伝え方の学習は広報の武器の一つ。記事の読みやすさを考えるように、どんな話し方なら伝わりやすいか?を考えたい。
「人と情報をつなげて価値をつくる」ことに注力し、広報・マーケティング・新規事業開発・コミュニティ作り等、幅広い領域で活躍している日比谷尚武さん。講演活動も多く、普段から伝えることが身近にある彼が、いま伝え方トレーニングを受講した理由を聞きました。
日比谷さんTwitter:https://twitter.com/naotake_hibiya
ーー今回トレーニングを受けようと思ったきっかけについてお話いただけますか?
日比谷:私は仕事柄、登壇や講師をすることが多く、自分の言葉遣いや表現力を改善したいと思っていました。ただなかなか自分の話し方を振り返る機会はなく、いつかやりたいなくらいに思っていたんです。
しかし、コロナ禍で自宅にいる時間が増えたことや、ウェビナーが増えて自分が話しているところを動画で見返す機会が増え、改めてトレーニングを受けてみたいという気持ちになり、kaekaを受講しました。
どこを直すとどう良くなるのか、きちんと分解して鍛える体系的な学習で一つずつ学ぶことができた。
ーー実際にトレーニングを受講して印象に残っていることはありますか?
日比谷:要素をきれいに分解して、意識できるように教えてくれるという体系的なトレーニングが印象的でした。私はパーソナルトレーニングにも通っているのですが、kaekaの伝え方トレーニングの体系的な学習は、体を鍛えるトレーニングに似ている部分がありましたね。
例えば、闇雲に動かしているだけでは筋肉は鍛えられないですが、ここをこうして、ここを抑えて、この部分だけを動かすといったことを習うことで正しく筋肉を動かすことができますよね。それと同じように、話し方についても、今回は「間」に注力しましょう、今回は「高低」に取り組みましょう、といった形で一つずつ体系的にトレーニングで意識することで、徐々にできるようになっていきました。
千葉:体系的なトレーニングの効果を実感いただけて、すごく嬉しいです。
日比谷:あとは細かいトレーニングで言うと、ヨガマットに寝転んで腹式呼吸を練習したのはかなり印象的でした。人生で初めての経験でしたね。また、声の高低なども家で教科書を読んで一人で取り組むような形式だったら絶対取り組んでいないと思うんですが、一緒に取り組んでもらえるのがよかったです。
それだけではなく、自分の話している姿を録画してそれを見返すことも、一種強制力があったからこそ実行できたと思います。見返すことで自分の無意識の癖にも気付くことができますし。とはいえ、一人だとなかなか動画見返すタイミングもないので。
千葉:自分の動画見返すってすごく学びにはなるのでkaekaでもとても大切にしているんですが、なかなか自分から取り組もうという気持ちにはならないですよね。
日比谷:そうですね。話し方のトレーニングって継続することが本当に重要だと思っているんですが、kaekaで課題を出してもらうことによって、30分でも時間を作って取り組もう!っていう気持ちになるのは大きかったです。
私の場合は、トレーニングを受けている期間に何度か登壇の機会もあったんですが、習ったことを実践しようと思っていても最初のうちはなかなかうまくいかないこともありました。ただそれをトレーナーさんにすぐ相談して、また実践して、という繰り返しがすごくよかったですね。打席に立って悔しい思いをすることで、また直してよりスキルアップできると強く感じました。スポーツと一緒ですね。
千葉:実際にやってみることで、「わかるとできるは違う」ということを感じる方は多くいらっしゃいますね。日比谷さんの場合は、打席に立つ機会が多く、より強くその感覚を感じていただけたかもしれません。
講演の時は、スライドと自分の話をセットで伝わり方について考える。話の構成の組み立て方が変化し、丁寧に話せるようになった。
ーートレーニングを受けたことで、成果が出た部分や改善されたと感じられる部分はありますか?
日比谷:はい、聞き手への伝わり方を意識して話の要点を素早くまとめる力や構成を作る力が強化されました。それに伴って、スライドの作り方も変わりましたね。スライドに頼らず、自分の話に重きをおいて構成を考えるようになりました。
以前はスライドはスライドで単体で考えてしまっていたところがあったのですが、「こういう話し方をするから、こういうスライドを入れよう」と自分の話しやすさを中心に構成を組み立てられるようになったので、より伝わりやすい話し方を実践することができていると思います。
あとは、話を聞いている知り合いから「いつもよりゆっくり丁寧に話してるね」と言われることも増えました。私はもともと早口で詰め込むタイプだったので、この言葉を聞いた時は受講の成果を感じましたね。
話し方もコミュニケーションにおける重要な武器の一つ。話し方を工夫するのは、原稿に赤入れするのと同じ。
ーー日比谷さんは広報のお仕事のキャリアも長いと思いますが、広報にとっての伝え方の重要性についてはどうお考えですか?
日比谷:広報の仕事は、話したものが文字情報になって世の中に出ることが圧倒的に多いです。話し方より、後でテキストに起こした時にロジックが通っているかや見せられない情報が入っていないかどうかを気にしている人の方が多いと思います。
実は私にも、重要なのは情報の正確性だと思っている部分がありました。しかし今回トレーニングを受けてみて、話し方に注力している人とそうでない人を比べてみると、聞き手に与える印象は段違いだと気づきました。
どんな原稿だったら読みやすいか伝わりやすいかなどを考える文字媒体と同じように、どんな話し方をしていたら相手にとって伝わりやすいかを考える。本来だったら、広報担当が赤入れしまくるべきですが、なかなかそれが行われていません。話し方の学習が浸透していないこともあり、これまで目を瞑られてきた領域だと感じています。
だからこそ、kaekaのような伝え方トレーニングが広く浸透することで、これまで伝え下手で直接伝えることを苦手としてきた人々の可能性が広がったり、よりわかりやすく伝えることができる人が増えていったりするのではないかと思います。
あと一つ、これからは動画の時代になると思います。YouTube、ウェビナー、ショート動画など、誰もが簡単に動画で発信できる時代になりました。だからこそ誰もが自分で話すことできちんと伝えられるようにならなければいけない時代になると思います。
文字メディアの時代にきちんと書いて伝えられる人や、面白く伝えられるブロガーなどの人気が出たのと同じように、これからはビジネスパーソンも自分の言葉で話したり動画で伝えられないと差がつく時代になっていくと思いますね。
千葉:話し方はどうしても時間と共に流れてしまうという性質上、振り返りをしにくいという特徴がこれまでネックになっていました。ただこれからはウェビナーにしてもYouTubeにしてもストックされていく時代になるので、話し方の学習の重要性に気づく人も増えてくるのではないでしょうか。
ーーそれでは最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします!
日比谷:今、私は広報パーソンが独立して生きていくための支援などもやっていますが、その先に目指しているのは、彼らが独立して様々なところのコミュニケーションの支援ができるようになることです。
その中で、広報パーソンが持つべき武器の一つとして、伝えるための話す力を鍛える、という世界があることを知ってもらいたいです。そして、必要な人に紹介できるカードとして、持っておいてもらいたいなと思いますね。