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[依頼者向け]MV及びMVイラストの制作依頼で、どういった要素で料金が変動するかを一覧にしてみた[ボカロ・歌みた系]
こんにちは!MVを作っている動画クリエイター兼イラストレーターの
無印かげひと(@kage86kagen)です。
今回は、「MV制作及びMVイラストの料金が変動する要素」について、思いつく限りの要素を一覧としてまとめてみた記事となります。
MV制作やMV用イラストを応募される際、最も注視するであろう項目は「料金」になるかと思いますが、依頼者側からあらかじめ「予算は○○円です!」と掲示いただいたパターンの場合、要望する”MVの内容”によっては予算よりも金額を多めに見積もらなければいけない場合があります。
これについてはなかなかイメージしづらいと思われるため、依頼者側で少しでもイメージがつきやすいよう、今回このように記事にしてまとめてみた次第です。
・MV制作やMV用のイラストを依頼したいけれど、金額はどういった要素で変わってくるのか?
・制作者は主にどういった要望内容で料金を加算する判断をするのか?
などなど、主にMV制作またはMV用イラストの制作を依頼される方向けの記事となっています。
この記事が少しでもお役に立てましたら幸いです!
※読んでいただく前の注意事項!
まずは前提として念頭に置いていただきたいのですが、どういった要素で金額をプラスor値引きするかに関しては、各クリエイターによって異なってきます。
そもそも、MV制作者(俗にいう”動画師”)の価格体系や調整事項に関する話については、そういった情報を公開されている方はかなり少ないです。
逆に言えば、「動画師はこれでこうだ!」といった決まりごともありません。
今回紹介するのは、筆者がいつも行っている見積もりの仕方に加え、他のクリエイターが制作して頂いたブログ記事、解説動画などを参考にしたものになります。
以降からの内容は、もしかすると依頼者側にとって難しい&複雑に感じる内容になるかも多いかと思われますが、「こんなの分からなすぎる!」と感じた場合は、何はともあれまずは依頼先に質問、見積をお願いした方が、この記事を見るより確実です。
本記事はあくまで参考としてご覧いただければと思います。
金額は要望内容によって変動する
そもそもなぜこの記事を制作しようと思ったかと言うと、つい最近某SNSにおいて投稿された「イラストの料金表に関する呟き」を見たことがきっかけです。
料金表論争というのは、実に長年にわたって議論が交わされている話題ではありますが、今回のように定期的にSNSで話題になっては、依頼者も制作者側もどちらも頭を悩ませるぐらい、落としどころが無い話題になります。
料金表の話は本筋ではないので割愛しますが、この料金表の話題を見たことをきっかけに、
「料金表に関する決着はつけられないけど、それに関連して
MV制作及びMVイラストを依頼する際、どういった箇所によって料金が変動する要素があるのか?
といった話をしてみたいかも」と思い、この記事を制作した次第です。
今から紹介する内容もクリエイターによって異なるため、落としどころがない不明確な内容にはなってしまいますが、これらについて予備知識を知っておくことにより、多少なりとも自分の予算に対しての制作内容を想像することができるかもしれません。
さらに、料金表を掲示しているタイプのクリエイターに依頼する場合であれば、予算の計算がしやすくなるかと思われます。
「制作者にこれを聞くのは失礼かな...?」「どういった要素で金額が変わるのかな...?」と不安がある方にとって参考になるかもしれませんので、ぜひ最後までご覧ください。
MV制作の見積額が変わる要素
本題に入りますが、ここからは見積額が変わる要素について、思いつく限りの要素をできるだけ書いていきたいと思います。
まずは「MV制作(動画制作、動画編集ソフトを利用して制作する作業)」においての変動要素を紹介していきたいと思います。
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動画の演出量によって変わる
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MV制作依頼において、金額が上下しやすい代表的な要素としては、「動画の演出量」が挙げられます。
この”演出量”というのは、例えば、
・イラストの動かし具合(ズームやスクロールなどのカメラワーク)
・使用するエフェクトの量(ノイズやトランジションなど)
・3Dカメラ機能を使用し3Dのような立体的な演出
・カット数(画面の切り替え数)
…といったようなものを指すことが多いのですが、この演出量が多ければ多いほど動画編集作業の時間がかかりますので、それに伴い追加の料金を加算することがほとんどです。
そのため、「全尺に渡ってド派手な演出、加えてイラストを縦横無尽に駆け回らせたい!」という要望が場合、それ相応の料金がかかる可能性があることを念頭に入れて調整していただければと思います。
ただし、約4年間MV制作を受注してきた筆者の経験上、そもそも依頼者側からここまで事細かに指示をいただくこと自体が少ないです。
大抵の場合ですと、
・予算○円で制作して欲しいが、演出は全てお任せする
・イメージとしてはこの参考動画のように制作して欲しいので、これを基準として見積して欲しい
…といった導入から金額の調整を行うことが多い印象です。
前者の場合は掲示いただいた予算に合わせて演出量を考案し、これを提案するのですが、予算に対しての要望内容が予算オーバーだった場合は、「予算○○円ですと■■の演出は難しいですが、多少演出量が減るものの▲▲の演出なら可能です。いかがでしょうか?」的な折衷案を提案します。
演出量に関してはクリエイターによってかなり異なってきますので、まずは一度相談してみることをお勧めします。
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リリックモーションの量によって変わる
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先ほどの動画の演出と同様に、「リリックモーション」の量によっても金額が異なります。
上の参考動画左のように、比較的シンプルな演出(フレーズごとに表示するタイプ、又は簡単なズーム、スクロールなどの動き)であれば、筆者の場合は基本料金内、内容によってはちょっと追加見積もりする程度で収めます。
ですが、右のように激しめのリリックモーションを希望される場合ですと、編集時間が多くなりますので、要望に合わせて金額がUPします。
予算が多ければ多いほど、個性的かつMVの情報量やボリュームが多い、視聴者の目を引くリリックモーションを提案することが可能です。
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3DCGを利用するかどうかで変わる
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こちらは想像しやすいかもしれませんが、MV内に「3DCG」要素を入れるかいれないかによっても金額が大きく変わります。
ただし、この見積に関してはさらに下記の通りに分類されることが多いです。
・3Dモデリング制作も依頼した上で、3DCGありMVを希望するのか
・3Dは既存のものを購入、これを3DCGありMVで使用するがどうか
前者の場合ですと、自身の手で一から3D素材を制作する必要があるため、その分の作業時間を考慮してお見積りします。
後者の場合は、他の方が作ってくれた既存の3Dをストックサイト、マーケットプレイスなどからDL又は購入し、これを使用していくことになります。
後者の場合は3Dを制作する必要が無いのですが、有料素材を使用する場合は”購入”しなければいけないため、場合によってはお見積りにこの分の金額を入れることもあります。
詳しくは依頼先とよく調整していただいた上で、3DCG演出を入れるかどうかご検討いただければと思います。
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Live2D編集も希望するかどうかで変わる
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先ほどの3DCGと似ていますが、MV制作者に対してLive2D編集も依頼される場合ですと、その分作業時間がかかりますので、金額も変動します。
(MV制作もできて、Live2D編集もできる依頼先にお願いする場合)
Live2Dと言えば、Vtuberや実写タイプではない配信者のアバター制作にとってかなり密接なソフトになりますが、近年ではこのLive2Dを活用したMVも増えてきています。
Live2D表現を取り入れたMVは、MV全体の比率でみるまだまだブルーオーシャンであるため、視聴者にとっては新鮮味を感じるMVに仕上げることも可能です。
コスパよりもクオリティ、オリジナリティ重視であれば、この表現もおススメです。
ただし、その分制作費用もかかりますので、自身のご予算と検討した上でご利用いただければと思います。
ちなみに、MV制作を目的としたLive2D編集の制作費については、あくまで”MVで使うこと”を見越して編集するため、Vtuberアバターのようにそこまで作りこむ必要が無い場合がほとんどです。
これに伴い、制作費はVtuberアバターを依頼する時の金額よりお手頃な価格で請けている方が多いかと思われます。(筆者はそうしています)
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指定のフォントがあるかどうかで変わる
MV内の歌詞表示として使用するテキストの「フォント」についてですが、もしMV内に表示する歌詞のテキストに対し、フォントに指定がありなおかつそのフォントが有料だった場合は、この分の料金も含ませていただきます。
フォントの指定希望がある場合は、これも加味していただければと思います。
ちなみに、これは意外と知られていないことですが、良く使用されている「ヒラギノ」系フォントシリーズは、macOSの場合は標準として備わっているものの、Windowsやアンドロイドには搭載されていないため、後者のOSを利用している人はダウンロードをする必要があります。
Windowsなどのでヒラギノ系フォントを使用したい場合、手段の一つとしては、Adobeに加入している人であればAdobe Fontsからダウンロードできるものの、そもそもダウンロードできるバリエーションがかなり少ないため、希望される文字の太さによっては有料サイトからダウンロードしないと使用できません。
もし、macOSを使用しているMV依頼者が、「フォントは”ヒラギノ”でお願いします!」と要望した場合、依頼先がWindowsを使用していたら、そのフォントを購入する費用も想像しておいた方がいいかもしれません。
これはかなり稀有な話になりますが、「そういうのもあるのか」程度で聞いていただければと思います。
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”急ぎ”かどうかによって変わる
これはおまけの話になりますが、依頼内容が「急ぎ」だった場合、「お急ぎ料金(特急料金)」として追加の料金を掲示される方がほとんどです。
これはMV制作のみならず、ありとあらゆるクリエイティブな業界において特急料金を見積もることがほとんどだと思われます。
急ぎで依頼されますと、制作者側としてはその予定に合わせるために自身のスケジュールを変更したり、別件も請け負っている場合だと優先順位を変えて急ぎの依頼に取り組む必要があるため、その分の負担として見積もります。
急ぎで要望すればスピーディに制作できる反面、急ぎで制作するゆえにその分クオリティが若干雑になってしまったり、そもそも制作者の負担も大きくなりますので、よほどのことが無い限りはスケジュールに余裕をもって依頼していただければと思います。
MV用イラストの見積額が変わる要素
次に、MV用イラストの見積額が変わる要素について挙げてみたいと思います。
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イラストの描写範囲によって変わる
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値段が大きく変動する主な要素は、「イラストの描写範囲」になります。
これは上の参考画像のように、「バストアップ(胸から上)」と「全身描写」とでは制作する時間が異なってきますので、その分お見積り額が変動します。
また、等身大イラストか、又はSDイラスト(スーパーデフォルメ)かによっても異なります。
これに加えて、「描写するイラストの情報量」も結構重要です。
これはどういうことかというと、例えば人物イラストを依頼される際、
「パーカー&短パン(服の模様などはなしで単色)」のキャラクター描写、
または「原神」のように服装、アクセサリー、髪型その他もろもろのデザイン量、装飾量が多いキャラクターの描写を希望されるのか、
どちらが作業時間が多いかと言うと、後者の内容の方が圧倒的に時間がかかります。背景イラストも同様です。
もし、既存のキャラを参考にして新規イラストを依頼される場合(Vtuberの歌ってみたイラストなど)であれば、この「イラストの情報量(描きこむべき)」によっても見積り額が異なる”場合”があるということを覚えていただければと思います。
他の要素にも言えますが、これはイラストレーター、又は絵師によって千差万別です。描きこみ量によって金額を変更する方もいれば、「どの描きこみでも一律○○円!」とされている方もいます。
こちらも依頼先と事前に調整していただければと思います。
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差分の量によって変わる
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MVをよりクオリティ&ボリューム高く見せるための手段として、イラストの差分(大抵は表情が多い)をご依頼される方も多いですが、差分の種類の数やどの部分を差分として制作するかによっても、見積り額が異なってきます。
人物イラストの表情や腕などを差分として描写する場合、「人物の一部分」を変更して描けばOKなので、お値段自体は人物イラスト1体分の金額の1~3割程度を見積もっている方が多い印象があります。
ただし、イラストレーターの中には「表情差分の値段は、1点につき全身描写の価格の5割以上」を見積もる方もいるそうなのですが、個人的には「いや、そこまで取るほど差分の描写量が多いわけじゃなくない?」と思います。
例えると、イチゴが1個乗っているショートケーキ1個の値段が500円として、これにもう一個イチゴをのせたい場合はイチゴ1個につき250円!…という価格形成をされると、むむ?と怪しく思わざるを得ません。イチゴ1個で250円...?
差分の料金に関し、業界の相場や常識外で料金を見積もられた場合、少し信頼性に欠けますので、「そのクリエイターの絵柄じゃないと絶対にダメ!」という場合でなければ、別のイラストレーターにお願いした方がいいんじゃないかな…と、個人的に思います。
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身体のパーツごとにレイヤー分けを希望するかどうか
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これはちょっと複雑な話になりますが、
主に「MV制作において、手や足、髪をアニメーションとして動かす演出を考えている方」、または「MV制作時に、動画クリエイターにLive2D編集も依頼される方」の場合ですと、
これを見越し、いつもとは異なる”イラスト制作”を行う必要があります。
こういった表現をするためには、「動かしたい人物のパーツごとにレイヤー分け」をする作業が必要になるのですが、この作業を依頼される場合、これも見積額が追加される場合があります。
なぜかというと、上の参考画像のように、「レイヤー分け」を気にせずにイラストを1枚仕上げるのと、「パーツ分け」を意識しながらイラストを作るのとでは、作業内容、作業量、”頭の使い方”が大きく異なってくるためです。
これは、実際に両方の作り方で制作した方じゃないと想像がつきにくいと思われますが、イラストをイラストとして使用する場合、何も考えずに普通にイラストを描く要領で制作が可能です。
ですが、Live2D用やモーションを付けるためのイラストとして制作する場合、動かすことを見越して各パーツを制作かつレイヤー分けしないといけませんので、制作工程が根本的に異なります。
例えば「頭部分」を動かしたい場合、別パ-ツである「首」の描写範囲を”頭部分”にもかけて塗らなければいけません。そうしないと、頭部分をモーションで付与した時、頭と首が「ボキッ」と折れたような見せ方になってしまいます。(文章での説明は難しいため、詳しくは検索していただければと思います)
Live2D用イラスト制作についてはここで割愛しますが、こういった事情があるため、主にLive2D編集を見越してイラスト依頼をされる場合は、その分料金も変動する場合が多いです。
依頼される際はご注意いただければと思います。
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アニメーション制作かどうかで変わる
アニメーションの制作を希望されるかどうかによっても金額が異なりますが、これについては描写内容やどれくらい動かすのか、動かしたい尺の長さなどによってピンからキリまであるため、それによってかなり変動します。
テレビアニメ(鬼滅の刃や推しの子など)のような作画を希望する場合だと、大抵はアニメ会社やチーム、プロジェクトとして制作していかないとクオリティが保てないため、個人勢では手が届きにくい価格帯になります。(詳しくは「アニメ 相場 MV」で検索)
そうではなく、例えば今流行り(2025年2月現在)のMVで例を挙げるとすると、「テトリス / 重音テトSV」や「モエチャッカファイア / 弌誠」のような系統のアニメーションMVを希望される場合であれば、テレビアニメ系作画と比べると価格もわりとお手頃にはなります。
アニメーション依頼はイラスト以上に価格の想像がつきにくいと思われますので、こちらも要相談です。
優しく対応します!まずはなんでも聞いてごらん
いかがでしたでしょうか?
ここまで長々と紹介していきましたが、冒頭でもお伝えした通り、人によっては「複雑すぎて分からん!」と思う方もいるかもしれません。
今まで紹介した内容は、あくまでも「依頼の連絡をしようと思うけど、これを聞いて失礼にならないかな...?」や、「相談する前に予備知識として知っておきたいかも…」といったように、MV依頼に関して不安に思っている方向けの内容になります。
再三お伝えしますが、価格体系や制作内容によってはクリエイターによって異なりますので、まずはいったん質問する&見積りをお願いしてみた方が、時間的にかなりコスパが良いです。
受注者側としてはお仕事ウェルカム!な方がほとんどですので、頂いた相談には丁寧に対応いたします。
ただ、同業者としては耳が痛い話ですが、クリエイターの中にはたまに
「その金額は常識から外れてるw」、「この間○○の依頼をもらったけど、制作内容に対して○○円しかもらえなくて~w」みたいに、依頼に関しての愚痴や、依頼者が初心者で~…みたいな事ををSNSなどで呟く人もいるそうです。
悪い印象に目がいきがちですが、こういった方は本当に一握りであり、ほとんどの方は依頼初心者の方に対して丁寧に対応します。
万が一、取引先に直接そういった事を言われたり、直接言われずともSNSで呟かれてしまったとしても、可能であれば気にせずスルーしていただければと思います。
MV依頼者はMV制作自体に詳しくない方がほとんどですし(だから依頼してる)、もしかすると取引先のクリエイター自身が活動し始めてから日が浅く、調整に関しては初心者という可能性もあります。
ほとんどの方は優しく丁寧に対応してくれますので、まずはお気軽にご相談いただければと思います。
最後にはなりますが、最終的にはクリエイターによって制作内容に対する金額の見積もりが異なってきますので、今回の記事を参考にしつつ、直接お伺いいただければと思います。
本記事がMV制作依頼時の参考になれば幸いです。
最後までご覧頂きありがとうございました!
それでは!
筆者への「MV制作」についてのご相談は、サイトのメールフォームかXのDMからお気軽にご連絡ください!ココナラでも活動しています。
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(回答が遅れる場合もありますので、あらかじめご了承ください)