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記事を読んで思ったこと

本日の朝日新聞グローブの「ドゥテルテを慕った先に~フィリピン大統領選を前に」という、編集部鈴木暁子さんの記事が目に留まった。
私が市議会議員になった2019年の年末に、姉妹・友好都市であるフィリピン・マニラへの親善訪問に参加させていただいたこともあって、フィリピンは気になる国の一つになっている。
物乞いや犯罪、銃を持って警備する物々しさ、街の活気、そして人懐っこい国民性を短い滞在時間の中で体現した。
記事には風刺漫画家から学んだ言葉として、「人権を踏むにじる者は、人なつこい姿で現れる。それを許してはいけない」という言葉が目に留まった。歴代大統領らを取り上げ30年にわたり日刊紙に掲載されていた風刺漫画は、ドゥテルテ政権下の19年に、理由も説明されないまま突然終了したという。海外でも、日本の政治家の中にも、そういう人なつっこい姿をした人権を踏みにじる政治家はたくさん存在する。ホモソーシャルや、ミソジニー思想、差別主義者たちに慕われ、熱狂的に支持されている姿が目に浮かぶ。

フィリピンにおける選挙戦について「この選挙戦はフェイクニュースとの戦いだ」と選挙活動に参加する人が口々に言っているとし、「フィリピンを良くするには、信頼、誠実さ、個人の尊厳を大事にしたリーダーが必要だ」と研究所助教の言葉が掲載されている。これもまた、議員として選挙に関わっている私にとっては日本の選挙の現状と重なって見える。誠実であろうとすればするほど、そのフェイクニュースに巻き込まれてしまう。

アジア経済研究所上席主任調査研究員川中豪さんの言葉として「民主国家だけど運営の仕方が権威主義的という国が増えている。その最先端を行くのがフィリピンだ。」「民主主義は一つのやり方にすぎず、権威主義よりも良い結果が出る保証はない。でも、そのやり方にこそ価値がある」という言葉が紹介されている。「『民主化すれば目的を果たした』と思っていなかったか。民主国家ならば、何もしなくても安心して暮らしていられる。とんだ勘違いだ」とも。日本におけるかつての安倍政権一強も、大阪府内の維新一強の現状は、民主国家だけど恐ろしく権威主義的だと言える。

記事のまとめとして、「フィリピンにも日本にも、世界中の国にもそれぞれの課題がある。その「穴」を埋めるように、立場や意見の違う人が話し合い、合意点をさぐりながら生きていく。それが民主的であるということなんだろう。こうした手間をかけるのはかなり面倒くさい。でも、それを省いた先に行き着くのはどんな社会だろう」と記されている。

立場や意見の違う人が話し合い、合意点をさぐりながら共生することは、本当に面倒くさいし時間がかかる。誰も取り残さない社会をめざすには、回り道に見えるその方法でしか成しえないとも言える。
まずは、信頼、誠実さ、個人の尊厳を大事にした議員活動の積み重ねしかないのだと1期目最後の年に向けて改めて考えた。

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