
ありのままの法務、あるいは契約書レビュー練習問題の解説(?)
登場人物
とら:ソフトウェア開発会社・イグジビットの法務部員。3年目。かえるがはじめての後輩。
かえる:イグジビットの新人法務部員。
題材
ツイートの中のリンクから題材となった契約書をダウンロードすることができます。
法務部で働くに当たりどんな準備をしたら良いでしょうか?系の質問がよく来るので練習用ファイルを作成しました。これを全部良い感じに直せたらすごく良い感じ。
— かえる™ (@72jailbreak) January 27, 2021
あなたはイグジビットの法務部員で、先輩部員のドラフトに対しアペンディクスからレビューが返ってきたところ。https://t.co/FtWyOEWf9S
ある日、午後5時半の法務部居室
うわああああああああああ
先輩、どうしたんですか?
客先から俺の起案したNDAが5か月ぶりに返ってきたから早速内容確認してるんやけど、とんでもないことになっている……。信じて送り出した俺のNDAが……。しかも営業からは明日までに修正案を送ってほしいって……。5か月間ほったらかしやったのに……。絶対急いでへんやろ……。
明日……? いま午後5時半ですよ……?
俺いまから営業秘密漏洩の件でアゼルバイジャンの客先のリーガルとテレカンして明日までに役員会議に上げる資料を作らなあかんのに……。
なんか大変そうですね……。あれだったら私がやりましょうか?
マ!? 助かるなあ……そしたらちょっと一緒に内容を見て、手を動かすのはかえるさんに任せよかな。
はい、お願いします。
じゃあまず形式面。うわあああああああああ
大丈夫ですか?
何から説明すれば良いのか……せやな、先日坂尾先生のツイートがTwitterでバズってたけど、
このボタンの存在はぜひ覚えておいてほしい。これはこの世界の真実が見える魔法のボタンなんや。一見何の問題もないように見える(?)この契約書も、このボタンを押すと、ほら……。
うわあああああああああ
かえるさん! 大丈夫か、気をしっかり保つんや。
はあはあ、すべての文末が改行され、スペースで不正インデントが作られています。表題は半角スペースで偽装中央揃えになっています。
せやな。このような不正インデントを作出する行為は他社の法務部員の幸福追求権を激しく害するので刑法上禁止されている。このNDAが無事締結できたら、検察庁へ告訴しに行こう。
はい……。
実は、俺が信じて送り出したNDAは岡口マクロ(魔改造版)を使用した美しい文書やったんや……。でも、アペンディクスのやつらはそのスタイルをすべて削除し、不正インデントに変えたんや。
さっぱり意図がわかりません。
条項番号の自動設定には正直好き嫌いがあるねん。修正履歴を残すとなんかごちゃついて美しくないし、特定の条項にリファーする条項がある場合にはさらに相互参照などの高度な機能を使用していないと却って処理が面倒になる場合もあるし。たとえば第4条を削除する場合に「第4条 削除」と記載して、第5条と第6条の間に1条追加する場合に「第5条の2」とするような処理は英文契約書ではよく見られるし、日本法でも見掛けるやろ。だから条項番号の自動設定を削除されるのは俺は別に気にせんのやが、すでに美しく揃っているインデントをわざわざ不正インデントに変えるのはほんまに意味がわからんな。親切心なんやろか。まあかえるさんが相手方作成に係る契約書をレビューする場合には、こういうことをしたらあかんで。ほな内容の話……うわああああああああああ
大丈夫ですか。
表題で既に2点問題がある。まず、コメントがテキストオブジェクトで挿入されている点や。若干コメント機能の外観に似せているところが絶妙にムカつくな。
なぜスタイルは削除できるのにコメント機能は使えへんのや……。コメントはきちんと[校閲]タブの[新しいコメント]機能を使用して挿入せなあかんで。なお、M&Aなど特定の分野では隅括弧で本文中にコメントを書き込むこともあるから郷に入っては郷に従えやで。
はい。
次に、コメントの内容やな。途切れてるし……。
これほんま言うてくるやつおる。バリエーションとしては、「契約書本文を修正すると決裁を通りませんので修正不可です。」などがある。知らんがな。あと、「契約書」が要決裁となっている内規の趣旨はそういうことじゃないと思うで……。まあ別に表題を「秘密保持に関する覚書」にすること自体はええんやけどね。ただdtk先生は懸念を感じるって言うてはったな。
dtk先生……?
で、頭書。俺は「乙が、甲の開発したコンピュータ・ソフトウェア「偽装インデント根絶君」の導入可能性について検討するにあたり(以下「本取引」という。)」と記載したんやけど、サイレント修正されてるな。
修正の意図がようわからん……。てかまあ今回は別にええんやけど、たとえば、共同研究の前段階の情報共有のためのNDAとかやと、情報共有の対象となる技術が、既に開発済みなのか、開発中なのか、共同で開発するのか、あたりを厳密に記載したほうが良いこともあるな。こういう契約書の言葉遣いの細かい点が訴訟で重要な証拠になるかというと俺もようわからんのやけど、訴訟前の、特に事業部門同士の交渉では、契約書が水戸黄門の印籠くらいの威力を発揮するわけ。「民法ではこうなってますよ」「は? 知らんし。ていうか、この契約書にはこう書いてあるやんか!」「ぐぬぬ……」みたいな。そしてほとんどのトラブルは訴訟に発展せずに終わる。そういう意味では契約書の言葉遣いには気を付け過ぎて気を付け過ぎるということはないんちゃうかと思うわ。たかがNDAと思わずにきっちりヒアリングすることが大事やな。
あ、なんかコメントがついてますよ。
名前が「作成者」になっていますが、これは誰のコメントなんでしょうか? というか、コメントの文頭に「(内部向けコメント)」と書いてありますよ。これ、社外に出たらダメなやつじゃないんですか?
これは……うちの営業と、俺やな。まず、これに関して俺が言いたいのは「依頼者を信じるな」ということや。
というと。
依頼者に「内部向けコメントを付しておりますのでご確認の上削除して相手方にご送付ください」と伝えるのはやめるんや。内部向けファイルと社外送信用ファイルを分けて、ファイル名にもわかりやすくその旨記載して送れ。俺調べでは55%の依頼者が内部向けコメントに目を通さず、さらに22%の依頼者は俺のメールの本文にすら目を通さず、機械的に「ありがとうございます!」と返信し、俺のメールを相手方に転送する。
まさか、そんな……。
これがこの世界の真実なんや。俺は、この事実を立証するため、レビュー結果を送付する際、ファイルにパスワードを掛けるようにしてたんや。メールを送信してから5分以内にさも内容を確認したかのように返信してきたやつが俺の先輩含めて30%ほどおった。逆に、10分以内に「パスワードの別送が漏れていませんか」とチャットを飛ばしてきてくれた神依頼者が15%。こういう依頼者との仕事はほんまにスムーズに進むから大事にせなあかんで。いつもありがとうございます。
で、なんでそこまでしたのにこのファイルは内部向けコメント付きでアペンディクスに送付されてしまったんでしょうか。
依頼者が内部向けファイルと社外送信用ファイルを両方アペンディクスに送ったんやな。
なるほど……。
次に、うちの営業のコメントやけど、
これはまあときどき出てくる要望やな。客先を「甲」にしてほしい、みたいな。はんこのお辞儀みたいな話やけど、まあ余裕があれば修正してあげても良いんちゃうかな。
ほい。
で、最後に、なぜコメントの作成者の名前が「作成者」になってるか、やけど、これは、このWordファイルが個人情報を削除する設定になっているからやねん。このオプションが有効になっていると、だれがどの修正をしたのかさっぱりわからなくなってマジでイライラするから、[ファイル][オプション][セキュリティセンター][プライバシーオプション]から[保存するときに個人情報をファイルから削除する]のチェックボックスを外すことを推奨するで。このオプションは英文契約書でよく見られるので、もしかしたらGDPR関係を気にしているのかもしれんが、ファイルの作成者の情報はともかくコメントや修正履歴から確認できる個人情報とかユーザー名くらいやんけ。ユーザー名の設定のところで対処せえよ、と俺は思うわけ。
今までで一番の怒りを感じますね。
で、第1条か……。
第1条(秘密情報)
本契約における「秘密情報」とは、甲又は乙が相手方に開示し、かつ開示の際に秘密である旨を明示した技術上又は営業上の情報、本契約の存在及び内容その他一切の情報をいう。ただし、開示を受けた当事者が書面によってその根拠を立証できる場合に限り、以下の情報は秘密情報の対象外とするものとする。
①開示を受けたときに既に保有していた情報
②開示を受けた後、秘密保持義務を負うことなく第三者から正当に入手した情報
③開示を受けた後、相手方から開示を受けた情報に関係なく独自に取得し、又は創出した情報
④開示を受けたときに既に公知であった情報
⑤開示を受けた後、自己の責めに帰し得ない事由により公知となった情報
うーん、NDAって論点が多くて、いろいろ言いたいこともあるんやけど、今日のところは時間もないし、修正されていない条項については飛ばそうかな。まあ、「『本取引のために』が抜けていないか?」「本当に相手方から秘密情報を受領するのか?」「開示する情報の質/量的に、秘密である旨を明示できるのか?」「当社が相手方に開示するものだけなのか? 相手方が当社情報を解析して勝手に取得する情報はないのか? 相手方が当社の敷地を訪れて見聞きすることで勝手に取得する情報はないのか?」「本契約の存在等を秘密として良いのか? 他社事例としてPRに使用することはないか?」「立証についての言及の位置は正しいか? 公知情報についても受領者が立証責任を負うことにならないか?」といったような論点があるけど、すべて俺が完全にチェック済みやから大丈夫や。
え、「本取引のために」が抜けている点は修正したほうが良いんじゃないですか? そうしないと、本契約の有効期間中に行われる当社とアペンディクスとの間での秘密情報のやり取りは本取引に関係するかどうかを問わずすべて本契約でカバーされることになってしまいますよね。あ、秘密情報の例外の立証責任のところも一応修正したほうが良いですよね。
ほんまにそう。
ていうか、今回って導入検討ですよね。うちは相手方から秘密情報もらうんですか?
依頼者によると、「とりあえず資料を提供してください。単にサブスクを購入するか、ソリューションをお願いするか、今回は見送りか、別途検討して回答します」て言われてて、実質的に先方から秘密情報を受領することはまず無いらしい。なんで、最初片務の雛型を出したんやけど、「当社での検討結果について守秘義務を負ってほしい」と言われて双務になったというわけ。
なるほど……。その経緯で第2条第1項のこの修正は……。しかもこのコメント……。
アペンディクスの法務にも教えてあげたい。「依頼者を信じるな」。
そもそも、なぜ第1項だけ片務に修正されているんでしょうか。ここを修正するなら契約書全体を片務に修正しなければ平仄が合わないのでは。
第2条(秘密情報等の取扱い)
1.甲【ここはサイレントで片務に修正しています。相手方気付かないと思うので。このコメントは相手方送付前に削除してください。】は、相手方から開示を受けた秘密情報及び秘密情報を含む記録媒体若しくは物件(複写物及び複製物を含む。以下「秘密情報等」という。)の取扱いについて、次の各号に定める事項を遵守するものとする。
①情報取扱管理者を定め、相手方から開示された秘密情報等を、善良なる管理者としての注意義務をもって厳重に保管、管理する。
②秘密情報等は、本取引の目的以外には使用しないものとする。
③秘密情報等を複製する場合には、本取引の目的の範囲内に限って行うものとし、その複製物は、原本と同等の保管、管理をする。
④漏えい、紛失、盗難、盗用等の事態が発生し、又はそのおそれがあることを知った場合は、直ちにその旨を相手方に書面をもって通知する。
⑤秘密情報の管理について、取扱責任者を定め、書面をもって取扱責任者の氏名及び連絡先を相手方に通知する。
2.甲又は乙は、次項に定める場合を除き、秘密情報等を第三者に開示する場合には、書面により相手方の事前承諾を得なければならない。この場合、甲又は乙は、当該第三者との間で本契約書と同等の義務を負わせ、これを遵守させる義務を負うものとする。
3.甲又は乙は、法令に基づき秘密情報等の開示が義務づけられた場合には、事前に相手方に通知し、開示につき可能な限り相手方の指示に従うものとする。
たぶん、契約書の内容について合意した後、調印版を作る際にすべて修正するつもりやったんちゃうかな。おるやん? そういうやつ。
おりますかね……。
おりゅおりゅ。ファーストドラフト送ってからまったく音沙汰ないなあ……と思てたら、突然その修正版を製本、調印して送りつけてきたとこもあったし。
怖いです。
ええか、かえるさん。俺ら法務部員の棲む世界は食うか食われるかなんや。相手方の良心を信用したらあかんのは当然で、依頼者も信用したらあかんし、過去案件の対応も信用したらあかん。唯一信用できるのは社外弁護士のコメントだけや。
やっぱり弁護士はすごいんですか?
いや、案件が炎上したときに「でも弁護士からこういうコメントをもらったので……」という呪文を唱えれば社外弁護士を生贄として地獄の突き上げ会議から脱出できるという機能を持つ。
私は、ほんまに、そんなことは一切思ってないですね。
で、まあ、第2条第1項はこの哀れな内部向けコメントを残したまま修正履歴を付けて双務に戻すとして……。秘密情報の取扱いのところで重要なのは、依頼者に内容を解説することやね。秘密情報の定義のところもそうなんやけど、とにかく依頼者は契約書を読んでません。なので、「何が秘密情報になるのか」「秘密情報をどう取り扱えば良いのか」まったく知りません。「秘密表示を付さずに10年間秘密情報を開示し続けてきてしまった」みたいな相談はよくあるし、第2条第1項第1号や第5号の「責任者の設置」とかよく入ってるけど体感9割くらいの案件で実際には行われてないね。契約書に基づいて、どうすべきか、何をすべきか、噛み砕いて依頼者に説明するのは、良い契約書を作るのと同じくらい重要な法務の仕事やで。
ちょっとだけ勉強になりました。
第2条の内容についてはdtk先生から高度なツッコミがいろいろ入っているから、ご卓見を参考に他に修正すべきところがないか自分で考えてみても良いんちゃうかな。ちな、第三者開示については厳しめになってるけど、今回は取引の性質上アペンディクスがうちの秘密情報を第三者に開示する必要はないと思われるので、ここは据え置きにしといてほしい。
思ったんですけど、リバースエンジニアリング禁止条項はなくて良いんですか?
あっ。
あと第3条の返還廃棄義務のところなんですけど、先方的にこんなに厳しい義務は履行可能なんですかね?
第3条(返還義務等)
1.本契約に基づき相手方から開示を受けた秘密情報を含む記録媒体、物件及びその複製物(以下「記録媒体等」という。)は、不要となった場合又は相手方の請求がある場合には、直ちに相手方に返還するものとする。
2.前項に定める場合において、秘密情報が自己の記録媒体等に含まれているときは、当該秘密情報を消去するとともに、消去した旨(自己の記録媒体等に秘密情報が含まれていないときは、その旨)を相手方に書面にて報告するものとする。
あー、そこね。返還廃棄義務については、海外のちゃんとした企業とかやと「実務上可能な限り」「法令上保管が義務付けられている書類を除き」「コンピュータのバックアップシステム等に自動で保存されている情報を除き」とかの限定が入ってるね。
今回はどうなんでしょうか。
相手方が修正してないんやし、ええんちゃう? うちとしてもさっき挙げたような場合にキリキリ義務違反を追及することはないし。うちが義務を負う場合は気を付けなあかんけど、今回はうちはほぼ相手方の秘密情報を受け取ることはなくて、実質的には片務やから。第4条も同じ思想やね。これがガチの双務やったり、うち片務やったりしたら、「相手方が必要と認める措置を直ちに講ずるとともに」の文言は調整するし、損害賠償責任についても上限を設けた上でその対象も通常損害に限定するかも。
第4条(損害賠償等)
甲若しくは乙、甲若しくは乙の従業員若しくは元従業員又は第二条第二項の第三者が相手方の秘密情報等を開示するなど本契約の条項に違反した場合には、甲又は乙は、相手方が必要と認める措置を直ちに講ずるとともに、相手方に生じた損害を賠償しなければならない。
で、この「挿入お願いします!」は……。
気付いた? これ画像なんよ。「あれ? カーソルが入らないよ……?」と思ってカチカチやってて気付いた。ぞっとした。
それもそうなんですけど、あの、この契約って準拠法は日本法ですよね。
せやね、あえて書いてないけど、イグジビットとかアペンディクスとか言って両方純ドメの100年企業やからね。
この、コモン・ローというのは……。
まあそのいわゆる大陸法、シヴィル・ローに対する英米法のことですね。かえるさん、日本法はどちらに属するか知ってるかな!?
知ってますけど、新人にストレスを与える突然のクイズ、嫌いです。司法試験の民事訴訟法の問題文に出てくる実務家のフリはやめてください。
ごめんなさい。答えは大陸法です。日本法はいちおう大陸法に属しています。で、コモン・ローでは民事事件における救済方法が金銭賠償に限られていて、金銭賠償では不十分な場合にコモン・ローとは別の法体系である衡平法、エクイティ上の救済、差止命令とかによる救済が認められております。そのため、準拠法をコモン・ローとする契約では、エクイティ上の救済を認めるかどうかについてあらかじめ両者で合意しておくことが広く行われているわけですね。これがいわゆるRemedy Clauseです。法務部の先輩がよく言ってる「エクイタブル・レリーフ」とか「インジャンクティヴ・レリーフ」とかカッコイイ技名みたいなのはだいたいこれ関係です。
でも日本法では債務不履行に基づく差止請求が認められますし、うちが提供した秘密情報が不競法上の営業秘密に当たるなら当然に差止請求できますよね? この条項を挿入する必要はあるんでしょうか?
うーん、俺的には、差止請求を認める旨の条項を入れること自体は理解できるかな。債務不履行に基づく差止請求権については民法上明文の規定がないことはたしかやし。てか、なんかしゃべってて段々不安になってきたな……これ以上余計なことを言うとTwitterのインテリゲンチャたちに知識棒で殴られそうなのでこの話はここで終わらせるけど、俺なら「コモン・ロー」とか「衡平法」とかの用語を削除して、日本法を前提として差止請求を認める趣旨の文言に修正して挿入するかな。
ちょっと考えてみます。で、有効期間のところですけど、なんか変わった規定ぶりじゃないですか?
ああ、ここもサイレント修正されてるな。てか、サイレント修正したものに修正履歴付けてるのか。卑怯過ぎるやろ。
この「長すぎます」ってコメントは一応理解できるんですけど……。
まあアペンディクスから来たすべての修正の中で一番意図ははっきりしてるけど、説明がないから合理的な要望なのかわからん。かえるさんも、修正を掛けるときは一応理由を説明したほうがええで。その後のやり取りが1回分短縮できるかもしれんし。
あと、もし修正するなら第2文も修正すれば良いのにって思いました。これって受け容れたらこっちが平仄合わせなきゃいけないんですか? まったく……。それに、契約全体の有効期間を3年または10年とすることで良いんですかね。導入検討とかせいぜい長くても1年程度ですよね。「本契約の有効期間は、本契約の締結日から起算し、1年間とする。ただし、第2条ないし第9条の規定は本契約終了後も10年間有効に存続する。」とかのが良くないですか? あと、自動更新要ります? 要らないですよね?
ほんまにそう。
あ、あれ。
どした?
これ、この修正履歴、偽装修正履歴です! 「10」を赤字にして、その上に図形で赤線を引いています!
なんかもうほんまに怖い。どうしたんや。何があったんや。これまでどうやって契約交渉してきたんや、アペンディクスのリーガルは。
怖いので削除して何もなかったことにしました。一応守秘期間10年を確保したい理由についてコメントを入れておきましたよ。
あ、ありがとう。
はあはあ、ようやく最後の条項ですね。この第7条もどうせサイレント修正ですよね。うちは在道企業なのに沖縄地裁で良いわけないでしょ。
第7条(管轄)
本契約に関する紛争については沖縄地方(簡易)裁判所を第一審の専属管轄裁判所とする。
ていうか、そもそも、沖縄地裁ってなんや?
え? あれですよね、裁判官も検察官も弁護士も皆かりゆしウェアで法廷入りするって言う……。
おきなわちさい……? なんか言い慣れへん気がするけど……まあ被告地主義に修正しといて! ……いや、待てよ。うん。いや、そこはそのままでええわ。
え、なんでですか?
こんなヤバい企業、のちのち絶対揉めるやん? そんとき、管轄を沖縄地裁にしといたら、経費でうちなー旅行できるで。めんそーれ沖縄!
(その前に地獄の突き上げ会議食らいそうですけど、まあ先輩を生贄に捧げれば良いですね)わかりました! ではご指示いただいたとおりに作業しておくので、先輩はアルメニア会議頑張ってください!
ありがと! ほな頼んどくな! 足りないと思う条項があれば適宜追記しておいて! はいさいー!
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