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あなたをパンに喩えると?

私はジェーン・スーさんが好きだ。

かと言って、彼女の何を知っているわけでもないけれど。

彼女が放ったある決定的な一言で私は虜になってしまったのだ。

私は最近、眼精疲労が酷いので、必要以上のスマホやパソコンの使用は避けるようにしていて、(と言いつつ現在進行形でスマホからnoteを更新している)

極力目を休ませるべく、Podcastをよく聴いている。

好きな番組は美容家の神崎恵さんと編集者の大森葉子さんの「WONT」と
ジェーン・スーさんと堀井美香さんの「OVER THE SUN」だ。

余談だけれど、「WONT」の番組名の由来が「私のお名前なんて〜の?」だと知った時は、神崎恵さんって、一体何者なんだろうと、その感性に感動したのを覚えている。

普段、家族や仕事にフルで向き合っていると、「あれ?私って何者なんだっけ?」と、ふとそんな気持ちになることがきっと誰にでもあるはず。

その気持ちの揺らぎを掬い上げて、そんな人たちに捧ぐ番組につけた、完璧なタイトル。

ずぶの素人が偉そうに語ってしまったけれど、数多くの美容家さんの中でも神崎恵さんが抜きん出ているのは、第一人者というだけではなく、その「言葉の力」にあると思う。

さて、話は戻って、ジェーン・スーさんの話。

そう、私がイチコロになった時の話。

その日は、OVER THE SUNの中で、「私をパンに喩えるならば?」というお題で、リスナーからの回答を募集していた。

いつもの番組の雰囲気よろしく、思わずクスッとなってしまうような回答が続く中、

「私をパンに喩えるならば、ナイススティック。私の代わりなんていくらでもいる。」という回答があった。

ナイススティックというチョイスに私はついきヘラヘラ笑ってしまったのだが、スーさんは違った。

「『いくらでも代わりがいる』ということは、自分の価値を毀損する理由にはならない。なぜなら、親子関係など特別な関係を除いては、代わりのない人なんていないのだから。」

言葉に力を込めて、真剣にそう言ったのだ。

その瞬間、私は彼女が大好きになった。

そこに、彼女の「人となり」がぎゅっと詰まっていたような気がした。

きっと、自身をナイススティックに喩えたリスナーさんはまさに「私のお名前なんて〜の?」状態になっていたのだと思う。

「これって私じゃなくていいよね?」
「私ってなにがしたいんだろう?」
「あれ?私って?」

そんな感情をネタにして、笑いとして昇華しようとしていたところを、

スーさんはまるっと包み込んで、肯定してくれる、愛のある人だと感じた。

人はオンリーワンになりたがる。
自分にしかできないことを模索して、疲弊する。
例のアノ歌のせいだ、いや、冗談だ。
マッキーは何も悪くない、むしろ素晴らしい。

でも、オンリーワンでなくても良い。

オンリーワンではないことは、人としての価値を揺るがす要素になり得ないのだ。

ナイススティックも、立派なパンだ。

最後に、「あなたをパンに喩えると?」

私も考えてみました。

願わくは、「米粉パン」でありたい。

シンプルだけど、中身、つまってっから。
結構、お腹いっぱいにしてあげられるよ。
グルテンフリーだよ、優しいよ。

そういうパンに、私はなりたい。

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