理三合格者を多く出す鉄緑会とは?出身者が解説
理三→東大医学部卒で医師をしております、カガミルと申します。
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皆様は鉄緑会という学習塾をご存知でしょうか。
理三合格者の半数以上が通っていたと噂の、知る人ぞ知る塾です。
私も中1から高3まで通っていました。
私が理三に現役合格できた大きな要因の1つは鉄緑会に通っていたことだと思います。自分の経験も踏まえ、鉄緑会について解説します。
なお私が鉄緑会に通っていたのはかなり前のことです(特定されるのを防ぐため、正確な時期はお伝えできません)。
鉄緑会の指針自体は大きく変わっていないと思いますが、昔と状況が異なっている可能性はご了承ください。
鉄緑会の基本情報を知りたい人や、子供を鉄緑会に入れるかどうか迷っている親御さんは是非お読みください。
なお本記事は以前の私のブログ記事と同じ内容ですが、現在ブログを休止中のためnoteで公開しました。
鉄緑会の概要
公式ページはこちらです。
沿革
1983年、東大出身の講師陣が中心となって設立されました。名称の由来は、鉄門倶楽部(東大医学部同窓会)の「鉄」と緑会(東大法学部の学生自治会)の「緑」を合わせたものです。
2007年にベネッセコーポレーションの傘下に入りました。これにより特色ある指導が失われるのではと心配しましたが、カリキュラムには影響がなかったようです。
東京で設立されましたが、その後新規開校もあり現在校舎は以下の4つです。
講師陣
東京の本部では東大卒や東大大学院の専任講師が中心ですが、学生のアルバイトも多いです。私が通った大阪校にも専任講師がいたと思いますが、実際に教わった先生の多くは京大や阪大の現役医学部生でした。
私は理三合格後に講師のアルバイトをしませんでしたが、理三の同級生で講師をしている人は多くいて、鉄緑会の通塾歴なしで採用された人もいます。理三合格者はそのネームバリューゆえに優遇されている印象でした。理三/東大医学部生の他に、理一など他の科類で講師になった学生もいます。
一方レベルが高い分、鉄緑会で指導するには相応の実力が求められます。公式ページによると、採用の際は試験や面接によりかなり厳しく選別しているそうです。
理三以外で通塾歴がないと、採用されるハードルは高いかもしれません。
学費
入会金は中学生、高校生とも22000円です。
1教科ごとに月謝に加えて教材費もかかります。鉄緑会のWebサイトでは公表されていませんが、1ヶ月あたりの額に換算すると概ね中学生で14000円前後、高校生 15000-20000円というところだと思います。なお正確な学費は入会時にお問い合わせください。
私が通っていた頃もほぼ金額で、エリート養成塾としては良心的だと思います。
入塾方法
中1で入塾するのと、中途入塾があります。
中1の初めから入塾する場合ですが、鉄緑会は指定校制を取っていて、指定校に合格した生徒は中1の時点なら無条件で入塾できます。
指定校は公式ページで紹介されています。
私が大阪校に入塾した時は指定校制ではありませんでしたが、調べた限り今も関西には指定校がないようです。全員が中学入学の直前に国語と算数の入塾テストを受けて、合格者が入塾を許可されます。英語の能力は問われません。
テストに合格すればよいので一般の公立中学校の生徒に対しても門戸が開かれています。ただしテストを受ける人の多くは中学受験経験者であり、未経験者がパスするのは難しいと思います。
一方、中1で入塾しなかった場合でも、中途生用の入塾テストを受けてパスすれば中途入塾することができます。
しかしそのテストは非常に難易度が高いと言われています。しかも入塾できても、他の鉄緑生は先取り学習をしているのでついていくのは大変です。理三合格者の体験記にも中途入塾して苦労したという話がありました。
鉄緑会に入る理由やタイミングは、人それぞれでしょう。
ただし後々のことを考えると、できれば中1の時点で入塾する方がよさそうです。
クラス替え
当時は年2回校内模試がありました。好成績を取れば昇格、成績が悪ければ降格となります。
私は中1の入塾テストの結果、英語は上から2番目のAクラス、数学は最上位のSクラスになりました。その後の模試の成績により、英語も途中からSクラスになりました。
それから受験まで英語、数学の両方でSクラスを維持できましたが、努力を続けた結果だと思います。当然上位クラスほど優秀な講師の指導を受けられます。
科目別の概要
数学
学年ごとの履修内容は概ね以下のようになっています。
高校範囲であるⅠAとⅡBを中学の間に一通り済ませるので、いかに先取りしているかがわかります。理系志望者はこれとは別に、高3の範囲である数Ⅲ・Cのコースを履修しますが、これも高1の後半から高2の前半にかけて全範囲を終わらせます。
英語
中1の間に中学英語を一通り済ませます。
中2 の間には中学英語の発展的内容を学ぶと同時に高校英語にも触れ始め、中3のうちに高校英語の履修内容は一通り終了します。
高1以降はテキストを中心に読解や英作文などの問題演習を行い実力をつけます。
高3になると受験対策も始まります。私の受験生時代の京大入試では自由英作文を課さなかったのですが、東大志望者のために講師の先生が自由英作文の添削をしてくださいました。おそらく東京校ではよりしっかりとした東大対策を行っていると思います。
物理
高2から始まって基礎的内容を一通りやり、高3の時には発展的内容を扱いました。担当講師の裁量かもしれませんが、微分・積分も用いるなどレベルは高かったです。
化学
高2から始まって基礎的内容を一通りやり、その後発展的内容に移ります。ただし私のいた最上位クラスでも標準+αのレベルで、高度な内容を学びたい人には物足りない気がしました。ちなみに同級生の理三合格者の中に、同じクラスで化学を受講していた人はいませんでした。
鉄緑会のメリット
先取り学習ができる
最大のメリットは先取り学習により受験で有利になることでしょう。特に理系の場合数学の成績は合否に大きく影響しますが、カリキュラムを他の学生より1年以上早く終わらせるので、現役生でも問題演習に十分な時間を割くことができます。
また高2の時点で十分な実力をつけることができ、高3になっても勉強時間を他の活動(部活など)に注ぐことができます。
志望校の先輩と接点が持てる
個人的にはこれも大きなメリットだと思います。
講師には有名大学の大学生が多いです。中1から入塾して鉄緑会の上位クラスにいれば、理三や京大医学部の先輩の授業を受けられる可能性が高まります。
志望校に合格した先輩は憧れの対象であり、教えを受けられることはこの上ないモチベーションになるでしょう。縦のつながりの強い医学部の場合、合格後もつながりが続く可能性が高いです。
京大医学部生や阪大医学部生の優秀な先生は、勉強の質問に的確に回答してくれました。また中高生だった私は、講師というより「お兄さん」という感覚で恩師に接し、勉強以外のことも相談させていただきました。
これだけ理三や京大医学部の先輩と知り合えるチャンスの多い塾は、大手ではまずないでしょう。
費用が良心的
ハイレベルな授業の割には授業料は良心的だと思います。
1クラスの人数がそれほど多くない
1クラスあたりの人数は多くて数十人であり、大手に比べると講師が生徒一人一人の状況を把握できるようになっています。その分きめ細かな指導がしやすくなるでしょう。
鉄緑会のデメリット
落ちこぼれになる可能性
先取り学習というメリットは、授業についていくのが大変というデメリットでもあります。
毎週講義を受けては1週間後には復習テストを受ける、というスタイルのため勉強し続けなければならず、校内模試もあります。一定の成績を修めなければクラスが下がりますが、基本的に下位クラスでも履修内容は同じです。一度ついていけなくなるとどんどん遅れ、塾から脱落してしまいます。
実際私が入会したころ同じ数学のクラスにいた同級生の一部は、その後脱落してしまいました。
講師がプロでないことも
専任講師もいますが、プロでない学生も講師をしていて授業のレベルが必ずしも高くないことがあります。
例えば中学生の時に英語を指導してくれた先生の中には、中学生から見ても明らかに間違った単語や文法を教える人がいました。下位クラスではその傾向が強いかもしれません。
東京の本部では採用倍率が高いためレアケースかもしれませんが、講師が指導のプロでない可能性は考えておいた方がいいかもしれません。
結局、鉄緑会には入るべき?
これについて悩まれている親御さんが多いかもしれません。ケースバイケースですが、以下のような判断材料があると思います。
子供の適性
中1から入塾する場合、鉄緑会に向くのは自律した学習ができる人です。中学受験が終わったばかりだと遊びたくなる人、中には受験で燃え尽きてしまう人もいるでしょう。周囲がそういう状況でも先取り学習についていくためには、自らを律することが不可欠です。またがむしゃらに努力しても、一定以上の地頭がないときついかもしれません。
逆に自律した学習ができない人には鉄緑会は向きません。また鉄緑会は学校よりもはるかに進度が速いため、学校の勉強についていくのがやっとだという人には厳しいでしょう。学校の勉強に専念するか、別の塾に行く方がいいでしょう。
中途入塾できた人は難しい入塾テストをクリアしているので素質はあるはずです。ただしその時点で中1からの塾生に大きく差をつけられているので、周りに追いつきたいという貪欲さが必要です。
志望校のレベル
まずお伝えしたいのは、塾に行かないで済む方法が多数あるということです。
私が受験した当時はインターネットに良質の教材はなく、塾や学校で勉強をしたり紙の問題集を解いたりして実力をつけました。
しかし最近ではインターネット上に無料で良質な教材が数多くあり、独学で大学に合格するのも可能になってきています。もともと地頭の良い中高一貫校の生徒なら、塾に行かずに理一や文一に十分合格できるかもしれません。
一方で、理三や京大医学部の合格者の多くが鉄緑会出身であるのも事実です。入塾せずにこれらの学部に合格する人もいますが、先取り学習をしている鉄緑生と比較するとハンデがあってもおかしくありません。
中1の時点で理三や京大医学部を目指すという明確な目標があるなら検討してよいと思いますが、こだわりがないのなら入塾する必要はないかもしれません。
親の経済力
月謝と教材費を合わせると1教科あたりの月々の支払いは15000円前後で、この金額をどう見るかです。教育費に余裕があるなら、試しに中1で入塾させてみてもいいかもしれません。続けられそうなら続け、ついていくのが大変なら無理をせず脱落させるということもできるでしょう。ただしお金を無駄にしたくないのなら慎重に判断せざるを得ません。
まとめ
・鉄緑会は理三や京大医学部の合格者を多く出す塾である。
・先取り学習を特徴とするため受験で優位に立てるが、ついていくには努力と地頭が必要。
・中1で入塾する場合、指定校の生徒は無条件で入塾できるが、それ以外の生徒は試験に合格する必要がある。中途入塾の場合は試験が難しく、入塾できてもついていくのは大変である。
・最難関校を目指すのなら検討してもよいが、そうでなければ必要ないかもしれない。
本記事では私が実際に通った経験を踏まえ、鉄緑会について解説しました。
読者の皆様が教育方針を決めるにあたり、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
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