西の山の絵描き(裏カ)
西の山の上に、一人の絵描きが住んでいるらしい。
体の不自由な男は、黙々と独自の世界観の絵を描いている。
男は描いた絵をすぐに売るか満足できず捨ててしまうらしいが
一枚だけアトリエにかざっているという。
その絵がどんな絵なのか諸説あり、吸い込まれるように見入ってしまう風景画であるとも、まるで語りかけてくるような自画像であるとも言われている。
男は決してその絵については語らず、しかし、ついには死ぬまで自分のそばに置いていたという。
16,17日と実家で親戚と飯を食っていた。
普段はデジタルゲーム(主にスマブラと桃鉄)で鎬を削っているぼくと才女、そしてぼくの姉とその旦那。そんな人間たちに新しい風を吹かせようとぼくは一大決心をする。
「アナログゲームやろうぜ!!」
そう思いながら持ち出したのは「世界樹の迷宮ドミニオン」と「GOD’S GAMBIT」ドミニオンの方は有名なデッキ制作ボードゲーム、後者は通称「業の深いUNO」だ。今調べたらカードの追加された「G」版がAmazonで2000円だった。
デジタルゲームと筋肉を痛めつけることが趣味のスポーツ系姉夫婦を黙らせるべく持ってきたわけである。
ドミニオンはまぁまぁルールが複雑なので解説しながらプレイ、デッキ回しの最強カード「おっさん」と「はやぶさ」を紹介しつつデッキをぐるぐる回すぼく。
「このゲームはこうやってデッキを回してリソースを回して遊ぶんだぜぇ!!」
負けました。
フロア踏破できなかったんや.....。
次に「GOD’S GAMBIT」UNOのように数字と色で盤面にカードを切っていくゲームだが、自分の手元に遊戯王カードのように発動することで、記載されてる能力を行使できる。能力は有利に進めるものと、相手の妨害系の能力がある。発動に制限などはないが、だれかが手札を切らして「あがった」タイミングで場に貼られているカードの合計値分「カルマ」を背負う。上がったプレイヤーはどんなに溜まったカルマもそのラウンドは0として扱う。
3ラウンドほどあそび、最終的にカルマの少なかったプレイヤーが勝ち、というやつ。
強力なテキストを持つカードは強力ゆえに数字も大きい、場にはるか、UNOのように切るかが戦略性を問われる。これがおもしれぇ〜んだ。
こっちは勝ちました。
やはり決闘者の意地というものでしょうか。
全員のカルマが増えてきて、誰かが上がったらこのカルマを背負わなきゃいけない、という自分の業と向き合うひりついたカードゲームだ。修学旅行とかでやると盛り上がるぞ!
あと、実家が神道なんですよね。
仏教ではなく、神道。具体的にどう違うかというと、墓参りに行くのが寺ではなく神社。亡くなった方は仏にならず、八百万の神に名を連ねる。といった差がある。葬式に来るのも坊さんではなく神主さんだ。メョリケグ■■■ミ。一回忌、三回忌みたいなのも一年祭、三年祭、五年祭とお祭りとして扱われる。亡くなった人が故人を悼むのではなく、残った我々が元気で暮らしていることを神となった故人に見せるためにお祭りを開く。ぼくは人生で初めてガチ雅楽をこの五年祭で聞いた。
まぁというわけでぼくの死んだじいちゃんは神様なわけですよ。我々親戚一同は身内に神がガチでいるんすよ。分かりますか? 身内に神がいたらやること。それは。
「神棚でガチャを引く」
「じいちゃん!!!! お願い!!!!! 推しを当ててくれぇ〜!!!!」
などなど、二礼二拍手一礼でガチャ回している姿は日常茶飯事。先日は五体投地してたら姉の旦那にサソリ固めされて無事ガチャも爆死。でも身内な神様なので神に文句は言いません。ありがとうございました。次もよろしく。粘り勝ちでしたね。
今日の日記はこれまで。じいちゃん。明日はもっといい日になるよね。
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絵を描いていたら、神と眼が合った。
宗教画家の俺は、気付いたら絵に神を降ろしてしまったようなのだ。
神はその37個の眼で俺を見る。
二つの口が交互にばくばく開き、なにかを話そうとしている。
当然だが、声は聞こえない。これは絵なのだから。
神は目を動かして書き足して欲しい場所、修正して欲しい場所を目配せで指示してくる。
7本目の腕を描いた時、指の本数を1本間違えて怒った眼差しで睨まれた。右耳が聞こえなくなった。
完成した時、神は一瞬微笑んで見えた。俺は機能しなくなった左半身が誇らしかった。
宗教団体にキャンバスを引き渡す日、神と通じ合ったことを幹部に話したら、顔に垂らした布越しに罵倒された。俺如きが神と触れ合えるわけがないらしい。
その時、あたりにつんざくような金切り声が響いた。ここは鉛5m厚のシェルターの廊下だ。そんな声を上げるような生き物はいない。声が鳴り止むと、絵を受け取った幹部の垂らした布の後ろから顔がずるりと床に落ちた。遅れて体が壁にもたれかかって動かなくなった。死んだのかな。
俺は金も受け取ったし、そのまま帰った。
俺は帰り道、あの叫び声がなんて言っていたのか考えていた。なんと言っていたのか分からなかったが、考えていくうちに確信に寄っていく。あれは、あの神の名前なのではないか? そう、
「メョリケグ■■■ミ」