呪われた暴君と、復讐をもう一度 第2話【創作大賞2024漫画原作部門応募作】
【第2話】
ソフィア【すべて夢……だったの……?】
<朝、窓の外から朝日を浴びながらベッドの上で呆然とするソフィア>
【いや……】
・1話のブラッドリーを刺すシーン
・ソフィアがカレンに首を絞められているコマ
ソフィア【夢なはずがない……!】
ミリア「お姉ちゃんー?おはよう!」
母親「起きたのね、ソフィア」
<笑顔のミリア、穏やかな母親の姿>
ソフィア「お母さん、ミリア!」
【二人が、生きてる……!】
<二人を見て、信じられないものを見たようにハッとするソフィア>
ソフィア【良かった……!】
ミリア「なにお姉ちゃん、変なのー!」
<妹を抱きしめ、涙目になるソフィア。よくわからず笑っているミリア>
ソフィア【どうしてかはわからないけれど、私は過去に戻れたんだ】
<テーブルに置かれている果物カゴや壁のカレンダーを見渡す>
ソフィア【今日はブラッドリー王がこの家に来て、私を攫っていく日だわ】
<兵を引き連れてくるブラッドリーの回想>
ソフィア【運命を変えるには】
<決意を決めたソフィアの顔>
【私から……!】
時間経過ゴマ
母「ソフィア、どこへいくの?」
<玄関のドアを開けるソフィア。食器を拭いている母、不思議そうな顔の妹>
ソフィア「リンドール城へ……!」
<振り返り、外の光に照らされ綺麗なワンピースを着て身なりを整えたソフィア>
呪われた暴君と、復讐をもう一度
第2話
ソフィア【ブラッドリー王は、短命の呪いにかかっていて、】
<神妙な顔のブラッドリーの横顔>
ソフィア【それをかけたのは「漆黒の聖女」の私だと思い込んでる】
ソフィア【王に呪いをかけた犯人、カレンからの入れ知恵だ……!】
<玉座に座るブラッドリーの横で、耳打ちするカレン>
回想
カレン「彼が私を心底愛したところで、呪いを解除しようと思っていたのに……!
カレン「力が覚醒した「漆黒の聖女」は、誰がかけたどんな呪いも解くことができるんですってね? 私の計画には、邪魔な存在だった」
ソフィア【もう一度やり直すことができるのなら】
ソフィア【もうあの女の好き勝手にはさせない……!】
<凶悪な笑みを浮かべるカレンの顔>
【罪を暴き、悪女に然るべき報いをーー】
<下唇を噛み、悔しそうなソフィア>
◆場面転換:リンドール城近くの城下町
リンドール城の外観。そびえ立つ塔やアーチ型の建物で荘厳。
聖女「お…お許しください!」
<城下町の端で、兵を大勢引き連れたブラッドリーが悠然と立っている>
兵「陛下、どうしましょうか?」
ブラッドリー「疑わしき者はすべて連れて行け」
兵「はっ!」
<兵に冷たく指示するブラッドリー>
聖女「わ、私は、怪我人の治療をしていただけで…!」
<兵に腕を掴まれて抵抗する、白い修道女の格好をした聖女>
ブラッドリー「では…『漆黒の聖女』の居場所を知っているか?」
<腕を組みながら淡々と尋ねるブラッドリー>
聖女「漆黒の聖女? 私は知らな…痛っ!」
<訝しげに答えるが、兵に強く腕をねじりあげられ、痛いと訴える聖女>
ソフィア「お待ちください!」
<聖女を助けるため、兵とブラッドリーの前に立ちはだかるソフィア>
ブラッドリー「………何者だ」
<金髪を風に靡かせ、ソフィアを正面から見つめるブラッドリー。大ゴマでカッコよく>
カレン「王の前に立つなど、身の程知らずな女ね…!」
<翡翠の杖を持ち、顔をしかめるカレン>
ソフィア【カレン……!この世で一番憎い人間が、平然と生きている…!】
<胸の前で拳を握り、怒りに震えるソフィア>
<落ち着くように、息を吸うソフィア>
<恐れているのを解らせないように、ブラッドリーの前で気高く微笑むソフィア>
ソフィア「怪我してるわ」
聖女「えっ…?」
<兵のせいで怪我をして赤くなった聖女の腕を優しく触るソフィア>
<黒い光がソフィアから放たれ、聖女の腕を取り巻き傷を治す>
ブラッドリー「!」
<驚いて赤い目を見開くブラッドリー>
カレン「!?」
<ハッとして口を開け驚くカレン>
カレン「黒い光……?まさか……」
ソフィア「もう大丈夫ですよ」
聖女「あ、ありがとうございます……!」
<優しく微笑むソフィア、戸惑いながら礼を言う聖女>
ソフィア「はじめまして、ブラッドリー王。『漆黒の聖女』のソフィア・ディアナと申します」
<「はじめまして」は強調点つき。姿勢を正し、優雅に自己紹介をするソフィア>
ソフィア「私のことをお探しだったのでしょう?」
<凛としたソフィアの顔のアップ>
ブラッドリー「……ほう、探す手間が省けたな」
<小さく口角を上げるブラッドリー>
ソフィア「手当たり次第聖女を捕らえるなんて、何やらとても焦っているご様子…」
ソフィア「『無敗の獅子王』がこのような暴挙、聞いて呆れますね」
ブラッドリー「!」
<ソフィアの言葉に、驚くブラッドリーの赤い目のアップ>
カレン「なんですって!?」
カレン「王に対してその口の聞き方、無礼者が!」
ブラッドリー「………」
<ソフィアに怒るカレンと、無言のブラッドリー>
<ブラッドリーが鞘から剣を抜き、炎をまとった剣先をソフィアの首筋に当てる>
ブラッドリー「貴様……死にたいようだな?」
<静かに怒るブラッドリーが剣を構えたままソフィアを睨んでいる>
<強い風が吹き、森の木々がざわめく。ブラッドリーとソフィアが正面向いて対峙している>
<静かに汗をかくソフィア。剣先を当てられたソフィアの首筋から赤い血が一筋垂れる>
ソフィア「『漆黒の聖女は、誰がかけた、どんな呪いも解くことができる』」
<ソフィアの口元と、過去のソフィア母の口元が映る。過去への回想に繋がる>
◆ソフィアの家【数年前、ソフィアが幼い頃の回想】
ソフィア「へえ、すごい!」
ソフィア「じゃあ私も、大きくなったらどんな呪いも解けるのかなぁ?」
<母の膝に乗り、本を読んでもらいながら質問する幼いソフィア(5、6歳ぐらい)>
母「呪いを解けるようになるには、何か条件がいるみたいなの」
<母の困ったような笑顔>
ソフィア「そうなんだぁ…」
<残念そうなソフィアの顔>
母「でもソフィア、あなたなら、もしかしたらーー」
<自分の手のひらの周りに黒い光が浮かんでいる幼いソフィア>
◆城下町【昼】
ソフィア【お母さん、私は必ずその力を手に入れる】
<黒い光を纏ったソフィアがブラッドリーにつけられた自分の首の傷を撫でると、たちまち血が止まり治ってしまう>
ブラッドリー「ほう……?」
<片眉をあげるブラッドリー>
ソフィア「あなたに呪いをかけたのは、私ではないわ」
<凛としたソフィアの顔>
ソフィア「呪いは原則、かけた術師にしか解けない」
ソフィア「でも漆黒の聖女は、『誰のかけたどんな呪いも解く』ことができる…!」
<言い伝えの、漆黒の聖女の神々しいシルエット>
カレン「……!」
<忌々しそうに唇を噛むカレン>
ソフィア【カレンは、その言い伝えを知っていた】
<頬に汗をかくソフィアの横顔>
ソフィア【だから、王にかけた呪いを解かれないよう、私の家族ごと冤罪で殺したんだ…!】
<母とミリアが磔で焼かれる回想>
ブラッドリー「小賢しい」
ブラッドリー「口ではなんとでも言える!」
<再び炎をまとった剣を構え、ソフィアを斬りつけるブラッドリー>
<ソフィアの周りに黒い光が浮かび上がり、防壁のようにブラッドリーの攻撃からソフィアを守る>
ブラッドリー「!」
<驚くブラッドリー>
ソフィア「私を処刑するのか」
<黒い光をまとった、風格のあるソフィアの姿>
ソフィア「それとも、私があなたの呪いを解くか」
<胸に手を当てる、ソフィアのアップ>
ソフィア「お選びください、ルイ・ブラッドリー王」
ソフィア【私が王の呪いを解き、必ずヘレンの目論見を暴く…!】
<覚悟を決めた強い瞳のソフィア。周りには黒い光が浮かんでいる>
ソフィア【もう二度と、家族をあんな目には合わせない……!】
<笑顔の母とミリア>
カレン「ブラッドリー様!」
カレン「こんな者、不敬罪で処刑してしまいましょう…!」
<杖を持ったカレンがヒステリックにソフィアを指差す>
ソフィア「選ぶのは、ブラッドリー王です」
<ピシャリ、と凛とヘレンに言い返すソフィア>
カレン「……っ!!」
<悔しそうに奥歯を噛み締めるカレン>
ソフィア【大聖女カレン、あなたには都合の悪い話でしょうね】
ブラッドリー「……」
<無表情でソフィアを見つめる顔>
ブラッドリー「……面白い」
<たっぷりと溜め、唇を吊り上げて、ニヤリと笑う>
ソフィア「!?」
<ブラッドリーがソフィアの腰を力強く引き寄せる>
ブラッドリー「そなたの言うその漆黒の聖女の力とやらで、私の呪いが解けなかった場合は、どうするつもりだ?」
<黒い光をまとうソフィアと、不敵な笑みのブラッドリーが見つめ合う>
ソフィア「私のことは好きにしていただいてかまいません」
ソフィア「その代わり、私の家族には一切手を出さないでください」
<上目遣いで凛と言い返すソフィア。ブラッドリーからの視点>
ブラッドリー「ふん……」
<キスしそうな至近距離まで近づき、目を見開いたブラッドリーがソフィアに囁く>
ブラッドリー「……いいだろう。ついてこい、ソフィア・ディアナよ」
<ブラッドリーの口元アップ>
ブラッドリー「命が惜しければ一日でも早く、漆黒の聖女としてしかるべき働きをすることだ」
<ソフィアからの、至近距離のブラッドリーのニヤリ顔>
ソフィア【運命が、変わった】
ソフィア【今回は家族も、あなたも救ってみせる】
<踵を返したブラッドリーの後ろ姿、隣に立つカレンの忌々しそうな顔>
ソフィア【絶対に……!】
<見上げたソフィアの決意を込めた表情>
【第二話完】
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