30歳を過ぎた今、伝えたいこと 〜谷口彰悟
昨日、サッカーアジアカップ準々決勝が行われ、日本代表はイランに敗れてベスト8で終わりました。
実力としては優勝が狙えると言われていましたが、なかなか中東勢の実力も上がっていたというところでしょうか。
さて、日本代表選手の中で、谷口彰悟選手という方がエッセイを書かれています。
私はサッカーについては、この前のW杯でドイツやスペインに勝った日本選手の活躍を見てからのにわかファンですが、今回のアジアカップ中にこの連載を知りました。そして谷口選手の文章がなかなか上手くてびっくりしました。
谷口選手は、カタールのアル•ラーヤンSCに現在所属している32歳。30歳を過ぎると選手としては身体的、体力的にもなかなか厳しくなってくる世界だろうと思いますが、この連載を読むと、30歳で川崎フロンターレから離れて新天地でゼロから自分を試してみたいという気概が伝わってきました。
私自身は年齢を重ねるにつれ、それなりの信頼を獲得してきた自分の所属する会社にいた方が居心地もよく、まあいいかという気持ちで現状に甘んじ、新しい挑戦の心を持ちにくくなっていることを少し恥ずかしくなりました。
またそれと同時に、居心地の良さだけでなく多少のしがらみもある既存の環境からフリーになって、ゼロからやってみたいと思う気持ちも理解できる部分があり、羨ましいなとも思いました。
サッカーの技術やプレーにおけるパスワークの考え方、チームメイトとのディフェンスへの臨み方など専門的な話もあり面白く、またカタールという異国の文化の話も興味深かったです。
このように連載には様々なことを書いてくれている谷口選手ですが、私がこのエッセイを読んで一番考えたことは、結局彼が学びたいのは、人(選手)を活かす方法論なのではないか?ということです。
谷口選手は、将来監督になるという夢があるそうです。今、彼は一選手の立場で、(アジアカップ直近ではサブでのベンチ入りでピッチに立ってはいませんが)監督の信頼を得て、チームの一員としてベストなパフォーマンスをすることを目標にしていますが、川崎フロンターレではキャプテンを務めて、個の視点からチームとしての視点を持つに至り、このたびアル•ラーヤンSCでは外国選手として他の選手に刺激を与え育てる役割を持たされるに至りました。
監督というのは、勝利するために選手の持ち味をどうやって活かすかを、ポジションやタイミング、相手チームとの兼ね合いなどの様々な要素が絡む複雑な状況下で判断する仕事です。そして実は、選手を育てるという役割も担っています。一定程度完成していると思われる選手でも、ペアを組む同じポジションの選手とのベストな働きを生み出すためや、チームとして様々な戦略を繰り出すためには、その完成している殻を破って成長しなくてはいけないし、それを促すのが監督なのでしょう。
谷口選手が描く自分のなりたい監督像を確立させるためのロードマップとそれを歩む様子を楽しみに見守りたいです。
私自身は、管理職試験を受ける立場になり、マネジメントや人材育成について考える機会が増えましたが、明解な考え方をまだ持てないでいます。谷口選手のエッセイもヒントにさせていただければと思いました。
さて、アジアカップに少し触れて終わると、イラクやイランのように空中戦になった際の日本代表の対応に課題が目立ちました。中東の熱量への対応を精神的な心構えの問題に終わらせず、この課題へはDFだけでなく、チーム全体で戦略を練って成長の糧として欲しいですね。