不祥事篇における長谷川泰三の役割について。メタ視点から。

銀魂の重大なネタバレを含みます。



長谷川さんがキャラではなく概念として扱われてたのではと仮定すると、不祥事篇の読み方が結構かわります。やっぱりあの夜K点超えは長谷川さんでなければならなかった必然があると思います。

裸の婆(ドッキリ)、弄ばれた女達(ドッキリ)、空気嫁(非人間)、そして本当に本番のあった38歳無職男性。非実在青少年へのアンチテーゼとすれば長谷川さんとの本番行為というのが1番強烈なファクターです。さあどこで線引きする気だって挑戦なのだと思います。ネットでは当時の都知事への当てつけという意見も散見されますね。

src神は主義主張は漫画として表現すべきというプライドがある方だと思うので、あえて作品として非実在青少年に抵抗したのだと思います。武市先輩にセリフを言わせるだけではメッセージとして弱い、かつ作品を消費することに抵抗があったのではないでしょうか。せめてもの抵抗を”嫌がらせ”と表現しているところにsrc神の作家としてのプライドを勝手に垣間見ています。

だからダメ押しで広侍苑でK点=性行為=長谷川さんと明記したのかもしれません。気合い入りすぎて展開ジェットコースターの銀魂史上最強のギャグ回でしたけど。

銀魂の流れで考えると、長谷川さんのキャラ転機としても描かれているのかもしれない。

ハツに捨てられる発言はホームレス回からの設定で、それ以前は割とハツに対して上から目線で発言してます。おそらくバイトと家がある状態だと、ハツは夫の危機に見捨てて出ていった妻の側面が浮き彫りになり、読者からハツへのヘイトが生まれてしまいます。長谷川さんに同情が集まってしまうとギャグキャラとしては致命的になってしまうので、あえてハツが戻りたくても戻れない無職とホームレスに落とし込んだのだと思います。

そしてハツを取り戻すのが長谷川さんの生きる唯一の砦になってしまいました。長谷川さんのマダオ的側面として、大きすぎる理想像(雪像とかクリエイティブな仕事とか)と現実とのギャップがあるのかなと。理想像にはハツに見栄をはりたいというのも少なからず影響しているはず。ハツに見捨てられたくないが為ににっちもさっちも行かない袋小路状態。

そこでもしひと夜の過ちであっても、ハツと生きる以外の人生があるかもしれないと気づいたら。長谷川さんが少し自分を取り戻すきっかけになるかもしれない。

だから二人で堕ちてみてもいいと思わせたし、たとえ犬小屋でも一緒に暮らす未来像を与えてみた。銀さんが記憶なくても長谷川さんには今と違う人生を考え直すチャンスかもしれないから。

かなり無理のある解釈ですが、この回後長谷川さんが銀さんと普通に交流していけるのは、長谷川さんはすでにアイコン(もしくはギャグのオチ)として消費され銀魂という世界観の中でのキャラとしては生きていけなくなった事の表れなのだと思います。女性達はドッキリなので普通に銀魂の世界に戻れますが、長谷川さんはもうなにかしらのテーマのアイコンとしてしか存在できない。無理矢理解釈すれば長谷川さんは何をされても銀時を許すキャラとしてしか消化できない事態です。

強烈なギャグ回としての評価と、銀魂の世界観が好きだったファンとの間で評価が分かれるのは、やっぱり結果として銀魂という作品をメタファーとして消費してしまった副作用なのかもしれません。

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