脳を活かす好奇心 ~80歳クリエイターの動画作り~
父は80歳になりましたが、昨年の1月に、安楽死を望むほど生死の境を彷徨う辛い経験をしました。そのような背景もあり、今は父が安全な範囲内のことをする限り、私は止めないように心掛けています。
父は元から好奇心が強く、学習意欲も旺盛です。約2週間前に父に動画作りを勧め、作り方を教えました。天気が悪い日などにスマホを見て過ごすのではなく、外に出て写真を撮り、それをシェアする習慣を付けてもらいたかったからです。
動画作りを始めたことで、父は多くの人から「いいね」と褒められましたが、その反面、完璧なものを作らなければシェアできないというプレッシャーも感じるようになりました。その結果、父は作品をシェアすることが億劫になってしまいました。
やり始めたら完璧を目指す気質の父ですが、約1週間前から中国発の5日間の無料動画制作レッスンを受け始めました。「動画制作をお金に変える」というタイトルに惹かれたものの、1時間にも亘る高速な講義内容に圧倒され、情報量が多過ぎて付いていけなかったようです。
それを知った私は、「一方的なコミュニケーションでは、100%伝えたとしても、実際に伝わるのは20%程度がいいほうと言われている。受け手が行動に移すとなると、その2%しかないとも言われている。お父さんは既に行動に移しているのだから、後は自分の気になるところを学べばいいのよ」と慰めてあげました。
特に高齢者の場合、一度に大量の情報を詰め込むのではなく、ゆっくりと復習しながら学ぶことが大切です。しかし、父は遠隔勤務の私に迷惑を掛けたくないと思い、私に聞くよりもネット上の無料レッスンで学ぼうとしたのです。
八ヶ岳で親の介護と遠隔勤務の両立を図っている間に、元気に長生きするための脳の健康に関する情報に以前よりも興味を持つようになりました。
好奇心を持ち続けることは高齢者にとって、体にも脳にもいいことばかりです。最近読んだ「50歳から始めたい「心の掃除」」に書かれた斎藤茂太さんの言葉には非常に共感を覚えます。当時高齢者だった茂太さんの下記の言葉は、精神科医としての認識だけでなく、自らの実感も込められています。
先日目にしたある調査では、働く人の約4割が親の介護問題に直面した経験があるという結果が明らかになりました。日本の高齢化に関わる課題は、いずれ中国を含む各国も抱えることとなり、それらを洞察してビジネスの仕組み作りをすることが経済の発展にも繋がると確信しています。
私も、父の好奇心を尊重し、夜遅くまで学習して体調を崩さないように見守りながら、その動画作りを応援していきたく、高齢者向けに丁寧に教える先生がいれば、有料で参加させてもいいと思っています。言語の壁や使用するアプリの違いなど、様々な課題は予想されますが、父の学びをサポートするために、できる限りのことをしてあげたい今日この頃です。