TOEICには出てこない、お仕事英単語集(一般向け+工場系技術屋向け)
私は就職氷河期世代、メーカー勤務の工場系技術屋兼中間管理職である。生来の身の程知らず&不勉強が災いし、北米駐在や外資系メーカー勤務等、英語から逃げたくても逃げられない環境に身を置いてしまって地獄を見たことがある。そういう仕事で特に困るのは、一般書には書いていない業務単語・用語を英語で何と言うのかや、実際にどの単語をよく使うか最初は分からないといったことである。まあ仕事をしていれば嫌でも覚えていくので何も問題はないのであるが、私のような身の程知らず&不勉強なのに将来仕事で英語を使わざるを得なくなるリスクのある人(特に工場系技術屋)のために、個人的に「駐在・外資に行く前に知っておけばよかった」という初歩レベルのお仕事英単語集(一般向け&工場系技術屋向け)をここに示したい。
注1:外資系企業の社員や海外と接点のある仕事をしている人、海外駐在している人やその経験者には、この記事は時間つぶし以外一切役に立ちません。自信を持って断言します。
注2:タイトルを「TOEICには出てこない」としてみましたが、私はここ18年位真面目にTOEICを勉強したこともなければ受験したこともないので、TOEICに出てきていても文句は言わないでください。架空の会話を聞いて正しい選択肢を我慢強く選んでいられるようなTOEIC耐性は私にはないのです。ごめんなさい。
↓私の恥ずかしい英語歴を含む記事です。この程度の奴がこの記事を書いていると理解してください。
1.略語
日本語でもパリピ、あざ、タピるなど散々略語は使うが(ソース:JCの我が子)、意識低い系中年の私には意味不明である。英語もアルファベット数文字で略されるアレは本当に困る。知らんっちゅうに。北米駐在が始まる前、私はASAP(至急)、NA(適用外)、ND(未検出)位しか知らなかったのですが、そのレベルで北米人の集団に交じるとやっぱり生き地獄でした。
①一般編
・FYI For your information。ご参考まで。一言「FYI」とだけ書かれたメールが初めて転送されてきたとき、絵文字か何かかと思って5分位考え込んだ。
・YTD Year to date。年初累計。駐在最初のミーティングで資料を配られたときに意味が分からず、こっそり「ヤットデタマン」@タツノコプロ(タイムボカンシリーズ。若い人は知らんか)と読み替え、頭の中で主題歌を歌いながら一人泣いていたあの頃が懐かしい。
・TBA/TBC/TBD To be announced(追って周知)、To be confirmed(追って確認)、To be determined(追って決定)。ミーティングの開催日時や未確認・未決の事項に対して。「TBC」で脱毛とか高須クリニックを思い出すうちはあなたはまだ現地化されていない。
②いかにも工場編
・CAR Corrective action request/report。是正処置要求書/報告書。どっちも使ってた気がする。CARをメールで送れ、と言われて車しか思い浮かばず泣いた。
・NCR Non-conformance report。不適合品報告書。広島出身の私はマツダのNCロードスターを思い出し、望郷の念に駆られた。
・RPM Raw & packaging material。Rounds per minuteではない。原料資材。又はRMで原料、PMで資材。
・FG Finished goods。最終製品(いわゆる完成品)。因みに半製品はsemi-finished goods。消費財では決してfinal productとは言わなかったが、化成品等ではそう言う言い方もあった気がする。
・CAPEX Capital expenditure。ググると資本的支出とか訳の分からないことが書いてあるが何のことはない、工場系技術屋にとっては設備予算のことである。固定資産となる設備への投資のための費用支出。因みに稟議書をRFC(Request for CAPEX)、修繕費をRepair&maintenance costと言っていた気がする。
・OEE Overall equipment efficiency。設備総合効率。TPMをやっている人ならOEEという言い方も常識だろうが、私は日本でTPMをやっていない工場から駐在したため、最初ほぼ知識ゼロの状態で英語でマシンガン説明をされて完全にハチの巣になったのも懐かしい思い出。
・C/O Changeover。段取り替え、型替え。言われてみるとそのまんまだが、日本人としては知らないと出てこない単語。
2.個人的にやたらよく使う単語(馬鹿の一つ覚えとも言う)
・I would say yes 多分そうだと思います、のニュアンス。Yes以外にも色々当てはめて使える。YES!NO!とかI think...ばかり言っていたら「日本人はいつも表現がダイレクト過ぎて引くわー、まあもう慣れたけどね」と言われたことがあり、よくよく聞いていると皆やんわりとこんな言い方をする。「こりゃ便利だ」とあいまいな日本の私も馬鹿の一つ覚えで使い続けていたら、今後はお前は意見ないのかと言われた。バランス大事。
・Pros and cons 所謂プロコン。今はもう日本語でも一般的かな。当時は「分かんねーからメリット、デメリットって言ってくれよ」と思うが、皆プロコンと言っていた。でも何をやるにもプロコンだらけの工場系技術屋の仕事では、話を整理していくのに非常に便利なのです。最近息子に「switchのプロコンを買ってくれ」と言われて混乱した。
・In place あるべきしくみや設備を実運用している、実施している、備わっているみたいなニュアンス。自動洗浄工程を表すCIP(Cleaning in place)のIPともちょっと違う気がする。この言い方は何かと便利なのでやたらと使ったし、今も海外の工場へ監査に行くとよく使う。The factory has a good QMS in placeみたいな。工場系技術屋には非常に便利な言い回しである。因みに今日も会社の資料を英訳していて使った(←正に馬鹿の一つ覚え)。
・Identify リスクや問題・課題を特定するのもidentify、改善の機会を特定するのもidentify、根本原因(root cause)を特定するのもidentify。とにかく何でもかんでもidentify。私が駐在していたときは1日3回は使っていた気がする。それだけ問題が多かったというだけの話ですが。
・Segregate,cull/sort out,dump 不適合品と言えばこれである。Segregate:別置き、cull/sort out:選別、dump:廃棄である。駐在中、1日1回は見たり聞いたりした気がするが、悪い夢でも見ていたのだろうか。
・Keep one's fingers crossed 健闘を祈る。遠くにある工場の工程改善関係の週次電話会議でいつも中指と人差し指を何だか嫌らしく絡めながらこう言っていた現地人イケメンダンディ技術系ダイレクター。彼によると、指を絡めるのが十字架を意味するそうな。一つ賢くなりました。でも電話会議で部下の活躍のお祈りばかりしていた彼は居づらくなったのか、ある日会社を去ってしまった。彼との思い出はこのネタのみであるが、私も海外の工場の監査では監査結果報告の最後で被監査先にこのセリフをたまに言う。私も彼のように会社から去るようなことがないよう、自分自身に祈るのみである。
・両手でチョキチョキするジェスチャー ” ”(日本語で言うカギカッコ)を表すジェスチャー。単語ではないが番外編として。話している時に強調したい単語をチョキチョキする。どちらかと言うと皮肉と言うか、ディスる様なときに使っていたような。最初に見たときは一瞬せんだみつおを思い出したが、駐在中期には現地の人から”This company is "NICE"” とチョキチョキニヤニヤしながら言われて「ああ、この人はこの会社イマイチと思ってんだなあ」と言うことが分かるようになっていました。駐在先の現地の皆さんは本当にいい人ばかりでしたが、私も陰では”He is "NICE””とか言われていたんだろうなあ。くわばらくわばら。
3.まとめ
冒頭にも書いたが、もしこの記事に知らない単語や言い回しがあっても、英語で仕事をしないといけない環境であれば嫌でも覚えていくので何も問題はない。寧ろ、無理に覚えようとしても必要がなければ明日には忘れているのが人間の脳である。だから何も気にすることはない。
「私のような身の程知らず&不勉強なのに、将来仕事で英語を使わざるを得なくなるリスクのある人(特に工場系技術屋)」のために本稿を書いてはみましたが、あくまで個人の経験に基づくものです。きっとあなたには他に必要な単語がある。「その日」が来るまで頑張って備えてください。【了】