好きと言えたら(HANAちゃんストーリー第15話)
「ごめん・・・」
呆然と立ち尽くす君を前に、こんな言葉しか出てこない。
君を傷つけるつもりなんて1ミリもなかった。
なぜ僕はこうなんだろう・・・
「ごめん・・・」
泣きじゃくる君の声に、もう一度、言葉を吐き出した。
僕は君が大事なんだ。
こんなことはずっと前から分かっている。
僕は君が必要なんだ。
こんなことはとっくに分かっている。
僕は君が好きなんだ。
こんなことは言わなくても分かっている
と思っていた。
僕を信用できないという君に、どんな言葉を届けたらいいんだろう。
「ごめん・・・」
もう一度だけ、言った。
好きだという気持ちを乗せて。
僕を見つめる君の頬を、迎えたばかりの子犬が舐めた。
おわり