ブラジル大統領選挙の現状を冷静に分析してみる

ブラジルの大統領選挙結果について、ブラジルの全土をあげて大混乱しているようだ。
大多数の国民が、「全く人気のないルラ氏が僅差で現職のボルソナロ大統領に勝った」はずがないと、即座に大統領選挙結果に関する不正に抗議した。

ブラジル現地では様々な抗議活動が行われ、国民の多くが「ルラのような酷い汚職政治家に国を破壊されるくらいなら、軍事クーデターによる統治に移行した方が良い」という論調にまで発展している。

現在のブラジルの状況において、軍事クーデターによる政権運営が良いかどうかはわからないが、そもそも軍事クーデターによる政権がどういうものかを含めて考察をしたい。

軍事クーデターとはざっくり言って、軍隊が政治介入して政権を乗っ取ることだ。
軍部、つまり、軍事部門が正常な場合で、政治部門が異常な行動を起こした場合には、国民の意思を反映した軍部による政治部門への「待った!」が有効に機能するだろう。
だが、軍部が暴走した場合には、たとえ政治部門が異常であっても、国民の意思に反した政治運営がなされるという危険性がある。
そもそも、軍事クーデターが起こらないように、民主主義の機能が正常に機能することが期待されているのであり、軍事クーデターは使用したくない奥の手と言えるだろう。

軍事クーデターは過去に例が少なく、実際の事例を参考にしてみるのが良いだろう。
軍事クーデターが行われた例としてミャンマーの例が挙げられる。

ミャンマーでは第二次世界大戦後、国が安定的に運営されず、中国国民党軍が国内に乱入すると同時に国内の少数民族が奮起して内乱状態となっていた中で軍事クーデターによる軍政が始まったのが契機となる。
ミャンマーでは正に、信頼できる統一政府が樹立できない中で民主的な政府が立ち上がらない状況があったといえる。
その中で、アウンサン・スーチー氏による政治活動が軍事政権によって制限されたということがわれわれの記憶に新しいだろう。
だが、アウンサン・スーチー氏は果たしてミャンマーにとって民主的であったかと言えば、彼女が誰からどのような資金を受け取って政治活動をしていたかを考えれば、「ミャンマーの民主化」であったかどうかは、甚だ疑問であり、彼女のバックの勢力と反対する軍事政権に対して、絶えず「非民主的である」というプロパガンダが流されていたというのがミャンマーの現実だ。

ミャンマーの例から学べることは、①軍事政権自体が国民の意思に則しているかどうかがわからない、②国民の意思に則しているならば歓迎すべきだが、意思に則している状態が継続するかはわからない、③軍事政権がグローバリストに買収されて、いつの間にか国民の意思に則しない状態になるかもしれない、ということだ。
ミャンマーの例では、グローバリストに資金援助されたと伺われるアウンサン・スーチーという謎な役者が登場し、軍事政権は民主主義の敵と言うプロパガンダが流され続けた。
プロパガンダに流されてしまえば、グローバリストの思惑通りとなり、国家は破壊される。

ブラジルの例でも、当初は国民の意思に則した軍事政権が立ち上がるのかもしれないし、当初からそうならないかもしれない。
軍事政権の基本は、「軍の統制にある」と言うことから、そもそも民主的プロセスが取られないということを肝に銘じなければならない。
そもそもの問題として、ブラジルも我が国も、「果たして民主的なプロセスが取られているのだろうか」という基本的な疑問があるのだが、それはまた別の議論としよう。

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