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呪われた暴君と、復讐をもう一度 第3話【創作大賞2024漫画原作部門応募作】

【第3話】

ソフィア【神に愛されし豊かな国、リンドール王国】
<緑が豊かな地に聳え立つ豪華な宮殿>
 
ソフィア【大聖女に戴冠された者は、その冠が光り輝き、この国の正式な王になれると言われている】
<大聖女にかしずく王の姿>
 
ソフィア【しかし悪政が続き、ここ100年近く神に認められし正式な王は現れていない】
<ダリル王が玉座に座り高笑いしている>
 
ソフィア【そして三年前、リンドール城に単身乗り込み】
【前ダリル王を打ち取り、王の座を奪った】
<3年前、ダリル王を討ち取った時の場面。ダリル王が崩れ落ち、剣を持ったブラッドリー>
 
ソフィア【美しくも残虐な王、ルイ・ブラッドリー…!】
<返り血を浴びて、冷徹な顔の三年前のブラッドリー>
 

ソフィア【でも……】
 
 
回想
ブラッドリー「私は、こんなところで死ぬ訳には…」
<1話のブラッドリーが刺されて死ぬシーン>
 
ソフィア【死ぬ間際、噂されている暴君の姿とは違った】
<ブラッドリーの凜とした横顔>
 
ソフィア【彼も、カレンの悪事に利用されただけだった……!】
 
 
呪われた暴君と、復讐をもう一度

 第3話
 
 
◆場面転換:リンドール城内
 
 ソフィア【ここはリンドール城……】
<赤い絨毯が敷かれ、ステンドグラスやシャンデリアがある城の中>
 
 
<1話回想>
牢の中で何日も痛めつけられたソフィアの姿
 
ソフィア【……大丈夫。今はあの時と違う…】
<1話にて牢で拷問された時を思い出して、恐ろしくうつむくソフィア>
 
<ソフィアの前を歩くブラッドリーの後ろ姿>
ソフィア【それにしても…城内のどこに行くつもりかしら】
 
ブラッドリー「入れ」
<部屋の扉を開け、ソフィアを部屋の中へ招き入れるブラッドリー>
 
ソフィア【広い部屋……ここは……?】
<アンティーク調の家具やドレッサー、ベッドが置いてある立派な部屋。
訝しがるソフィア>
 
ブラッドリー「漆黒の聖女、ソフィア・ディアナよ」
 
ブラッドリー「そなたを私の客人として、このリンドール城にてもてなそう」
<ソフィアの目の前に立ち、こめかみを指で押さえながら、クールなブラッドリーの顔のアップ>
 
ソフィア「!」
<驚くソフィア>
 
ブラッドリー「ただし」
<ソフィアに歩み寄るブラッドリーの足のアップ>
 
ブラッドリー「……一旦そなたの話に乗ってやるだけだ」
<ソフィアを壁ドンし、キスする至近距離で見つめる>
 
ソフィア「えっ……?」
<驚いたソフィアの顔>
 
ブラッドリー「そなたは先ほど、呪いはかけた術師にしか解けないと言ったが」
 
ブラッドリー「肝心なことは知らぬようだな」
<ソフィアから見た至近距離、目を細めたブラッドリーの冷たい顔>
 
ブラッドリー「……呪いをかけた術師が死ねば、呪いは解ける」
<「死ねば」に強調点。片手でソフィアの首や喉を掴み、死を示唆する>
 
ソフィア「!」
ソフィア【だから、カレンから呪いをかけた犯人だと吹き込まれた私を探し、殺そうとしてたのね】
<知らなかったため、ハッと驚くソフィア>
 
ブラッドリー「そなたが呪いをかけた張本人ならば…そなたを処刑すれば良い」
<壁ドンしているブラッドリーの斜め後ろからの姿、壁際に追い詰められ見上げているソフィア>
 
ブラッドリー「しかし、そなたが本当に『漆黒の聖女』ならば……」
<厳しい視線のブラッドリーが、ソフィアの喉に添えていた親指を離す>
 
ソフィア【ただの愚かな暴君ではないようね…】
<動揺したソフィアの心臓が緊張で跳ねるが、あくまで動揺は見せない>
 
ソフィア【だからこそ、呪いを解ける力が『覚醒』しなければ、容赦はしないはず……!】
 
ソフィア「分かったわ、獅子王ルイ・ブラッドリー」
<小さく微笑み、余裕な感じで>
 
ソフィア「私も家族と自分を守るためにあなたの呪いを解きたい。お互いの利害は一致してるものね」
<真っ直ぐにブラッドリーを見据える>
 
ブラッドリー「ふっ、言うではないか」
<目を細めるブラッドリー>
 
ブラッドリー「だが、私はあまり気が長い方ではない。……肝に銘じておけ」
<ブラッドリー紅い瞳のアップ>
 
回想シーン
カレン「私が王にかけたのは、短命の呪い」
 
ソフィア【王はカレンに短命の呪いをかけられているから、悠長に待っていられない】
 
ソフィア「……随分、焦っているご様子ですわね」
<じっとブラッドリーを見つめるソフィア。怪訝そうなブラッドリー>
 
ソフィア「私の力を、そんなに求めているのかしら?」
<胸に手を当て、優雅に問いかける。あくまで恐れていないよう気丈に振る舞う>
 
ブラッドリー「…減らず口が。そなたのような聖女は初めてだ」
<広角を上げ、面白そうに笑うブラッドリー>
 
ブラッドリー「城内では自由にして良い」
<ブラッドリーがソフィアの耳元で囁く>

ブラッドリー「あとで私の部屋へ来い」
 
ソフィア「……!」
<驚いてブラッドリーと目を合わせるソフィア>
 
<口元だけで笑い、部屋を出ていくブラッドリー>
 
 
◆場面転換 ソフィアの部屋の外、城内廊下
 
カレン「本気ですかブラッドリー様! あの者に部屋を与えるなど……」
<部屋の外で、嫌そうなカレンが出てきたブラッドリーに抗議する>
 
ブラッドリー「表向きは客人として扱う」
カレン「あんな下賤な女の言葉、信じる必要ないですわ!」
<クールなブラッドリーに必死に訴えるヘレン>
 
ブラッドリー「……私に意見する気か?カレン」
<冷たい目線でヘレンを睨みつけるブラッドリー。顔の上半分に影>
 
カレン「も…申し訳ございません…」
<ハッと顔を青ざめさせ、慌てて頭を下げるカレン>
 
ブラッドリー「サンチェス国との戦闘で負傷者が多数出た。早急に治癒にあたれ」
カレン「――かしこまりました」
<身を翻し、歩き出すブラッドリー。礼をしたまま同意するヘレン>
 
カレン「…ソフィア・ディアナ…!」
<奥歯を噛み締め拳を握り、頭を下げたまま怒り顔のヘレン>
 
 
◆場面変換:リンドール城、ソフィアの部屋
 
カレン「ローラ! どこにいるの!?」
<荒々しく扉を開けて自室へ入ってくるヘレン>
 
ローラ「こちらにおります。カレン様」
<赤い髪にメガネのメイド、ローラが登場>
 
カレン「あなた、今日からソフィア・ディアナ付のメイドになりなさい」
<イライラしながら命じるヘレン>
 
カレン「そして、あの女の行動を逐一私に報告するの!」
<机を叩きながら叫ぶカレン>

ローラ「かしこまりました」
<頷くローラ>
 
カレン「不吉な黒い光を使う、薄気味悪い女よ……! ブラッドリー様の側に寄るなんて許せない…!」
<ブチギレた顔のヘレン>
 
ローラ「…では、早急に排除いたしましょう」
<胸に手を当て、顔の上半分が影がかかっているローラ>
 
カレン「ふふ、任せたわよ、ローラ」
<信頼していると薄ら笑うカレン>
 
ローラ「はい。……大聖女カレン・ベネット様の仰せのままに」
<スカートの裾を摘み、頭を下げるローラ>
 
 
◆場面転換:リンドール城、園庭
 
 
<ブラッドリーが回廊を歩いている>
 
回想
25コマ目
ソフィア「私の力を、そんなに求めているのかしら?」
 
ブラッドリー【……生意気な女だ。だが】
<苦々しそうなブラッドリーの横顔>
 
ブラッドリー【呪いをかけたのがあの女でないのなら、『漆黒の聖女』の力が必要なのも、事実だ】
<玉座の間に来たブラッドリーが足を止める>
 
<玉座の間に掲げられている、聖女が王に戴冠をする絵画を見上げる。>
※絵画の「ナポレオンの戴冠式」のような構図。
真っ白な修道女の服を着た聖女が、跪く王に王冠を載せている。
 
ブラッドリー【この命は、戴冠式まで持つのだろうか…?】
<目を細めて、絵画を見つめながら過去を思い出すブラッドリー>
 
 
◆場面転換:ブラッドリーの回想
 
兄『ルイ』
 
兄『ルイ、お前は賢いな。自慢の弟だ』
<幼いブラッドリーが見上げている視界からの、満面の笑みの兄>
 
兄『………ルイ、逃げろ。お前だけは生き延びるんだ…っ』
ブラッドリー『嫌だ、兄上、兄上―――っ!』
<15歳ぐらいの少年ブラッドリーが泣きながら兄にすがっている。
 
兄『我がブラッドリー家は…再び…必ず……』
<血を吐きながらボロボロの兄の死ぬ間際の呟き>
 
 
◆場面転換 リンドール城
 
ブラッドリー「……っ!」
<呪いのせいでこめかみが痛み、片目を閉じ、現実に戻るブラッドリー>
 
ブラッドリー【私には、時間がない……】
<唇を噛み締めるブラッドリー>
 
モブ兵「ブラッドリー様、軍議の時間です」
ブラッドリー「……ああ、今行く」
<声をかけられ、真顔に戻り身を翻すブラッドリー>
 
 
【第3話 完】

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