株式オプションと指数オプションの比較 〜SPY vs. XSP〜
カガミルです。
サクソバンク証券でオプション取引をしています。
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1月10日から、サクソバンク証券で外国指数オプション取引が可能となりました。
私にとっては非常に重要なニュースです。
指数オプション取引自体はWebull証券も取り扱っているのですが、ここでは買い建てのみ可能で売り建てができないため、取れる戦略が限られていました。
今回サクソバンク証券で指数オプション取引ができるようになったことで、行える戦略の幅が広がりました。
この記事では、S&P 500の指数オプションを取り上げます。
さらにその1つであるXSPのオプションとSPYのオプションと比較します。
SPYオプション
まずは、S&P 500に連動するETFであるSPYについてです。
インデックス投資や米国株投資をしている方で、S&P 500を知らない方はまずいないでしょう。
米国を代表する大企業500社の時価総額加重平均型の指数で、過去数十年に渡り上昇トレンドが続いていて人気の投資対象です。
指数としてのS&P 500を直接買うことはできないため、長期投資をするならETFまたは投資信託を買うことになります。
SPYは、S&P 500に連動するETFの1つです。
S&P 500に連動する他のETFにはVOO, IVV, SPLGなどがあります。
個人投資家の間では、どちらかというと経費率が最安のVOOが人気かもしれません。
一方SPYは経費率が高めですが、S&P 500に連動するETFの中で最も歴史が長くて流動性が高いため、大口投資家にも購入されています。
その流動性の高さもあり、SPYオプションは非常に活発に取引されています。VOOやIVVの株式オプションもあるのですが、原資産の流動性の低さから、満期日の数や出来高はSPYのオプションに大きく劣ります。
S&P 500に連動するETFのオプション取引をするなら、SPY一択といってよいでしょう。
S&P 500の指数オプション (SPX, SPXW, XSP, NANOS)
今回サクソバンク証券で取引ができるようになった指数オプションのうち、S&P 500に連動するのは以下の4つです。
ティッカーと銘柄名を表記します。
NASDAQ100やRussell 2000, VIXの指数オプションもありますが、今回は割愛します。
SPXはS&P 500の指数オプションの代表格です。Monthly option, すなわち満期日が毎月1回、第3金曜日(その日が祝日の場合は第3木曜日となることもある)しかありません。
1単位の価格はS&P 500の値の100倍です。たとえばS&P 500が4000ポイントの時、SPX 1単位は 400,000ドルに相当します。1ドル=140円とするとSPX 1単位は5600万円にもなるため、ある程度資産のある投資家向きと言えるでしょう。ただし戦略次第では、それほど資金がなくてもSPXオプションの取引ができます。
SPXWの1単位のサイズはSPXと同じですが、その名の通りweekly optionであるという点が違います。
ほぼ毎日満期日を迎えるオプションがあるため、SPXより柔軟にDTEを設定できます。
XSPの1単位はSPXの1/10で、個人投資家にも扱いやすいです。また、ほぼ毎日満期日を迎えるオプションがあります。
ただしSPXやSPXWと比較すると流動性は劣ります。
NANOSはXSPと同じく、S&P 500の1/10の数値に対応します。XSPと異なる点は、XSP 1単位がその数値の100倍に対応するのに対し、NANOS 1単位は1倍に対応するという点です。よってNANOS 1単位のサイズはSPXの1/1000, XSPの1/100となります。
流動性がきわめて低く満期日の数もわずかなため、使いどころは限られます。
SPYとXSPのオプションを比較
2024年1月12日の終値は、SPYの価格が476.68ドル、S&P 500が4783.83です。
ここで、SPYとXSPの1単位の価格を見てみましょう。
SPYのオプションは1単位あたりETF 100枚相当なので、476.68 × 100 = 47668ドルです。
XSPはSPXの1/10のサイズですで、SPX 1単位はS&P 500の100倍(単位はドル)です。よってXSPの原資産の価格は、4783.83 × 100 ÷ 10 = 47838.3ドルです。
このように、SPYとXSPの1単位のサイズはほぼ同じであり、一定以上の資金があればどちらも同じように取引ができます。
しかし、両者には以下のような違いがあります。
まずは決済方式の違いです。
株式オプションでは権利の行使とともに現物の引き渡しが行われます。
たとえばSPYのコール1枚の買い手が権利を行使した場合、SPYの現物(1単位=100株)が権利行使価格で購入されて口座内に入ることになります。
一方指数オプションの場合は現物のやりとりはなく、指数と権利行使価格の差に相当する資金を口座間でやりとりするのみです。
次に重要な点は、権利行使タイプの違いです。
株式オプションの売り手は、買い手が早期に権利行使するリスクを考えておかなければなりません。
一方指数オプションの場合その心配はなく、この点は指数オプションの大きなメリットといえるでしょう。
またXSPは流動性が低く、SPYよりもスプレッドが広いです。
スプレッドが広いほどオプション取引で得られるリターンが減少してしまうため、この点はSPYに分があります。
その他の違いとして、XSPをはじめとする指数オプションの取引が行われるのはグローバル取引時間であるという点があります。すなわち、米国市場が時間外でも、ロンドンや香港などでも取引されているので、ほぼ24時間取引できます。
しかし、サクソバンク証券では2024年1月現在、米国市場の取引時間内しか指数オプションの取引ができません。
今後取引時間が拡大されれば、指数オプションに新しいメリットが加わると言えるでしょう。
以上のような違いを理解した上で、ご自身の投資戦略に合った方を選ぶことをお勧めします。
今後は指数オプション取引を行いたいと考えており、戦略についてもnoteに書きたいと思います。
オプション投資の勉強にお勧めの書籍
外国株式オプション取引に関する日本語の書籍やWebサイトは極めて少ないのが現状です。
KAPPA先生の以下の2冊は、オプション取引の基礎から代表的な戦略まで幅広く書かれているので、ぜひお勧めします。
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