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ナウシカで読み解くパンデミック

気付いてみれば師走も中を過ぎているどころか、もうクリスマスではないか。あれまぁ結局今年はコロナに始まってコロナに終わってしまう感じだなぁと、呆れると言うか、疲れると言うか。脱力。

新型コロナの感染者が居住国イギリスでも確認され始めた頃、私が真っ先に連想していたのは「風の谷のナウシカ」である。コロナウィルスのその外観から腐海の植物の胞子を、マスク着用の必要性から、5分で肺が腐ってしまうという腐海の瘴気の致死性を思い出したのだ。

映画「風の谷のナウシカ」を初めて鑑賞したのは、それがテレビで初めて放送された時のこと。当時思春期だった私は、それまで自分が知るアニメ作品に類を見ない世界観に非常に感銘を受けた。環境破壊について、及び戦争と人間についてより深く考えるようになったのもこの作品がきっかけであったと言っても過言ではないだろう。それほど強烈な印象を抱いた。たまたま父がビデオで録画していてくれたため、一部セリフを覚えてしまうほど繰り返し見続けた。

多くの人にとって、良いことなんて何一つないように思えるパンデミックであるが、既に何度も指摘されてきたように、各国がロックダウンを実施したことにより大気汚染の軽減が見られたのは、注目すべき効果だと思う。と、同時に人間の営みがどれだけ地球を汚染しているかを再認識する。「なぜ 誰が世界をこんなふうにしてしまったのでしょう。」とつぶやくナウシカのセリフを思い出す。コロナは地球が発している救命信号の一つなのか。近年、極端な自然災害が増加する一方なのも、大地が怒りに満ちて来た為なのであろうか。

久しぶりに最初から最後まで鑑賞してみた。「我々人間はこのまま腐海にのまれて滅びるよう定められた種族なのか。それを見きわめたいのだ。」とのユパの台詞を、思わず腐海をコロナで置き換えてみてしまった。さすがに、滅びるまでは行かないだろうが、終わりの見えない経済活動の混乱ぶりは空恐ろしい。

映画「風の谷のナウシカ」の結末ではナウシカの国へ進駐して来ていた他国軍、及びその他国と敵対関係にあり難民化していた別の国の民達双方と友好的に別れ、腐海の生物や自然との共生を目指す姿が描かれている。さぁ、今私達を苛むコロナ禍の結末はどういったものになるのか。

ナウシカの結末を適用すれば、他国と友好関係を築き、それぞれの民が自国へ戻って仲間を思いやりつつ平和に暮らし、地球に敬意を払い動植物との共存を図る事により健康状態を改善する? イギリスにも日本にも家族がいる私としては、どちらかの国で幸せに暮らせと言われても困ってしまうなぁ。

先日話していた友人は、人間が地球上に多すぎることがパンデミック化に貢献しただろうと述べていた。多いことにも一因はあるかもしれないが、移動手段が発達した現代社会では、人間の行動範囲が広すぎるのも一因であろう。かく言う私自身、頻繁ではないにしても、1〜2年に一度は日英間を行き来する。現在ほど広範囲に人間が移動しない頃だったなら、新型コロナも中国の風土病で終わっていたのではないか。よもや南極に到達する事はあるまい。

いろいろな要因がちょうど重なってのパンデミック。早く平和に終了する事をただただ祈るばかりだ。

追記:投稿後知った事に、「風の谷のナウシカ」の映画が明日25日金曜ロードショウにて放送されるそうで。ナウシカの世界とコロナ禍に類似性を見出す人はやはり沢山いるのだなぁ。