<会派視察>福岡市インクルーシブ公園実証実験
(1)日時 2022年11月18日(金)
舞鶴公園三ノ丸広場視察 10時00分~11時00分
福岡市役所 13時00分~14時20分
(2)福岡市の概要
人口 1,632,087人 858,293世帯
令和4年度当初予算 一般会計 1兆410億1千万円
特別会計 7155億2360万5千円
県西部に位置する九州第一の都市。博多湾と脊振山地、三郡山地に囲まれた半月型の沖積平野上に位置する。陸(博多駅)、海(博多港)、空(福岡空港)の玄関口が都心から5km・10分圏内にあり、商業、文化、教育の都市機能も集積。天神駅周辺や中州は九州最大の繁華街。屋台はとくに有名で、その食文化や博多祇園山笠などで多くの観光客を集める。
(3)事業の概要
福岡市では、10年前の2011年から「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」プロジェクトをスタートさせた。
・おさる(ユニバーサルのさる)のベンチプロジェクト…ベンチ設置促進。
・認知症の人にもやさしいデザインの手引き作成。
・みんなにやさしい福岡市地下鉄…立ち座りしやすいシート・吊り手の増設と形状の変更・ドア開閉動作ランプ・液晶式車内案内表示器。
・公園整備でのユニバーサルデザイン。
出入り口のバリアフリー化と見通しの改善。
スロープと手すり・バリアフリートイレの整備。
健康遊具系施設。
車いすでお世話できる花壇。
・公園でも福岡市福祉のまちづくり条例や、国土交通省が定めている都市公園の移動円滑化指針に基づき、誰もが利用しやすい園路、トイレなどの整備を進めてきた。しかし、遊びの支援という視点では、ユニバーサルデザインの取組がなされていなかった。
ブランコは人気の遊具だが、体を支える力が弱い子は使えない。衛生上、猫のフン対策から柵がつけられているが車いすや歩行補助具を使っている子は入りにくい。
・バリアフリーからユニバーサルデザインと発展し、さらに「インクルーシブ」という概念が注目されるようになった。
・インクルーシブとは、「仲間外れにしない」「みんないっしょに」という意味。
・福岡市では、「インクルーシブな遊び場」を、障がいの有無などに関わらず、あらゆる子どもたちが、お互いに理解、支え合いながら、安心して、一緒に遊ぶことができる遊び場と捉えている。
・「みーんなの公園プロジェクト」のインクルーシブ公園の3つの軸の考え
誰もが利用できる・遊びが豊か・人と地域とゆるやかなつながりがある。
・福岡市内の公園の現状 1695か所
基幹公園…住区基幹公園…幼児公園(656)・街区公園(710)・近隣公園(75)・地区公園(10)
都市基幹公園…総合公園(9)・運動公園(6)
特殊公園:風致公園(13)・動植物公園(1)・歴史公園(3)・霊園(3)
大規模公園(広域公園):国営海の中道海浜公園(1)
都市緑地:緑道(208)
住区基幹公園(市民の生活に身近な小~中規模の公園)
所管 :市内7区の区役所
管理方法:委託業者による作業、公園愛護会によるボランティア活動も盛ん、管理人の常駐無し、問い合わせには区役所職員が対応。
・様々な公園の状況を踏まえ、インクルーシブな遊び場整備の候補地としては、管理者が常駐しており、駐車場やバリアフリートイレなどの施設の充実している総合公園、または運動公園の中から選ぶことを想定。
◆令和3年11月 舞鶴公園三ノ丸広場にて実証実験実施。
10日間、10時~17時
スタッフを常時6名配置し、利用者の安全確保を行いながらアンケートなどの調査実施。
理解促進を図るためPR活動やセミナーを実施。
*株式会社コトブキからの申し出での取組として遊具5基設置。
◎参加者数 2,434名
一般 大人1,035名・子ども1,162名
障がいを持つ子の保護者 80名・子ども57名
その他 100名
子どもの年齢 0~2歳23.5%・3~6歳44.7%・7~11歳30.8%・12歳以上1%
◎遊んでいた遊具
回転遊具(167人)・複合遊具(162人)・サポート付きブランコ(143人)
・ドーム型遊具(92人)・テーブル砂場(54人)
◎障がいを持ったお友だちも一緒に楽しめる遊び場をどう思いますか?
とても良い、よいと思う 99%
◎障がいを持ったお友だちや国籍の異なるお友だちと一緒に遊んだ経験は?
よくある(15%)・たまにある(36.3%)・今回が初めて(13.8%)
・全くない(34.8%)
◎体験者の声
・生まれて初めて自分でブランコをできてすごく喜んでいました。こういう公園があればまた来たいです。(障がいを持つ子の保護者)
・普通の公園よりも遊べる物が多くて楽しかった。(車いす利用の子)
・今日初めて会った女の子が「なぜ管をつけているの?」と質問してくれました。
自分とは違う子がいることを知るきっかけになったかな。(特別支援学校の先生)
令和3年 3月 第1回委員会の開催
令和4年 8月 第2回委員会開催
8月~11月 4か月間の実証実験実施。
整備指針(案)検討。障がい関係者へのヒヤリング
12月 第3回委員会。整備指針策定
令和5年 5月~12月 完成後、モニタリング・フィードバックを継続
◆第2回実証実験について
◎目的
1.インクルーシブな取組のPR
多くの人に体験してもらい、インクルーシブな遊具広場を知ってもらう!
2.遊具についての具体的な評価・検証
安全性・耐久性・利用者の年齢層など、長期の設置結果から評価・検証
3.遊具以外の公園施設も含めた課題の確認
トイレや駐車場など施設の使い勝手や、アクセスする園路等
4.整備後の維持管理も含めた課題の確認
管理者と連携して、施設の管理方法や利用者への対応について、実施しながら試行錯誤しよりよいあり方を検討
◎来場者数
平日:約146人/調査日8月26日(金)
土日:約436人/調査日8月28日(日)
◎アンケート調査
*会場(回答数:31人/8月22日時点)
・遊具広場の舗装
・日陰の重要性
・利用者間の交流
・テーブルやベンチなど保護者に配慮した施設
・自然的な空間の必要性(五感で感じる遊び)
*WEBアンケートの協力の呼びかけ(掲示板)
*障害のあるお子様の保護者を対象としたアンケート調査(回答数:164人)
委員より、障がいのあるお子様の保護者にお声かけいただき、WEBアンケートを実施。
・自然的な空間の必要性(五感で感じる遊び)
・遊具広場の舗装
・様々なペースの子が同時に仕えるように
・保護者に配慮した施設
・日陰の重要性
・パーソナルスペースの必要性
・利用者の交流
・利用案内や情報発信
・急病発生時の対応
◆今後の取組予定
◎公園利用者への調査
◎公園管理者等との意見交換
◆整備指針項目(案)について
1.現状と課題
①福岡市の公園の現状
②インクルーシブな遊具広場整備に向けた課題
③目指すべき方向性
2.整備
①「インクルーシブな遊具広場」の定義
②整備にあたっての重要な視点
③整備にあたっての基本的方針
④整備の流れ
3.遊具・関連施設
①遊具・関連施設の基本的な考え方
②主な遊具
③主な関連施設
4.運営管理
①管理運営の基本的な考え方
②維持管理
③安全管理
④運営管理
⑤情報発信
⑥改善
5.参考資料
①参考事例
②ヒヤリング結果
③用語
④関係法令等
◆調査検討方法について
①市や検討委員会における検討
②公園利用者などへの調査
・公園利用者へ幅広く調査…WEBアンケートなど
・幅広い調査では拾いにくい障がい当事者の声を調査…障がい児やそ の保護者を対象としたイベント、アンケートなど
・普段公園に来ない、来られない障がい当事者の声を調査…特別支援学校などへの紙アンケートなど
③公園管理者等との意見交換
・管理運営にあたって必要な視点の調査・共有…行政職員や指定管理者・造園業者等と意見交換会を開催
(4)所感
「インクルーシブな遊具広場」の整備に向けて、二回にわたる実証実験と利用者アンケートの実施によって、市民を巻き込みながらの検証が行われていることが分かりました。実際に公園が整備される段階では、より利用しやすく、より市民に愛され利用される公園になるものと期待されます。
利用者となる市民の声を丁寧に集めること、その取組を通して、「インクルーシブな遊具広場」設置の意義を広く周知していく過程が大事であるのだと感じました。
高槻における公園整備においても、市民の声を広く収集すること、とりわけ障がいがあるなど、これまで公園を利用したくても利用が叶わなかった子どもや周辺にいる大人の声を丁寧に拾い、対応していく取組を進めていきたいと考えました。
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