【備忘録】iRICで河川シミュレーションを行う方法
きっかけ
学校の探究活動で河川について研究を行うこととなり、川の流れをシミュレーションすることとなった。具体的には、堤防の形状による治水効果を検証するというものである。しかしながら、シミュレーションに関してなかなか日本語の情報がなく苦戦したため、備忘録としてその過程と方法を書き残しておく。
今回、シミュレーションソフトを選定する際の要件は以下のとおりである。
家庭用PC(一般的なノートパソコン)で動く
実際の地形ではなく、川の形を自分で定義することができる
結果を視覚的に確認できる
無料であること
専門的な知識があまりなくても使える
このような要件を満たすものとして、「HEC RAS」というソフトに行き当たった。しかしながら、情報が英語だけで解読が難しいことに加え、実際の地形で試している例ばかりであり、利用することを断念した。利用するには、地形データに関する詳しい知識が必要だと思われる。
そんな中、日本の大学教授が中心となって作成された「iRIS」というソフトを発見し、これを利用したところ、シミュレーションに成功した。
iRISの使い方メモ
始め方
iRISの利用を始める際には、以下のサイトが非常に役に立つ。日本発のソフトとはいえ、日本語の情報もかなり限られており、高校生にとっては公式のチュートリアルもなかなか解読が難しいものであった。その一方、こちらのサイトはインストールから基本的な使用方法までを詳しく解説をされていて、初心者でも多少のPCスキルがあれば、簡単に始められる。
(skラボさん、非常に助かりました。ありがとうございます。)
知っておくと役立つ概念
河川についての専門用語をいくつか知っておくと、ソフトの利用だけでなく、ネット検索のときにも役立つ。こちらの国が出している解説文書を軽く見ておくとよいと思う。
ソルバーについて
iRICには、ソルバーと言ってそれぞれの分野に長けたアルゴリズムがいくつも用意されており、その中から1つ選んで利用します。ソルバーごとに操作方法も違うので注意が必要です。
Nays2DH: 河川の2次元水平流れ、土砂輸送、河床や河岸の変動をシミュレーションするモデル。
FaSTMECH: 米国地質調査所(USGS)によって開発された、河川の流れや河床変動を解析するソルバー。
Nays2D+: 2次元浅水流モデルに基づき、主流や副流の縦方向の速度プロファイルを理論的に解く準3次元オープンチャネル流ソルバー。
River2D: 魚の生息環境評価に特化した2次元有限要素モデル。
SToRM: 複雑な境界条件下での解析が可能な、2次元水平流れ解析ソルバー。
Mflow_02: 2次元平面非定常流および河床変動を解析するためのソルバー。
Nays2DFlood: 洪水流解析用の2次元平面流れシミュレーションソルバー。
Morpho2DH: 地すべりによる土石流の輸送や堆積過程を再現するソルバー。
Nays1D+: 1次元の河川シミュレーションソルバー。
Culvert Analysis Program (CAP): ボックスカルバート内の流れをシミュレーションするソルバー。
※ボックスカルバートとは、四角形の断面を持つ構造物で、主に道路や鉄道の下に設置される排水路や水路。コンクリートなどの材料でできており、水を効率的に流すために使われる。通常、道路や鉄道が河川や排水路を横断する際に、水の流れを確保するための通路として利用される。
ちなみに今回は、氾濫の様子をシミュレーションしたかったため、Nays2DFloodを使用した。
方法(簡単に)
こんな感じで使っています。
https://e.pcloud.link/publink/show?code=XZ0KOPZQbHN8yzi2EQpKFUVdX0tJm65TN2y
その他
ChatGPTなどAIを活用すると、使い方がわかるときがある。
(公式のチュートリアル等からかみ砕いて説明してくれるため)
困ったときの打開策となったページ集
Inflow point is zero
https://i-ric.org/forum/%E6%B5%81%E5%85%A5%E5%9C%B0%E7%82%B9%E3%81%AE%E4%BD%9C%E6%88%90/