見出し画像

【シーソーシークワサー 28 塵も吹かれて風に乗る】


↑前回のシーソーシークワサー


【シーソーシークワサー 28 塵も吹かれて風に乗る】

 地下鉄虎ノ門の階段から地上に出たところで、塵を連れてきた突風が顔に当たった。目を閉じたが遅かった。左目に違和感を覚える。自動的に出る涙がまだ止まらない。夕暮れに訳もわからず泣いている男のように映ることだろう。少し歩けばベンチでもあるかと思ったが、歩道の先には次の地下鉄の表示板しか見えてこなかった。
 立ち止まらないことを前提に生きる街だ。
 凡人は目についたタリーズに駆け込んだ。
 

ここから先は

1,007字

ど田舎そだちど田舎、 ゆる!がんそロハス! わかやまきみの町からの、 定期エッセイです。 ベリーブ爺…

スタンダードプラン応援いただける方募集します

¥270 / 月
初月無料

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?