理三と東大医学部医学科について、出身者が解説
カガミルと申します。
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私は理三に現役合格し、その後東京大学医学部医学科を卒業しました。現在医師として働いています。
今回は理三と東京大学医学部について解説します。
理三と東大医学部を同じものとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。概ね正しいのですが、より詳しく説明します。
なお本記事の内容は以前の私のブログ記事と同じですが、ブログを休止中のためnoteで公開することにしました。
理三とは
理三の正式名称は理科三類です。東大の理系のコースの1つで、医学部医学科に進学ができるというものです。
まず、東大の入試のシステムは他の大学と違うので、まず重要な枠組みである「科類」について説明します。
多くの大学では入学試験の時点で法学部、工学部、医学部のように学部が分かれていて、受験生は希望する学部を受験します。
一方東大では大学受験時には学部が決まっておらず、下のいずれかに出願して受験します。
これらの6つを総称して「科類」と呼びます。
注:推薦入試では入学時から学部に配属されますが、ここでは割愛します。
なお全ての国立大学の前期試験は同じ日に行われるため、このうち1つの科類にしか出願できません。
(例えば前期で理一と理三を両方受けるということはできません。)
合格すれば晴れてその科類に入学することができます。
進振りとは
東大が学部に分かれるのは2年生の後半からです。進学するには全ての必修科目の単位と、規定数以上の選択科目の単位を取る必要があります。
そしてこれらの必修科目と総合科目から平均点が計算され、それに基づいて進学先を選びます。この制度を「進振り(進学選択制度)」と呼びます。
進学先について希望を出し、平均点が高い人から順に内定します。人気のある学部や学科に行くには高得点が必要ですが、高得点を取れば全ての学部に行けるというわけではありません。科類による進学先は概ね下のように決まっています。
医学部医学科への進学
進振で同じ学部に行く場合でも、科類によって必要な平均点は全く違います。理三と医学部医学科で説明します。
理三であれば必要な単位を取りさえすれば必ず医学部医学科に進学することができます。だから理三からの進学の最低点は60点強のことが多いそうです。
一方理三以外の科類からも医学部医学科に進学することができ、これを「医進」と言います。ただし定員は少なく、1年間で
という狭き門です。
医進の場合は少ない定員を巡って争うため、必要な平均点は90点以上にもなります。大学では80点以上で優を取れますが、医進のためにはほぼ全ての科目で優を取らなければならず、極めてハードルが高いことがお分かりいただけると思います。
さらに理一と文科全体という4つの科類から医学科に行けるのは合計で3人だけであり、理二以上に医進の難易度は高いと言えます。
一方で理三からあえて医学部医学科に進学せず、他の学部に進学する人もたまにいます。入学後に医学部医学科以外に興味が湧いた場合に別の選択肢ができるのは、理三の魅力の一つかもしれません。
以上より、理三と医学部医学科の関係をまとめると図のようになります。
東大医学部についての補足
前項で述べた通り、理三から進学するのは医学部医学科です。
一方知名度は劣ると思われますが、医学部にはもう一つの学科である健康総合科学科もあります。以前は「健康科学・看護学科」という名称でした。
進振りで健康総合科学科に進学した場合、環境生命科学、公共健康科学、看護科学の3つの専修を選べます。このうち看護学科を修了すると看護師の国家試験受験資格が得られます。
意外に思われるかもしれませんが、東大医学部にも他の大学同様、看護師になるコースがあるのです。実際東大病院では東大の看護科学出身の看護師さんを何名か見かけました。その後東大病院の師長に昇進するケースもあり、東大出身とだけあって優秀な方が多いです。
まとめ
・東大では2年生の途中までは6つの科類(文一、文二、文三、理一、理二、理三)のいずれかに所属し、それ以降は進振りという制度により学部・学科に進学する。
・理三はほぼ全員が東大医学部医学科に進学する。
・東大医学部医学科は理三以外の科類(主に理二)からも、「医進」による進学者がいる。
・東大医学部には医学科だけでなく健康総合科学科があり、看護師を目指すコースもある。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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