲れちゃったのでこのへんで切り上げます

なんか久しぶりに無秩序無計画無謀にものを書いたけど、まあまあ楽しかったですわね。皆さんのなんらかのお役に立てば幸いです。(……たつの?)
とりあえず次書くときはまず構成メモくらいは用意するべきだったと思いました。書く内容は決まってたし、ジャキジャキ書いてたけどちょっと長すぎましてよ。短く美しくワイルドな読みやすい娯楽文章をつくりたい。修行あるのみだ。

あっ、あと何か訳してほしい作品とかがあったらお気軽に申し付けてください。開発やパブリッシャーに連絡して問い合わせます。翻訳がアレな作品とかも聞きに行きます。忙しくてもこれくらいはやらんとね。

サポートとかしてくれるとこうした怪文章がもっと出しやすくなります。さすがに今回は重すぎるので、もうちょっとテーマを絞って読みやすく管理しやすくしよう。ウン。

それではまたどこかでお会いしましょう!またね!

おまけ: "local"フォルダを読む

寝たら元気になったのでもうちょっとだけ書きます。おまけみたいなものです。"local"フォルダ内の.jsonファイルはテキストエディタなどで読めるよ。キミもキミが思う最強の訳をつくろう。おれもやったんだからさ。

1.json

数字からはじまるファイルは各ステージクリア後の会話に対応しています。これは「1」だから1面クリア後、ズモーラとの初対面です。たしかかわいーとか言ってた気がします。メガネだし。(前作でも最初のステージキャラは女の子だったし、次回作もそうなるかもしれない)
訳として面白いところはないけど、「100倍返し」は原文に入っていないからわしが勝手に付け足した奴やね。これまでズモーラに対峙したトンネルランナーのほとんどはココでわけもわからず殺されてたけど、生き残ってあまつさえキスされたんじゃたまったもんじゃないよね。あと怒りはここからどんどんヒートアップしていきます。
……一番下にコメント合うとした文があるけど、普通に消し忘れです。最初にテストを行った訳の名残ですわね。
ダッシュ、あっ――←コレです。やはり繋がってる方が美しいので使う時はちゃんとフォント指定したり何らかの工夫をしないとなぁと思います。Ren'pyならこのへん楽なんだけどなぁ……

2.json

このシーンすき、ウラの人の良さに殺気立った幽霊ものまれる最初の例です。上目づかいでお菓子出す姿はあまりにもワンちゃん。
ズモーラの口調はこの辺りで確定しました。最初はインテリの可能性が微粒子レベルで存在するかもと思ってたけど、このひとはかなりの脳筋です。

3.json

カットワイヤちゃんすき。(こいつだいたいのキャラ好きになってんな)翻訳中に改行(<br>)が使えると気付いたのがこのあたり。最後のセリフのリズム感を出すためには、一文を流し続けるワケにいはいかんのです。幸い今作は文字表示スペースにかなりゆとりがあるので、改行を多用しています。地獄はかなりタイトだし、解像度によっては3行目以降が表示されなかったりもしたからめちゃ気を遣った……気がする。

元の文がリズミカルだと相応のリスペクトを払うのがわしのポリし……いや趣味です。未熟ゆえできないこともあります。でもやるんだよ!Cultist Simulatorとかを開発したWeather Factoryのブログで「文章のリズム――神、尊重しないとよくないし最悪死ぬ」みたいなこと書いてたし。(めちゃくちゃうろ覚え)

4.json

カットワイヤちゃんすき。(2回目)
さて話は唐突に始まるんだけど……『浮雲』で知られる二葉亭四迷はロシア文学の翻訳者としても知られてて、「原文を忠実に訳そう」と躍起になっていた時期があった。原文の文法に沿うように直訳し、句読点の位置、文字数、改行位置に至るまで「原文を読むのと同じ体験」を翻訳を通じて行おうとしだんだ。けど、彼は気付いた。こんな小手先な工夫を凝らしても、「同じ読み」にならないじゃないかと。
そこで彼は意訳を通じて「原文を読むのと同じ体験」を追求しようとし、美しい翻訳を成し遂げた……とされています。昔なんかで読んだんだけど、どこで読んだか忘れちゃった。

なんで唐突にそんな話をしたかってぇと、カットワイヤ2のセリフは雄たけびとか非言語的本能的な感情表現しかないし、ソレしかできない。そうなると、どう訳したらプレイヤーの方々に「より原文に忠実な体験」ができるかを考えた結果、ああなりました。まあ一応考えたんだよってことです……ホントかなぁ?

5.json

本編でも書いた通り、ニキータは「彼女が理想とする母親」を心から演じ、それを信じ切っています。(……と解釈した)なのでセリフの言い回しも心なしかフィクション調と言うかまんが日本むかしばなしというか、そういった雰囲気がありますね。狂った理想と掲げるということは、彼女の現実もまた狂っている――のかもしれません。

6.json

1.0.1に更新するついでに、ニキータのセリフが微調整されました。調整と言っても完全に自己満足の範疇ですが……文意が変わってるわけじゃないしね。このレベルの訳がすぐに出てこないあたり、自分はまだまだ未熟者です。今は「息をするような」訳になったのではないでしょうか。(熱い自画自賛)

7.json

ここの罵倒は試訳からかなりナーフされました。ズモーラの怒りではなく、訳者のズモーラへの怒りが反映されてたからやね。ねむいぜ!幸いテスターランナーに指摘いただいて事なきを得ました。あぶねぇ。

念のため言っておくと、最初のセリフはカットワイヤに対するものです。じゃあ宇宙でいちばんいやなヤツって?――言わせないでよ恥ずかしい///
「宇宙」は完全にアドリブ、「2番目」という表現はいかにも大陸言語的ではありますが、うまく言い換えができずそのまま使いました。もっとうまくやれたかもしれんな……

8.json

このシーンは感情のエスカレーションがステキですね。訳でも反映させるため、口を開くたびに怒りが増幅していきます。ここでプレイヤーの皆さんはズモーラは感情の人だなと確信する――したよね?

9.json

このやりとりをストリガ見ていたから今後の騒動が起こるのですが、痴話げんかだけで本編を牽引できるパワフルさは本当にすごいと思う、ちゃんと面白いしね。記憶を取り戻してからのズモーラは過去と現在の感情が入り交じりつつも完全にウラの友だち……ん、恋人?たぶんこっちの方が適切なんだけど、恋と認識していない状態だからやっぱちょっとちがうし、アツい関係ってことでヨロシク

10.json

原文で幽霊たちを"love"つってて、直訳すれば「愛しの」になるんだけど――すっきりしないなぁ。怒りの中で精一杯の取り繕いをしてもらいました。たぶんヤーガはいろんなあだ名をつけてくれるよ。

読み返したんだけどカットワイヤの口調、なんかケルベロスっぽい感じがします。プレイヤーに可愛さを擦りこもうとしているのやもしれません。

11.json

このシーンは先述した通りかなり好きで、訳も気に入っています。特にクソアマdumb bitch嬢ちゃんsweetheartはもちろん抱えたロボわんちゃんに対して言ってるんだけど、女の子扱いしてるのはトンネルランナーは女の子だからです。そう考えるとなかなかグロテスクですね。産業革命期のイギリスの炭鉱で女子供がトンネル作業に使われたのをモチーフにしたのかもしれません……翻訳関係ないなコレ。

12.json

このシーンも引き続きすき。ストリガのクソみてぇな超オモシロジョークはほんやくアドリブです。ストリガが人質をマジで使い捨ての盾程度にしか感じてないのが伝わるといいなぁ。

ここのズモーラはかなり熱血スポコンまんが風味に訳しました。彼女はおもしれー女なのだ。おもしれー女とつえーワンちゃんが合わされば無敵!

13.json

ふたりきりになったなYou and me」モデウスのセルフパロじゃないのかと一瞬悩みました。うーん、たぶんちがうな。目の前の恋に夢中になるのはどちらも一緒だけど、ストリガはもっと一途で様子がおかしいぜ。

ウラとズモーラのやりとりは青春パートすぎるくらいでちょうどいいです。こっからArtbook P8の合体イラストにつながるのじゃ。もちろんめちゃくちゃすき、シーンもイラストも。

ch.json

ここではステージ選択画面のテキストが格納されています。「先輩のお言葉」はメチャクソ悩んだ。「ボスのアドバイス」とかでもよかったんだけど、ローカライズの見地と、トンネルランナーの指揮系統を鑑みると、「メンコの数階級よりメシの数実戦経験」の見地に基づき先輩を選択しました。苦渋の判断やね。ルビが使えればぜったい「先輩ボスのお言葉」ってやるんだけど、ルビ使う奴は世界でも日本人くらいなんだよね。

g.json

これはArtbookの中身なんで、これと英語版を組み合わせれば無理矢理読むこともできます。けどやっぱアクセス性カスなんで私家日本語版を配布しています。アレをベルすればちゃんと見れるし。

Vanがたまにやる配信や、動画の口調をもとに口語訳しています。みんな知ってると思うけど、彼は本当に良い男で、真の漢なんだ。続け!我らも己が望むものに対して忠実たてにあらんとするのだ!

m.json

ここは設定画面とかその他全部が入ってる。正直設定画面で使う用語は翻訳者同士で共有してほしいんだけど、技術宗教的な対立があるのかいまだそういうムーヴメントは来ていません。

ちなみに「PLEASE CONFIRM」は画像ファイルだから翻訳しても差し変わらないので注意だ。まあわしは原語表記が十分かつ美しくアホでなんもいじっていませんが。(前作のイタリア語訳はSUCCESSのアレのイタリア語版アセットを使っていました。ラテン言語ならそっちのローカライズがいいかもね)

トンネルランナー シフトだぜTUNNEL RUNNER, YOUR SHIFT BEGINSとかも、美しかったがゆえ当初は訳すつもりはなかったけどあまりに一瞬すぎてノンネイティブにはつらいと判断、翻訳しました。これは出撃前に奮い立たせるAwariaアワリア女王の(役に立たん)はからいをイメージしましたが、ちょっとカッコつけすぎかもしれません。ついでにここは字幕翻訳技法を使って句読点を排しています。技法ってほどでもないけどね。

消すのは忍びないけど読むほどでもない無関係の余談

全く無関係だけど、ラブデリックのゲーム『チュウリップ』もキス(チュウ)を通じて道を進む作品だったナァと。たぶんホントに無関係。MoonはSteamに移植されたし、そのうちしてくれるかもしれませんネ(UFOが先かも)

このほんやく後記をかくのにだいたい14時間くらい費やしたんだけど、これだけあればもう1本Awariaを訳せちゃうね。けどこういう自分の考えや所感をまとめるのって大事だと思いまして、定期的に練習しないといかんと思うのですよ。けどここまで詳細に書く必要はまったくない。論文書いてるんじゃないんだぞ。(これでも半分くらい削った)

お母さんに感謝の気持ちを伝えよう――という言葉はまあケースバイケースで、君のことを正当に大切にしてくれる人にはちゃんと感謝の気持ちを伝えた方がええです。おじさんみたいになるぞ。「……えっとおっかさ、わし、百合ゲー訳したんじゃけど……」


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