「世界の絶景」 13. フロム鉄道とフィヨルドの旅
1. オスロからネーロイ・フィヨルドへ
この旅の目的は、ネーロイ・フィヨルド・クルーズと、フロム鉄道車窓の風景写真撮影であったが、オスロからグドバンケンへの途中でも、絶景とは言えものの美しい風景写真を撮ることができた。
(1) オスロ・フィヨルド周辺
ノルウェーといえば、フィヨルドが数多く存在することで知られているが、そもそも主都オスロもオスロ・フィヨルドの最奥につくられた街だ。
ソグネフィヨルドなどのノルウェー西海岸のフィヨルドほどの規模はないが、美しい海と陸に可愛らしい北欧住宅が見える景色は、一見の価値のある観光スポットだ。
午前中、市内観光を終えて、オスロ・フィヨルド周辺のレストランで昼食をとった。
レストランの窓は、まるで額縁に嵌込んだようにオスロ・フィヨルドの風景を見せていた。
(2)ゴル・スターヴ教会
ゴル・スターヴ教会は、1212年、ノルウェーのブスケルー県ハリンダル渓谷に位置するゴルに建てられたが、その後、ノルウェーの首都オスロ市ビグドイ半島のノルウェー文化史博物館に移築された。
スターヴとはノルウェー語で「支柱」を意味し、 外装も内装もすべて木造で、 腐食を防ぐため、屋根や外壁には黒い塗料が厚く塗られている。
教会の荷重を支える太い支柱(stav)が、そのまま建築技術の名前になっている。かつてはヨーロッパ北西部に多く存在したが、現在ではほとんどが石造りの近代的な教会に建替えられ、ノルウェー国内でも、わずかに28棟を残すのみとなっている。
その独特の建築工法と外観からスターヴ教会はノルウェーの観光資源の一つとなっている。
(3) ハルダンゲル氷河
ツアーバスが、ハルダンゲル地域に差し掛かった時、カメラストップしてくれた。
遠くにハルダンゲル氷河がみえた。
北ヨーロッパ最大の山岳高原であるハルダンゲル高原の北に位置するこの氷河は、ノルウェー本土で6番目に大きな氷河で、面積は約73平方キロメートル、最高標高点は1860メートルを誇る。
第二次世界大戦中に、この広大な氷河に目をつけたドイツ軍は、空港を建設しようとしたが、過酷な気候条件のため計画は実現しなかったという。
自然の美しさと歴史的背景が融合したこの場所は、冒険好きな旅行者にとって魅力的なスポットなのだろう。
2. ネーロイ・フィヨルド
ソグネ・フィヨルドの支流ネーロイ・フィヨルドクルーズはグドバンゲンから出発する。
このフィヨルドは、幅が250mと狭いため、変化にとんだ両岸の景観が手に取るように目を楽しませてくれた。
両岸の山は、木も生えていない絶壁と、その隙間には時々滝が現れて楽しませくれ、傾斜のなだらかな岸辺には小さな集落のカラフルな家々が彩をそえている。傾斜が緩やかな森には人の手が入り、畑や牧場になり農家の家も見えて、そんなところにどうして住めるのかと不思議に思った。
2時間10分、30キロのフィヨルドクルーズを楽しんで、船はアウルランフィヨルドの突き当たり、フロムに到着した。
3.フロム山岳鉄道
フロム鉄道は、海抜0mのフロムから、標高866mのミルダールまで、およそ20Kmの急斜面を這うようにして上っていく。約1時間の旅路でありながら、その眺めの素晴らしさから「世界で最も美しい鉄道の旅」とも称されている。
20年の歳月を費やして1944年に全線開通したこの鉄道は、単なる移動手段だけではなく、列車内からの景観を楽しむのも目的の一つで、毎年多くの観光客を楽しませている。
(1)車窓の風景
フロム駅をでると、箱庭のような景色が車窓に見えた。氷河、雪解けの水は川となり谷間の奥のフィヨルドに流れ込んでいく。牧歌的な風景だ。
(2)ショースの滝
眼下に広がる渓谷は畑と牧場、点在する農家と森の緑、向かい側の斜面には数条の瀧が見えた。
フロム鉄道の一つの見所となっているのは、ショースの滝。
列車はこの滝の見えるションズホッセン駅で停車した。およそ5分間のカメラタイムだ。
ここは道路も走っていない所で、このフロム鉄道でしかたどり着けないフォトスポットとしても有名だ。
前後をトンネルに挟まれた木造のテラスに降り、ショース滝の迫力ある景観と、その音の大きさに圧倒されながらシャッターを押し続けた。