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いわき裏ツアーを自分で回ってみた記録(前編)

2011年の記憶

2011年の3月11日、私は日本にいなかった。たまたま海外に短期で遊びに出ていた。
街を歩き回ってホテルに到着すると、ホテルスタッフの方から「日本の方ですよね、今日本で災害が発生しています」「何かできることがあったら連絡を」と伝えられた。

何のことか分からず、部屋に上がってテレビをつけた。
日本で大きな地震が発生していた。一緒に来ていたパートナーと双方の親きょうだいに連絡をとり、無事を確認した。一安心して、不安は少しあるものの親族の無事を確認し、家屋等被害もないということを確認できたので、予定していた翌日まで滞在したが、街の至るところでモニターから日本の惨事が伝えられる。
黒く流れ、町を覆う津波が映し出される度に、周囲から心配をするような、悲哀とも思えるようなため息や声を聞いた。

日本に戻ってからも、流通が滞り、揺れが続く中で不安な日々を過ごしたことを覚えている。福島第一原発の複数の建屋が水素爆発、建屋が崩壊し放射性物質が流れ出したというニュースが流れると、さまざまな声がニュースやネット上に飛び交った。聞いているだけだと訳がわからなくなりそうなので、自分たちでできる限り信頼できるニュースソースを探して、理解を深めていった。

また、数ヶ月経ってからは気仙沼を中心にボランティアにも出かけた。
その時給料をもらって従事していた仕事は、直接生活者や地域に携わる仕事ではなかったけれど、データを扱う会社にいたので、今この時自分達としてやれることをやろうと、プロジェクトチームを立ち上げたりしていた。
それに、この頃は自粛ムードはあったけれど「密」や「外食」は禁止されていたわけではなかったので、積極的に外食を利用して、自分たちなりに応援もしたりしていた。

そんな非常事態感が自分たちの生活の中で収まってきたのは、いつ頃だったのだろうか。よく覚えていないのだけれど、2011年は「できることをやる」という意識をもって行動していた気がする。

その後、東北との距離感

友人たちの中には、東北に拠点を移したりする人もいた。私もそっちで仕事を探そうか、何度か考えたけれど結局拠点を移したりはしなかった。一番は、もうすぐ生活を共にするであろうパートナーとのことを考えたからだと思う。

その後は比較的東北には、実際に遊びに行ったり、クラウドファンディングだったり産地のものを買ったり比較的接していたけれど、ついぞ福島県の沿岸部(浜通り)とは触れ合う機会がないまま10年が過ぎてしまった。

震災前から関東以北に遊びには行っていたが、福島県はどちらかというと沿岸部よりも内陸部の郡山とかそっちのほうだった。だから、沿岸部には馴染みがなかったということもある。というのは、多分ちっちゃいことで、どう触れていいか自分自身がわかっていなかった。
やっぱり震災以降福島県について聞こえてくるニュースは、原発事故後の処理状況や、帰還困難区域に関すること、線量検査のことなど、現地の人は頑張っているよ、ということ。現地に住われている方がどんな気持ちなんだろうか、なんか自分たち行っていいんだろうかというような、他の東北太平洋側沿岸地域とはまた違った感情を持っていたというのが大きかった。どんな顔で行っていいかわからないというか。

そんな中、小松理虔さんの「新復興論」を読んだ。
そこには、一住民として、活動してきた人として現状行われている(または行われた)復興施策に対する違和感と、ご自身が行ってきた活動の内容、感じたこと、改めていわきという場所を見つめ直す試みがなされていた。極度なべき論ではなく、居て活動をしてさまざまな分野への挑戦、そこで感じたこと、失敗したことも含めて書かれているので、それを追体験するような気持ちになれた。また、観光客でいることや外部者でいることについても肯定的な言葉が書かれていたことで、福島県を訪れることについて変な構え方がなくなった。

いわき裏ツアー

小松さんの本の中にある「いわき裏ツアー」。元々いわきが持っている地域性、文化も辿りながら、ロッコク(国道6号線)を通じて震災後の浜通りも体験ができるという内容だった。これを、自分たちで辿ってみることにした。

詳細はまた後編に書くけれども、結論、行って本当によかった。
これまで行かなかったことを後悔するくらい、よかった。元々観光名所よりも、地域を歩きながらその土地の文化や歴史を感じて楽しむ方が好きなので、殊更自分たちに当てはまった。とてもダイナミックに、いわきという土地と浜通りの今を感じることができた。

そして、また行きたくなった。小松さんの本に感謝。
旅好きの人には是非お勧めしたい。

<訪れた場所>
勿来の火発、東西オイルターミナル、小名浜港、アクアマリンふくしま(中に入らず)、イオンモールいわき、イオンモールいわきの周りのソープ街(もちろん歩くだけ)、いわき・ら・ら・ミュウ、三崎公園、白神団地集会所(ここかな?という感じ)、平地域、常磐炭鉱西部斜坑連絡坑跡、常磐炭鉱内郷住吉一坑跡、いわき回廊美術館、広野火発、ロッコクを通って南相馬まで、原子力災害伝承館、フルハウスなど。

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