20220314 第2回(カ)
旅の話をしてほしい、か……そうだな、じゃああの星での話をしてあげよう。
これは未来、ある星で出会った人間の話なんだが––
月曜日担当のかめです。
この1週間、特に何かあったわけでもないので、自分のツイートで遊ぼうと思います。
かめは鍵垢なので、本文を引用する形で元ツイートを紹介します。
花粉症、実は花粉じゃなくて誰かの憎悪に反応してるらしいです 誰かが誰かを憎む気持ちが、目と鼻の痒みとなって表れるんですよ
この先に書いてあることはすべて今考えた嘘ですが、これは真実で、花粉症は憎悪アレルギーを隠すためのカバーストーリーらしいです。
そもそも憎悪アレルギーとは古来より存在した、"人が人に向ける憎悪感情"に反応して目が痒くなったりくしゃみが出たりする性質です。
この性質はなかなか凶悪で、というのも「自分のくしゃみが止まらないのは、誰かが誰かを憎んでいるせいだ」と、"憎悪感情の連鎖"が簡単に起こってしまうからなんですよね。
しかも世界人口が増加するにしたがって、この憎悪コンボはどんどん凶悪になっていくだろうということを予想した1000年くらい前の研究者たちは、対策案を考え出しました。
それは、「このコンボの肝は"憎悪アレルギーが人への憎悪を生む"という所にあるから、この性質を人々から隠し、代わりに"人以外への憎悪に変える"」というものでした。
そうです。花粉症の概念を生み出すことで、「誰かの憎悪感情のせい」から「花粉のせい」にすることができ、ループに陥るのを防ぐことに成功したのです。
これにより、憎悪アレルギァー(憎悪アレルギーの人)は人ではなく花とかの粉を憎むようになり、アレルギー被害者でこそあれ、加害者にもなってしまうという悲劇はなくなったのでした。
そして今生きる私の仕事は、憎悪アレルギーそのものをこの星から根絶することです。いつの日か、花粉症が無くなる日を夢見て……。
−−なるほど、その方は嘘が好きだったんですね。詐欺師だったのですか?
いや、アイツにそんなことは出来ないだろう。なにせ数字が苦手だったからね。
ふむ。その時点でその星には、多少数字が苦手でも困らない程度の文明はあったように感じましたが、マスター?
なに、そんな複雑な話じゃないさ。ただアイツは……よく日付を間違えるんだ。
なるほど。
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Twitter:@kkkkame_0721
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