リリックビデオ、「個性」を取るか「読みやすさ」を取るか
こんにちは!MVを作っている動画クリエイター兼イラストレーターの
無印かげひと(@kage86kagen)です。
今回は、「リリックビデオ、「個性」を取るか「読みやすさ」を取るか」という話について紹介します。
リリックビデオ、つまり「MV内に表示する歌詞」の話になるのですが、タイトルの通り「個性的」や「読みやすら」などを考えている方は、動画師を生業としている人以外はほとんどいないんじゃないかと思われます。
今回はそんな話を雑談形式でしていきたいと思います。
(※主にMV制作者向けの話になりますが、MVを依頼される方にとっても参考になるかもしれません)
”個性”と”読みやすさ”は「虻蜂取らず」?
ボカロや歌ってみたなどのMVでは「リリック(歌詞)」が動画内に表示されていますが、数十年前と比べると今ではMVの演出として重要な役割をもっている要素になります。
いろんなMVを見ていると実に個性的なリリックばかりで胸が躍る限りですが、このリリックの”個性”と”読みやすさ”について考えた事はありますでしょうか?
ただの一視聴者として楽しんで見る分なら意識すらしない要素かと思われますが、MV制作者(動画師)にとってリリックデザイン、リリックモーションについては、それなりに考えて演出を行わなければいけない要素になります。
ただ、MV依頼者の中にはMV内で使用するイラストや動画のモーションと同じくらい、このリリックに拘りを持っている方もいます。
(かなり稀ですが、フォントを指定してMVを依頼される方もいます)
このリリックデザインに関して突き詰めていくと、動画内で演出するにあたって、
「個性」を意識したリリック展開にするべきか
「読みやすさ(文字の可読性、視認性)」を意識したリリック展開にするべきか
リリックのデザインの仕方には、上記2つのパラメータ的なものがあるんじゃないかと個人的に思っています。
それぞれ詳しく解説すると、
「個性的」なフォント、文字デザインだと、独特で個性的、唯一無二のMVを制作する事が可能ですが、逆に「読みやすさ」に欠け、場合によっては歌詞が”歌詞”としての役割を果たさないまま、MVが終わる場合もあります。この場合は、リリックを一つの「動画内の演出」としてかなり振り切った使い方をすることになりますね。
一方、「読みやすさ」を意識したフォント、文字デザインだと、一発で文字の内容が理解できるため、楽曲と歌詞の関連付けをより一層深めることができますが、読みやすさを突き詰めれば詰める程逆にシンプルさが際立つため、独自性や個性がない、言葉が悪いと「よくありがちな」MVになり得る可能性があります。
ちなみに、その中間である「読みやすいかつ個性的なリリックデザイン」を目指すことはできなくはないのですが、釣り合いが取れるリリックデザイン、構成に仕上げるのはかなり難しく、どちらかを優先するなら、どちらかの要素を少なくする…と言う場合がほとんどだと思われます。
つまり、「虻蜂取らず」ですね。
ただ、数年前からは「MVやPVのリリックデザイン」に絞ってこれ一本で仕事を行っている方も増えてきています。リリックデザインの依頼に関しては、この方達に依頼するのがまず間違いないです。
それほどまでに、リリックデザインはかなり奥が深い要素となっています。
読みやすさを取るか個性を取るか...。どちらも一長一短ではありますが、もしみなさんがMVを作るとしたら、どちらを優先したリリックデザインにしますでしょうか?
でも、実はこれらは「楽曲の雰囲気やジャンル」によって、それぞれ適しているリリックデザインなどが異なってきます。
それぞれ向いているリリックの表示形式
「個性的」、「読みやすさ」。
これらの要素は、「MVを制作する楽曲の雰囲気やジャンル」によって、どちらを優先すべきかが異なってくると、個人的に思います。
一つ例を挙げるとすると、
「心が落ち着くような、ゆったりとした曲調の楽曲」に対し、「ストリートアートのような、グラフィティ系を重視した文字デザイン、フォント」でMVにリリック付けをしたとしたら、
大抵の方は「楽曲とリリックのフォントが超絶マッチしている!」…なんて思わないかと思います。
これは明らかに「楽曲に適していない」リリックのデザインになりますよね。
先ほどの例の場合い、どちらかというと「読みやすさ」を優先したリリックデザインを選ぶのが定石だと思いますが、もし「個性」も出したいというのであれば、少なくともグラフィティ系のがっつりしたデザインフォントを選ぶのではなく、「丸みを帯びた”丸ゴシック”」系などであれば、楽曲の雰囲気に合って良いかもしれません。
このように、「MVを制作する楽曲の雰囲気やジャンル」によって「個性」か「読みやすさ」、どちらを優先すべきかが異なってきますので、特にMVを制作されるクリエイターには頭の片隅にちょっぴりでも置いて欲しい話です。
投稿者(依頼者)によって採用が異なる「リリック」について
ちなみにですが、実はMVを投稿する個人や企業によって、リリックの「読みやすさ」か「個性さ」かを採用している割合が結構偏っているんじゃないかなと思っていました。
これは「フォント」の他に「リリックのモーション(動き)」も含めての話になります。
ここ数年間、筆者はほぼ毎日と言っていいほど多くのMV動画を見ているのですが、この事について書き起こしてまとめてみると、おそらくこういった感じになるかと思われます。
上記を端的にまとめると、下記のようになります。
●ビジネス系企業、個人勢、趣味として楽曲MVを投稿する方は、
「読みやすさ」を重視したリリックデザインのMVを投稿される方が多い
(予想ではあるが、リリックに個性さを出すよりも、「リリックをしっかり読んで欲しい、見て欲しい」という目的を優先して投稿を考えている方が多いため、特に個人勢は「読みやすさ」重視でリリック付けを依頼される方が多いと思われる)
●有名Vtuber、有名な歌い手、アーティストグループ、アイドルグループなどの「ある程度名が売れている~超有名な方」は、「個性的」を重視したリリックデザインのMVを投稿される方が多い
(「リリックの読みやすさ」よりも、「MVの独自性、個性的なMV、他社(者)との差別化」を目指すため、型にはまらない独創的なリリックデザインを採用する方が多い)
もちろん、これらはあくまでも「割合が多い」という話であって、個人勢Vtuberであってもバチバチにかっこいい個性的なリリックを採用されている方もいれば、
例えば「ゆったりしてるけどかっこいい系の楽曲」を引き立てるため、リリックにあえて凝ったデザインはせず、MV全編渡ってリリックを固定配置する系のMVを採用した超有名歌い手さんもいます。
とどのつまり、リリックについては「最終的に依頼者次第」ということになります。
まとめ
●「歌詞(リリック)をしっかり読んで欲しい、見て欲しい。」または「企業、個人のPRのため、文字もしっかりと表示して欲しい」という方は、「読みやすさ」を優先したリリックMVを依頼する、作ると良いかも
●「唯一無二、個性的で独創的なMVにしたい。リリックに関しては読みやすさは別にいいので、それよりもデザイン性や個性を優先して欲しい」という方は、「個性」を優先したリリックMVを依頼する、作ると良いかも
●「MVを制作する楽曲の雰囲気やジャンル」によっては、「個性」か「読みやすさ」どちらを優先すべきかが異なってくる。
●ビジネス系企業、個人勢、趣味として楽曲MVを投稿する方は、
「読みやすさ」を重視したリリックデザインのMVを投稿される方が多い
●有名Vtuber、有名な歌い手、アーティストグループ、アイドルグループなどの「どちらかと言うと名が売れている~超有名な方」は、「個性」を重視したリリックデザインのMVを投稿される方が多い
この記事が少しでもリリックMV制作に役立てられれば嬉しいです。
最後までご覧頂きありがとうございました!
それでは!
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