叶わない/幸せになれないとわかっていた片思い

先月、突然上司が辞めた。辞めて2週間以上たったが、私の心の引っかかりはまだ取れない。ふとした瞬間、歯の奥に挟まったものが取れるまで気になって仕方がないような感じになる。

私は上司が辞めるという、その受けた感情を外に発散しなかった。それが今、とても大きなストレスになっているのを感じる。

私は上司が辞めるとわかってから1ヶ月、ひたすら「面倒くさい」を連呼していた。それは「辞めることについて考えるのが面倒くさい」ということだったのだと、今ならわかる。

去ってしまう彼のことを考えてしまうと、自分の心が壊れるような気がしていたのだ。

私は彼にとってそこまで特別な存在ではなかったのだと悲しくなる。辞めるとわかってから1ヶ月、彼から私へ話してしてくれることはなかった。私は彼に叶わぬ恋をしていた。それが余計に「彼の特別な存在でありたい」と私に思わせていた。彼も、もしかしたらそれに気づいていたのかもしれない。だから、距離を置かれた。

私と彼の間にはたしかに何かの絆を感じていたが、それは逆にお互いの見えない「この線を越えてはいけない」という契約でもあったように思う。その線を越えてしまったら、私と彼のちょうどよい関係は一気に崩れる。そして、その線を越えてもお互いに「幸せになれない」。そう感じる私自身もずっと悲しく切なかった。

嫉妬は愛の裏返しだ。嫉妬してしまう自分を許したい。好きな人の特別だと思うのは当たり前のことだ、きっと。好きな人が誰かと親しくしていたら面白くない。好きな人に冷たくされたり嘘をつかれたら傷つく。

彼の方がオトナだから、私の恋心を感じつつも、私のメンタルの弱さを知っていたからこその態度だったのかもしれない。

彼が誰よりも優しく、不器用で、純粋な人だと私は知っている。私はそれを知れただけで充分だ。彼は二度と私に関わってこないだろう。そんな気がする。

私は失恋をしたのだ。これで失恋というのがハッキリとしたということだろう。片思いが終わったのだ。もうこの恋を辞めよう。

そして、今度こそ自分がちゃんと幸せになる、新しい恋をしよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?