「人前で話すことが選択肢として増えた」 司法書士の佐藤良基さん
人前で話すことに苦手意識を持つビジネスパーソンは少なくありません。
特に専門職の方々にとって、その壁は時としてキャリアの大きな障壁となることも。
本記事では、司法書士としてご活躍されている佐藤良基さん。元々は人前に立つのが苦手で、緊張で記憶が飛んでしまうこともしばしば。6ヶ月の話し方トレーニングをご受講いただきました。トレーニングの中でどのように変化していったのか、スピーチトレーナーの昆野が詳しくお話を伺いました。(以下、敬称略)
講師依頼は断っていた。スピーチトレーニングの受講を決意した理由
昆野: 佐藤さんは、どうしてカエカのトレーニングを受けようと思ったんですか?
佐藤:元々、人前で誰かに話をしたり、壇上に登って話しをするのがすごく苦手で、緊張して何を喋っていいかわからなかったんです。緊張して、見ている人たちが心配するほど汗をかいていました。
ただ司法書士という職業柄、講師の依頼があるんです。それを緊張するから断るというのも、そろそろ限界だと気づきました。どこかで克服しなくちゃいけないなと思ったんです。
もう一つ、友人である税理士の伯母敏子さんがカエカを受講していて、YouTubeで活躍されているのを見ました。私もカエカに通えば、ああいう風に話が上手になれるのかな、と思ったのもきっかけです。
受講生の顔すら見れなかったトレーニング初期
昆野:今までの課題感を抱えて挑んだ初回のトレーニングはいかがでしたか?
佐藤:初回トレーニング前に、他の受講生たちとオンラインで集まっていましたが、やっぱり緊張しましたね。もう、当時何を喋ったのかも覚えてないですし、他の受講生の顔を見れてなかったと思います。
昆野:オンラインとは、やはり違った緊張感がありますよね。6ヶ月のトレーニングを経て、緊張はしなくなりましたか?
佐藤:いまだに緊張はします!(笑)
「失敗が怖い」から「聴衆を楽しませたい」へ。話すときの気持ちの大きな変化
昆野:いまだに緊張するとおっしゃっていましたが、YouTubeにもある成果発表会では、受講生のお名前をお一人お一人を全員呼ぶくらい、余裕ができていた感じがしますね!
佐藤:そうなんです。あそこにアドリブを挟むというのは、前もって考えていました。これは、以前より余裕を持って話せるようになったからだと思います。
昆野:当初何を言っているかの認識もなかなか持てなかった状態から考えると、これはかなり大きな変化ですね。
佐藤:はい、本当に。今までは「何を話すか、緊張するだろうか、また汗をかくだろうか」「恥ずかしい思いをしたらどうしよう」って、いわゆるベクトルが内向きにしかなかったんですよ。
でも、カエカを受講して、意識を外向きにできている自分に気づいたんです。何を話したら楽しんでいただけるだろうか、何をお伝えしたら役に立って、明日からみんな頑張ってくれるだろうか。内向きから外向きで考えられるようになったこと、それが私の中で一番大きい変化でした。
昆野:すごく素敵ですね。その変化はどうやって起きたんでしょうか?
佐藤:これまでは、付け焼き刃で話し方を克服しようと思って、何度も何度もいろんなサービスに手をつけてきたんです。でも直らなかったんです。
だいたい、「大丈夫」「誰も自分のスピーチなんて気にしていない」みたいな精神論が強くて。頭ではわかってても、いざ壇上に立つと、すごい緊張するし、自己嫌悪になるんですよ。
一方で、カエカでは、話し方を体系的に学ぶじゃないですか。例えば「間とフィラー」とか「原稿の作り方」とか。パソコンでいう、OS的なものをインストールさせていただくみたいな。今は、学んだ通りのことを壇上で実践すれば大丈夫っていう、お墨付きをいただいたような感じです。
そうすると、緊張がゼロにはならないんですけど、質が変わりました。
以前の「失敗したらどうしよう」みたいな感じではなくて、今はいい緊張感で「相手にどういう風に伝えられるか」「こうすればいいんじゃないか」「アドリブ入れたら面白いんじゃないか」という、余裕ができましたね。
昆野:体系的に話し方を学んだことで「こう実践すれば大丈夫」という安心感から、余裕が出てきたという感じなんでしょうね。
具体的にこの場面でこうするといったようなことを、愚直に成功体験として積み上げてくださったから、自信を持って実践していただけているのだと思います。
佐藤:例えば車の運転とかでも、いきなり路上に出て何回も運転すれば上手くなるんじゃなくて、教習所に通って今日はこれからこれをやるよと、いろいろやるじゃないですか。ああやって一歩ずつ学ぶから、現場に出てちゃんと運転できるようになる。これは多分、何でも一緒なんだろうと思います。
カエカを受講する以前の私は、「とりあえずバーンって現場に飛び出して、やってみれば大丈夫だよ!」っていう行き当たりばったりばかりでした。それが私にはちょっと向いてなかったです。私には体系的に学べるカエカの方法が向いているんだと思います。
昆野: カエカを、話し方の教習所のように思ってくださっていたんですね。そんな風に言っていただけて、嬉しいです。
「間とフィラー」 話し方の基礎が変えた、聴衆の反応
昆野: 佐藤さんにとって、一番印象に残っているトレーニングは何かありますか?
佐藤:私の中ではやっぱり「間とフィラー」です。まず概念自体、初めて知りました。
実際「フィラー」というものを教わってから、いろんな人の話を聞いていても、その人のフィラーが気になってしまうようになりました(笑)。
あとは「間」に関しても、トレーニングの前後で私の中で劇的に変化した部分です。以前は、自分が話している時の少しの静寂も怖いと思っていました。2秒間を空けるっていうのを教わりますけど、2秒って実際にやってみると本当に長くて。
自分はこれぐらいで2秒かな、と思ってたのが、実際1秒とか1.6秒だったり。
今まで結構早口だって言われることもあったので、間が短かったことが原因だったのかなと気づけた感じです。客観的に指摘していただいたのがすごく良かったです。
実際にトレーニングの後、間とフィラーを研修で実践してみたんです。そしたら聞いていた方達から「佐藤さんは、あの、えーとか全然言わないですよね」「話が聞きやすい」と感想をいただきました。
カエカで徹底的に厳しく指導してもらったおかげです。
昆野:一つ一つの単元が、実際のスピーチに効果として現れていらっしゃるようで、嬉しいです。フィラー警察で、たくさん練習した甲斐がありましたね!
佐藤:はい。そのおかげで、とても進歩したと感じています。「どうやったら佐藤さんみたいにお話できるんですか」と聞かれることもありました。
昆野:聞き手からいい反応をもらえると、本当に嬉しいですよね。自分が意図したメッセージが聞き手に届けられた時の感動は、何にも変えられないですね。
佐藤:はい。もし上手くいかなかったとしても、「聞いている人が単に興味がないのか」「私が悪いのか」「相手が悪いのか」というように、客観的に分析できるようになりました。どうすれば大丈夫かという方法論をしっかり教わったので、その点での迷いがなくなりました。
汗まみれだった90分講義が快適に、 女子大での講義で実感した成長
昆野:先日、大学での講義があったとのことですが、その手応えや反応はいかがでしたか?
佐藤:はい。大妻女子大学で90分間お話しさせていただく機会がありました。実は過去にも同じ機会があり、それは2023年6月、まだカエカを受講する前でした。
前回は本当に緊張してしまって。女子大学で、学生全員が女子大生の中で、おじさん一人が話すという状況で...。自己紹介でアイスブレイクを取り入れようとしましたが、全く上手くいきませんでした。汗が止まらなくて、用意したパワーポイントを読むだけになってしまい、来てくださった学生さんには本当に申し訳ないことをしました。
ただ今回はカエカを受講した後だったので、劇的に違いました。一番の変化は、一人一人の顔を見ながら話せる余裕があったことです。去年は緊張して汗をかいてジャケットを5分で脱がないといけなかったのに対し、今年は90分間着たままでした。これが私の中で一番わかりやすい客観的な成長の証です。
昆野:話すことへの余裕みたいなものがあったのですかね。
佐藤: そうだと思います。しかも、今年はパソコンが繋がらないといったトラブルもあったのですが、その時も冷静に対処できました。
前回だったら焦ってしまったと思いますが、今回は余裕を持って対応できました。カエカで学んだことで、自分が準備してきた内容をお話しすれば大丈夫という基礎ができていたからだと思います。
「筋トレと同じ精神」受講後の自主的なスキル維持法
昆野:カエカの受講が終わったのが3月で、今回の大学講義が10月中旬ということは、約半年空いていたわけですね。
佐藤:はい。その間、スキルを維持するために努力しました。
筋トレと同じで、全く使わないと元に戻ってしまうと思ったので、なるべく人前で話す機会を作るようにしています。自分で勉強会を主催したり、動画を見返したり、千葉さんの本を読んだりして復習しています。同期の方とも定期的に会って、お互いの近況を報告し合っています。
昆野:話し方を一生物のスキルとして、使いながら洗練していってくださっていて、トレーナーとして本当に嬉しく思います!他の受講生とのつながりも深いですね。
佐藤:大人になるとコミュニティが職場に限られがちですが、カエカでは様々なバックグラウンドを持つ方々と出会えました。
私なんて、学生さんとも友人になれて驚きです。本当にいろんな職業の方がいらっしゃって、すごく刺激になります。伝えるスキルは全ての人に必要なので、普段出会わない素敵な方たちとの価値のある出会いでした。
「書く」から「話す」選択肢の獲得へ、広がるビジネスチャンス
昆野:カエカ受講前後で、見える景色が違ってきているようですね。
佐藤:全然違いますね。伝える方法は大きく分けて「話す」と「書く」の2つあると思います。私は司法書士という職業柄、ブログを書いたり本を出したりと、「書く」方は得意でした。でも「話す」方は苦手で、ずっと逃げてきました。
今では、両方使えるようになり、講師をやったり勉強会を開いたりという選択肢が増えました。今まで避けてきたものが選択肢として加わったのは、本当に大きな変化です。
昆野:お仕事における話し方トレーニングの効果として、他にも何か感じることはありますか?
佐藤:普段の仕事の中でも、効果を実感しています。司法書士は依頼者との面談が多いのですが、以前は初対面の方との会話でかなり緊張していました。でも、カエカで学んだことを活かせるようになり、落ち着いて話せるようになりました。これは信用力にも繋がりますし、お客様に「この人なら安心」と思っていただけるようになったと感じています。
昆野:個人で仕事を獲得していく必要がある司法書士の方は、話し方で信頼を獲得することも必要になってくるのですね。
佐藤:はい。実は司法書士の中にはコミュニケーションが上手ではない方も少なくありません。せっかくの相談でも、「この人に頼んで大丈夫かな」と不安に思われて、仕事を失注してしまうケースもあります。その不安をなくせるだけでも大きな価値があります。
昆野:確かに、コミュニケーションは関係を築く点で必要不可欠ですし、また職種のスキルや経験だけでなく、それを伝達したり使っていくツールとして「話し方」は大いに役に立ちますよね。
コンプレックスを武器に、今後の佐藤さんのビジョン
昆野:佐藤さんの今後のビジョンについてお聞かせください!
佐藤:以前は、人前で話すことが自分のコンプレックスで、選択肢を狭めていた部分がありました。
これからは講師や勉強会など、人前で話す機会をどんどん増やしていきたいです。もちろんスキルも磨き続けて、カエカの皆さんに「すごく成長したね」と言っていただけるよう、努力を続けていきたいと思います。
ズバリ!佐藤さんが考える、カエカを受講すべき人
昆野:最後に、この話し方トレーニングをお勧めするとしたら、どんな方にお勧めしたいですか?
佐藤:人前で話すことが苦手な方にぜひお勧めしたいです。
司法書士の中には、伝えたいことを上手く伝えられない方が少なくありません。私もそうでしたが、カエカに来て苦手意識がなくなりました。
また、司法書士は講師やセミナー講師の依頼も多いので、それを収益の柱にしたい方にもお勧めです。苦手でない方でも、さらにスキルを伸ばせる内容だと思います。
あとはスタートアップの方や起業家の方など、資金調達のピッチをする機会がある方にもお勧めですね。
昆野:たくさんの方におすすめいただけて嬉しいです。佐藤さん、素敵なお話をありがとうございました!