夜を乗りこなす、サカナクションとともに
サカナクションは1番好きなバンドの1つ。
1番と言っておきながら1つに絞れていないのはともかくとして。
どこが好きかを言語化しようとしたことがある。
半年前、授業で自分のオススメのバンドとして紹介した。どういう人たちか、どういうところが好きなのか。学科のみんなに聞かれるわけだから、さほど熱すぎず押し売りにならないように気をつけて言葉を選んだ。確か、電子音がいい、歌詞が文学的だ、とか何とか言ったような気がする。
でもそれじゃ全然足りないし、どこか思っていることと違うように思う。
だから、伝わるかよりも思うままを重視して言葉にしてみる。
サカナクションには暗い曲が多い。
聴いた感じでそう思うし、昔の山口一郎もそう言ってた。
私自身、暗い曲に惹かれる傾向はあるのだが、それだけで好きになったわけではない。
その中に独自の美しさを見出している感じが好きなのだと思う。
歌詞の中に、直接的な負の感情や、こちらに語りかけてくるようなワードはほとんど出てこない。曲の世界は全て向こう側で完結している。受け取り方は様々あるだろうが。
それがなんだか美しいと思ってしまう。
掴めていそうで掴めてない感じ、そこからくる浮遊感、手の届かなさ、なんでもないようにそこにあるのに突然消えてしまいそうな儚さ、いろいろ思う。
それと、サカナクションを聴いていると息がしやすい。居心地が良い。
きっと、体温が同じなんだろうと思う。「元気出して」と無理に引っ張ってくるわけでもないし、堕ちてるのをもっと底に沈めるようなこともしない。
ただそこにいてくれる。一緒にいてくれるだけでいい。
美しくてかっこいいものにただ包まれる時の幸福感たるや。これの右に出るものはない。
もちろん明るめな曲だってある。疾走感があって各楽器が激しい感じのやつとか、ポップなやつとか。
それでも、明るくて元気で、だけではない深みを感じてしまう。それは曲調がポップでも歌詞に孤独や複雑さが感じられるからだとは思う。
だから、どの曲も平等にすごく好きになるのかもしれない。
多分、好きな理由は以上のような言葉で表せる。
演奏技術がどうとか楽器がどうとか、もっと気にした方がいいのかもしれない。しかしそれは二の次だ。
全部総じてあの5人が聴かせてくれる曲が好き。ただそれだけ。
今年もまた、YouTubeでライブ映像の配信をしてくれる。
ちょうど日付変わって今日から。
「夜を乗りこなす」。こう銘打った、他の配信等含めた一連のプロジェクトには本当に助けられている。
その一瞬だけは寂しさを忘れて。家に誰がいようと自分の世界に入って。
今年は訳あって、今後もサカナクションをたくさん聴けるよう、愛せるよう願いながら観ることになる。
夜を乗りこなそう、サカナクションとともに。
きっと寂しくなくなるはずだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?