タチカワクルセイド バトルレポート #03
惑星タチカワ。
『渾沌の嵐』吹きすさぶこの地では、様々な物語が生まれる。
それは華々しき英雄譚か、それとも顔をしかめ耳塞ぎたくなる凄惨な悲劇か…。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「いよいよ試運転ですね、マスター!私は興奮が抑えられませんよ!」
揺れる『ケイオスライノ』の車内で、『サージェンアコライト』は、主人である『ファビウス・ヴァイル』に言った。
「折角”試作機”が完成したのに、長引く渾沌の嵐のせいで中々試運転できませんでしたからね。待たされた分のデータは取りたい所です。しかも相手は帝国防衛軍。これほど良い相手はいませんね。」
興奮し続ける『サージェンアコライト』。
間もなく、『ケイオスライノ』が”試作機”の横に静かに停車した。
「到着シマシタ。マスター」
「運転ご苦労。では、試運転を始めるとしよう。」
『サージェンアコライト』が降車し、”試作機”に興奮剤を投与する。
今まで沈黙していた”試作機”こと『ロード・ディスコーダント』の目が怪しく輝きだし、天を裂く咆哮が辺りに轟いた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
陣営】ケイオススペースマリーン VS アストラ・ミリタルム
【規模】50PL戦
【ミッション】補給物資集積所(4箇所の目標を巡り争う)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ケイオスライノ』の車窓から『サージェンアコライト』は顔を出し、『ロード・ディスコーダント』の方を見た。
「敵の帝国防衛軍には戦車が2台…、いや、森の陰にもう1台か…。試作機は上手くやってくれますかね…。」
『ファビウス・ヴァイル』は一瞥もせず答えた。
「それを調べるのも今回の目的だ。」
程なく、帝国防衛軍の主力戦車『レマンラス』の砲撃音が轟いた。
『ケイオスライノ』が激しく揺れ、警告音が鳴り響く。
「マスター。次の砲撃で壊れますよ、これ。」
「流石帝国の機械だな。」
その時、車外で大きな爆発音が轟いた。
『レマンラス』の主砲、「デモリッシャーキャノン」の放った砲弾の雨が『ロード・ディスコーダント』に降り注ぎ、大きな爆音と共にその機体と期待を打ち砕いた。
「あぁーー!!折角の試作機が!!何てことをしてくれたんだー!!これでは貴重なデータが取れないー!!!」
慌てふためき、『ケイオスライノ』の壁をドンドンと叩く『サージェンアコライト』。
そんな彼を横目に大きくため息をつく『ファビウス・ヴァイル』。
「もっと改良が必要だというデータが取れた。そう思おう。」
戦車の砲撃と共に前進してくる帝国防衛軍。
中央に潜んでいた『マリーン』の1隊が前進、戦場中央の廃墟の陰に歩みを進める。
時を同じく『ケイオスライノ』から降車した『ファビウス・ヴァイル』と『サージェンアコライト』、そして『ポゼッスド』の1隊。
「前回の帝国技術局との一戦では恥を晒したな。今回はチャンスをやる。」
「ハイ、マスター。必ズヤ偽リノ皇帝ニ死ヲ。」
『ポゼッスド』達は自身の改造手術が終わると、一直線に飛び出した。目指すは眼前の帝国防衛軍の兵士、そしてその背後の戦車だ。
「偽リノ皇帝ニ死ヲ!偽リノ皇帝ニ死ヲ!!偽リノ皇帝ニ死ヲォォ!!!」
『ポゼッスド』は敵の『インファントリースカッド』に突撃をしかけ、当たるを幸いに、その禍々しく変化した腕を触手を振り回した。
瞬く間に『インファントリースカッド』10人は切り裂かれ、命だったものが辺りに転がる。
「偽リノ皇帝ニ死ヲ!」
胸に刻まれたコーンの烙印が怪しく光り、みなぎる力と共に、『ポゼッスド』は背後の戦車に襲い掛かったが、帝国防衛軍の戦車の装甲をなかなか抜くことはできなかった。
「オノレ、次コソハ…!」
その時、廃墟の陰から現れた『オグリン』の小隊。不意を突かれた『ポゼッスド』は瞬く間に打ちのめされる。
戦場中央に移動した『マリーン』の1隊も、『マンティコア』のミサイルにより壊滅する。
「戦局は圧倒的に不利だな。伏兵を出せ。」
『ファビウス・ヴァイル』の合図により、ワープ空間にいた『ターミネーター』と『オブリタレイター』2体が姿を現す。
『ターミネーター』は『レマンラス』に、『オブリタレイター』は『インファントリースカッド』と『マンティコア』それぞれに射撃を行うも、『インファントリースカッド』を数人倒すのみに終わる。
『ターミネーター』は続く突撃を失敗。
「コ、コンナハズデハ…。」
隊に動揺が広がる。
『オブリタレイター』は共に突撃を慣行。
『インファントリースカッド』をまたしても数人打ち倒すが、指揮官である『コミッサー』への攻撃を防がれる。
怯む渾沌の軍勢に対し、じりじりと距離を詰める帝国防衛軍。
至近距離で放たれる戦車の砲撃に『オブリタレイター』が1体倒れ、『ターミネーター』も大きく数を減らす。
残り1体になった『ターミネーター』を『インファントリースカッド』が取り囲む。襲い来る数の暴力に姿勢を崩した『ターミネーター』に容赦なく武器が振るい降ろされ、『ターミネーター』はついに動かなくなった。
「潮時だ、引くぞ。」
「悔しいです、マスター。次はこの雪辱を晴らしましょう。」
ワープ装置を起動し戦場から退去した『ファビウス・ヴァイル』と『サージェンアコライト』。
戦場には帝国防衛軍の歓声が響き渡った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
渾沌の嵐が吹きすさぶ惑星タチカワ。
次にその物語を紡ぐのは……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【結果】敗北 1補給ポイント獲得
【戦闘不能判定】ターミネーター、ポゼッスド:恥辱の烙印を負う。
【成長】ポゼッスドは最高勲章を獲得、思惑を達成6経験点、その他の各ユニットは1経験点を獲得
【戦いの栄誉】ポゼッスドは実戦経験者に昇格し、戦闘特性『俊足』を獲得した。