【建築プチ知識】_03トイレ「WC」ってどういう意味?
皆さんはトイレの表記で「WC」というのを見たことがあると思います。
商業施設のトイレの案内板では「WC」と表記されることが多いですし、集合住宅の設計をやっていると不動産用語である「nLDK」の英語表記と統一してトイレのことを図面に「WC」と書くことが一般的です。
リビングを「L」、ダイニングを「D」キッチンを「K」で表し、居室などのベッドルームを「BR」と書くため、トイレは「WC」と書くと図面上統一感があって見栄えが良いからです。
トイレを表す「WC」はなんの略だかご存知でしょうか。
答えは「Water Closet(ウォーター・クローゼット)」になります。
「ウォーター」はなんとなくわかるけど、どうして「クローゼット」なのか?
現在では「押入れ」のような意味で使われることが多いので、疑問を持った方も多いのではないでしょうか。
もともと「クローゼット」とは、中世ヨーロッパで誕生した言葉ですが、その頃、貴族でも自分の家に「トイレ」はほとんどありませんでした。
どうやって用を足していたかというと、小さな小部屋に隠れて簡易トイレのようなものを持ち込んでしていました。
当時のヨーロッパの貴族は日本の着物のように何枚も服を重ねて来ていたので、用を足すためには服を脱がなければならず、用を足すための小部屋には脱いだ服をかけておくスペースが必要だったのです。
当時の「クローゼット」には、「用を足す場所」と「衣服をかけて置く場」の2つがあったのです。
その後、各家に「トイレ」が取り付けられるようになり、「クローゼット」の機能は「衣服をかけて置く場所」という1つに絞られました。
そして「用を足す場所」は「Water Closet(ウォーター・クローゼット)」と名付けられました。
「クローゼット」の意味を検索すると、
⑴衣服などを収納する戸棚
⑵便所
と出てきます。
近年では、「クローゼット」にトイレの意味を感じないという理由から「Water Closet(ウォーター・クローゼット)」ではなく、「Rest Room(レストルーム)」や「Powder Room(パウダールーム)」と表現する例も増えてきています。
「トイレ」の語源である「toilet」ではダメなのかと感じますが、「toilet」は「便器」そのものを指す言葉なので、「用を足す場所」とは少し違います。
如何だったでしょうか。
トイレを「WC」と表記する背景には、このような歴史的背景があります。
これからは「押入れ」で用を足してしまっても、「クローゼット」の使い方としては間違いないと自信を持って断言して見ましょう。
何気ない知識として参考になれば嬉しいです。
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