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怖がりっ子が子乗せ自転車に乗ってくれるまで

私はずっと、徒歩15分かつ坂道ありな保育園への道を、ベビーカーを押して歩いていた。それはそれは大変だった。私が産後太りから解き放たれたのは、あの坂道とどんどん重くなっていくベビーカーに乗ってるだれかさんのお陰だと思う。けれど去年の冬に一念発起して自転車を練習し、念願の子乗せ自転車を購入。

そこで一番の問題は、娘みーちゃん(そのころ3歳)にいかにして自転車に乗ってもらうか。
みーちゃんは警戒心が強い子だ。新しいものには近づこうとしない。
自転車なんか言わずもがなだ。

そんな子がどうやって自転車に乗ってくれるようになったか。


自転車の存在に慣れてもらう

警戒心あらわなみーちゃんに、私は「みーちゃんは乗らなくていいよ」と言った。
「これはおかあさんが乗る用だからね」
そうしてまずは日常生活に自転車があることに慣れてもらった。
「自転車でひょいと行って買ってくるね!」
などと言って夜に買い物に行ったりして、自転車を楽しんでるところを見せた。

さらには自転車に雨用カバー(晴れの日にオープンにできるやつ)をネット注文。こども用シートを個室ぽくした。なんとなく囲われてて安全ぽく思ってくれないかな、と期待した。

お友達からのひとこと

みーちゃんが自転車に興味を持ってくれた一番の理由は、保育園のお友達なんだと思う。
3歳で保育園の送迎にベビーカーで来てるのはかなりレアに見えるらしい。
「なんでベビーカーにのってるの?」
と、お友達から聞かれていたのだ。そして保育園には子乗せ自転車はたくさんあって、友達が乗って帰るとこをみーちゃんは見ていた。
そうしてなんとなく「自転車のるとお姉さんぽい」という感覚ができていった。

はじめて自転車に乗った!そして挫折…

そんなある日、みーちゃんが「自転車のってみたい」と自分から言ってきた。
(よっしゃー!)
心の中でガッツポーズをする私。平静を装って「ふーんじゃあ乗ってみようか?」とみーちゃんをこども用シートに乗せた。

最初だからと、自転車に極力乗らず、手押しで行くことにした。
ところがみーちゃん、ちょっと自転車がぐらついただけでも動揺する。
凸凹の道や、カーブを曲がるとき、自転車はどうしてもぐらつく。でもベビーカーはぐらつかなかったのだから、みーちゃんには未知の体験だったろう。
一番みーちゃんによくなかったのは、坂道で自転車をこいだことだった。坂道で子乗せ自転車を押すのは相当重くて私は、「ちょっとだけ。。。」と言って自転車を漕いだ。そのスピードにみーちゃんはいたく怖がったようだった。

その日からしばらく、みーちゃんは「自転車こわかった」といって、自転車に乗ろうとしなくなった。
あちゃー自転車こがなければよかった。でも後の祭りだった。

私はしばらく、自転車の話題をみーちゃんに振るのをやめた。
嫌な記憶が薄れるまで、様子をみることにした。

ぶっちゃけアレ、使いました

そうお菓子。
ネットでほかの人の体験談を読んで、やはりお菓子攻撃が有効そうだったので、教育的には悪いと思いつつも、頼ることにした。
選んだのはキャンディのように個包装になったラムネ。楽天でキロで売っていた。自転車に乗りながらでも比較的危なくないかなと思ってラムネにした。一口で食べれて、口のなかですばやく溶ける。

みーちゃんの様子で、なんとなく、「自転車こわい」が風化したかなと思ったタイミングで、私は「今自転車に乗るとラムネプレゼント!」と宣言。
あと、「ベビーカーよりも自転車のほうが早いから、朝ちょっとゆっくりしてもいいよ」と言った。

そしてみーちゃんはふたたび時点に乗ってくれたのだった。 

※ラムネは飽きたようで、最後はなくても自転車に乗ってくれるようになった。

ぢごくの子乗せ自転車手押し車

前回の反省を生かして、坂も含めてすべて、自転車を手で押していくことにした。
子乗せ電動自転車って、そもそも普通の自転車よりも重い。そこにさらに15kgの子が乗っているのだから…さらに重い。
それでも車輪のおかげで平地ではそんなに手押しは大変ではなくて、問題は、やはり坂道。とんでもなく重い。自分の体重も使って、「ふぬぬ…!」と押していった。
特にソリューションも見当たらず、人海戦術一辺倒。
1.5週間くらいは、そんな感じだったと思う。
こ坂道も大変だったけど、通常の道も、かなりゆっくり手押しした。というのも、私はみーちゃんに「速いなと思ったら教えてね。すぐスピード落とすからね」と約束していた。みーちゃんは「はやすぎる!」とたびたびアラートを出したので、のろのろ進むしかなかった。

当たり前に、この期間はいつもより送迎に時間がかかった。
ぶっちゃけ休職中だったからなんとかなったけど、もし仕事してたら…背筋がさむくなる。

徐々に自転車に慣れていく

最初はすぐ「はやすぎる!!」と声をあげたみーちゃんも、そんな日が毎日続いていくと、慣れたというか飽きたというか、少しずつ文句を言う回数が経ていった。
そこからは、なし崩しにことを進めていった。
「ちょっと疲れたからお母さんも自転車に乗るね~」といって自転車にまたがり、足で地面を蹴って進むようになった。文句を言われたらすぐ降りて手押し。これを繰り返すうち、また文句が少なくなる。
そしたら「ごめんね~ここだけだからね~」といって坂道でついに自転車をこぐ。大ブーイングが後ろで起こるも、「ほんと押すの大変だから!」と言い訳をかえす。坂を登り終えたら「ごめんね~こわかったよね~ラムネたべる?」

そのうちに、何をしても怖がらなくなった。
全行程で1か月以上はかかったと思う。

怖がりっ子を自転車に乗せるために大事だったこと

経験を踏まえて、怖がりっ子を子乗せ自転車に乗せるために大事だったことは何かと考えると、たぶん、「選択の余地を残すこと」だったと思う。
人間は、自分の制御がきかない状況がとても不快なものだから。

最初に自転車に乗るか、乗らないか。

スピードを出すか出さないか。

それをみーちゃんの側に選択権を委ねた(全部じゃないけど)から、みーちゃんは、自分のペースで自転車に慣れていくことができたと思う。

あとは年齢もぶっちゃけ大きかったかも。
人見知り環境みしりがすごかった2歳ごろよりも、みーちゃんは度胸がついていた。
だから、私も「いけるんじゃね?」と、自転車をやってみる決意ができたように思う。