癌の発見から、1年が過ぎた
あれから1年。
2018年11月のある日、母から「1年経ったね」というメッセージが届いた。
そうだ、1年経った。
子どもを授かれなくて、授かるという希望を頼りに生きるのが怖くて転職活動を始めた。
始めた矢先に「膀胱にできものみたいなものがある」と言われた。
腫瘍だった。考える間も無く、入院の準備、手術、入院、退院、腫瘍は悪性であることの知らせ。
気丈に振る舞っていた母だったが、きっと「なぜ、なぜ」とずっと思っていたに違いない。
その後の検査では何も見つからず
退院後、複数の腫瘍ができていたこと、うち1つは悪性の部類に入るので3ヶ月間の継続治療を行なった。
治療期間中はまともに生活をするのが難しい期間があり、なかなかに辛かった。
前職、現職の職場ともそれぞれに融通くださって本当に助かった。
その後は3ヶ月に1度通院をして内視鏡検査を行うことになっていた。
3ヶ月の根拠は、その期間であれば新たな腫瘍が見つかっても深くまで侵食しきらない期間だから、だそう。
その3ヶ月に1度の検査では幸いなことに年内まで何も見つからなかった。
そして、1月の造影剤CT検査も含めた検査で、膀胱外でも腫瘍の発生は見当たらず、「順調な経過を辿っている」らしかった。
手術後、「若い人は腫瘍の再発を繰り返す人が多い」
「その都度BCG治療を行うこともできるが、膀胱の柔らかさは失われていくので再発が繰り返される場合、治療の内容を検討していくこともある」と言われていた。
だから私は、いつか自分の膀胱がなくなって、自由に歩き旅に出ることができないかもしれない、人工物の取り付けによって感染や新たな病気の発生などもあるかもしれない。
そう思って、この1年好きなことをした。
沢山仕事した。旅にも行った。やりたかったことにも新たに取り組めた。まだ広げる。自分がこうして動ける間にやることは全部やっておく。
今も、尿の色は毎日見てる。いつ何が起こるかわからない。
思いもよらないところから、また別の病気を発症するかもしれない。
無事に過ごせている日々に感謝して精一杯生きよう。